私の推しは雑草男子

Step2 胡蝶蘭男子の部下になりました

イヌフグリ④

　結局、午前中は何もすることが無いまま、机の整理をしたり、お花に水をやったり……こんなんじゃ、明日からは来なくていいって言われそうだわ。


　いつも通り、一人でお弁当タイム。
　今日は社食で広げる気になれなくて、思い切って外に出た。
　近くの公園を探して、意外と混んでいることに驚く。
　みんな、外のベンチでお昼タイム楽しんでいるんだね。

　ようやく見つけたベンチに座って、ほっと力を抜く。
　物凄く緊張していたことに、今更ながら気づいた。

　あーあ。ここのところついて無いな……

　でも春の日差しはとても温かくて、体が温まってきたら、気分も明るくなってきた。
　
　そうだ！　早く食べて雑草を探してみよう！

　そう思いながら、もぐもぐ。
　その時、ベンチの下に早速イヌフグリを発見。
『ひなたぼっこ』さんの言葉を思い出して、また心配になる。

　どうしているかな？　
　応援していますって伝えたいけれど、メッセージを送る勇気は無くて、ただ無言で覗いているだけでごめんなさい。

　でも、『信頼』を得るって、どうしたらいいんだろう？

　そっか、仕事も同じか。
　待っているだけじゃ、だめなのかもしれない。
　真山チーフにも信頼してもらえるようにしないと、仕事なんて振ってもらえないわよね。
　でも、何をしたらいいのか、皆目見当もつかないし。私はドジでのろまだから、みんなの役に立つようなことなんてできないな。

　その時、ふっと高梨室長の顔が思い浮かんだ。

　今回の派遣社員の採用は何が目的って言っていたっけ？
　そうよ。真山チーフが言っていたよね。

『『こんなところがわからないんだ』という低レベルな疑問』って。

　つまり、私が求められているのは、低レベルな発想なんだ！