36 / 62
Step4 胡蝶蘭男子と同居することになりました
ヒメコバンソウ①
しおりを挟む
昨夜のパーティーのことは、社内ではあまり話題になっていないようだ―――と思っていたのは大きな間違いだった。
無事だったのは最初の一日だけ。
次の日になると、『タカナシグループ御曹司の秘め恋』なんて話題が、週刊誌にスクープされて大変な騒ぎになってしまった。
って、ホテルから出てきた姿が写真に撮られている!
幸い私は背中を向けていて、顔が見えないようになっていた。しかも普段はしないお化粧バッチリだし。
綺麗な恰好もしているし。
おかげで私だと言うことはバレていないみたいなんだけれど……
経営企画室では、流石に大声でこの話題をする人はいない。
でも、室長が席を外していると、小声で囁き合う声がする。
「この女性だれかしら?」
「いいなぁ。玉の輿」
「御曹司のお見合いパーティーがパアになって、社長の機嫌が悪いらしい」
等など……
幸い、写真の女性が私ということはバレていない。
ほっと胸を撫でおろした。
ところが帰ろうとしたら、またまた高梨室長に捕まってしまったの。
エレベーターホールからいつもの会議室へ連行される。
「ねえ、花乃ちゃん、危険な目に合っていない?」
「別に、何も変わったことはありませんよ」
「そうか……なら良かった。でも、今夜は家に帰らない方がいいかも。多分週刊誌の記者が君のアパートの前で待っていると思う」
「え、えええ!」
思わず声を上げそうになった私の口を、室長が慌てて塞ぐ。
「声が大きい。すまない。君にここまで迷惑がかかることになるとは思ってもみなかったんだ。おやじを甘く見ていたよ」
「どういうことですか?」
「この騒動は、おやじがわざと記者を使っているとしか思えない。普段なら金でもみ消すのに今回はそうしなかった。多分記者と結託して君にプレッシャーをかけるつもりだ」
「そんなことしなくたって、偽装だったって言えば、社長もわかってくださいますよ。室長もこの際だから思い切って本音を話せばいいと思います」
ずいぶんと私も大胆になっちゃったなと思いつつも、ついつい腹立ち紛れに本音を言ってしまった。
高梨室長、逃げてないで、お父様と向き合えばいいのに。
その言葉に、室長も憮然とした表情になる。
「そんなことはとっくにやっているよ。今までだって、散々本音をぶつけてきたさ。それでもこんな顛末さ。でも、おやじが火に油を注ぐような真似をするとは、流石に俺も思っていなかったんだ。すまない。今日はこのまま堀井さんに乗せてもらって、俺のマンションへ身を隠すといい」
「そんな……その方がかえって誤解を大きくするじゃないですか」
「じゃあ、記者が待ち構えているアパートに一人で帰る?」
「……」
それはもっと嫌だ。でも……
「室長のマンションよりは、どこかのホテルに泊まった方が安全だと思いますが」
「いや、それだと君を守れない」
「ええ! ホテルにも記者が付いてくるかもしれないってことですか?」
なんだかとんでもないことになっちゃったなと愕然とする。
「身内の恥をさらすようで、申し訳ないんだが……今回のことは多分、君への警告のためだけに仕組まれたヤラセだと思う」
「え?」
「だから、君に付きまとうのはきっと本物の記者じゃ無くて、記者に扮した興信所の探偵だと思う」
「そんな……」
自分の知らない世界へ足を踏み出してしまったと後悔しても、もう遅かった。
無事だったのは最初の一日だけ。
次の日になると、『タカナシグループ御曹司の秘め恋』なんて話題が、週刊誌にスクープされて大変な騒ぎになってしまった。
って、ホテルから出てきた姿が写真に撮られている!
幸い私は背中を向けていて、顔が見えないようになっていた。しかも普段はしないお化粧バッチリだし。
綺麗な恰好もしているし。
おかげで私だと言うことはバレていないみたいなんだけれど……
経営企画室では、流石に大声でこの話題をする人はいない。
でも、室長が席を外していると、小声で囁き合う声がする。
「この女性だれかしら?」
「いいなぁ。玉の輿」
「御曹司のお見合いパーティーがパアになって、社長の機嫌が悪いらしい」
等など……
幸い、写真の女性が私ということはバレていない。
ほっと胸を撫でおろした。
ところが帰ろうとしたら、またまた高梨室長に捕まってしまったの。
エレベーターホールからいつもの会議室へ連行される。
「ねえ、花乃ちゃん、危険な目に合っていない?」
「別に、何も変わったことはありませんよ」
「そうか……なら良かった。でも、今夜は家に帰らない方がいいかも。多分週刊誌の記者が君のアパートの前で待っていると思う」
「え、えええ!」
思わず声を上げそうになった私の口を、室長が慌てて塞ぐ。
「声が大きい。すまない。君にここまで迷惑がかかることになるとは思ってもみなかったんだ。おやじを甘く見ていたよ」
「どういうことですか?」
「この騒動は、おやじがわざと記者を使っているとしか思えない。普段なら金でもみ消すのに今回はそうしなかった。多分記者と結託して君にプレッシャーをかけるつもりだ」
「そんなことしなくたって、偽装だったって言えば、社長もわかってくださいますよ。室長もこの際だから思い切って本音を話せばいいと思います」
ずいぶんと私も大胆になっちゃったなと思いつつも、ついつい腹立ち紛れに本音を言ってしまった。
高梨室長、逃げてないで、お父様と向き合えばいいのに。
その言葉に、室長も憮然とした表情になる。
「そんなことはとっくにやっているよ。今までだって、散々本音をぶつけてきたさ。それでもこんな顛末さ。でも、おやじが火に油を注ぐような真似をするとは、流石に俺も思っていなかったんだ。すまない。今日はこのまま堀井さんに乗せてもらって、俺のマンションへ身を隠すといい」
「そんな……その方がかえって誤解を大きくするじゃないですか」
「じゃあ、記者が待ち構えているアパートに一人で帰る?」
「……」
それはもっと嫌だ。でも……
「室長のマンションよりは、どこかのホテルに泊まった方が安全だと思いますが」
「いや、それだと君を守れない」
「ええ! ホテルにも記者が付いてくるかもしれないってことですか?」
なんだかとんでもないことになっちゃったなと愕然とする。
「身内の恥をさらすようで、申し訳ないんだが……今回のことは多分、君への警告のためだけに仕組まれたヤラセだと思う」
「え?」
「だから、君に付きまとうのはきっと本物の記者じゃ無くて、記者に扮した興信所の探偵だと思う」
「そんな……」
自分の知らない世界へ足を踏み出してしまったと後悔しても、もう遅かった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?
akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。
今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。
家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。
だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる