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Step6 胡蝶蘭男子と約束しました
レンゲ③
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それから数日の間。怜さんは足繫く実家に通っていた。
社長と義理のお母さん、明香里さんとの話し合いの結果は、結局明香里さんが折れて私との交際を認めてくれたらしい。
社長が突きつけた離婚の二文字を、明香里さんが嫌だと突っぱねたらしい。
交際を認めてもらえたのは心の底から嬉しいけれど、一抹の切なさをぬぐい切れないのは、どうしようもないよね。
あの二人は―――社長と怜さんのお母さん、真美さんは……もう、元には戻れない。あんなに思い合っているのに……
素肌を抱きしめ合いながら、怜さんがポツリポツリと話してくれたの。
義理のお母さん、明香里さんも一途に社長のことが好きだったこと。
だから、自身の立場を使ってまで強引にお見合いを申し込んできたし、今も真美さんを愛する社長のことを手放せないでいるのだと。それをわかっていたから、社長も無下に拒絶できずにきたことも。
明香里さんの愛は歪ながらも、怜さんにもちゃんと向けられていたことも。
社長の心を奪い、社長の子を産んだ憎い女の子ども。
それでも、怜さんには愛する社長の血が流れている。
自分があげられなかった血脈だけれど、怜さんを立派に育てあげることで自分の存在価値を示して、社長に認めてもらいたいと。
そう思ってきたらしいと言った怜さんの顔に、明香里さんへの憎しみは無かった。
ただ、とても切ないのだと。
「独りよがりではた迷惑な愛ではあったけれどさ。母さんも、一途な愛を貫いた人だったんだよな。でも報われなかったんだと思うと切な過ぎて、もう恨むことも憐れむこともできないよ」
そう言って、私を抱く腕に力を込めた。
「色んな愛の形があるし、一途な愛が幸せを呼ぶとも限らないと知ったよ。だから今、こうして花乃ちゃんと一緒にいられることが、どれだけ奇跡的なことなのか。好きな人と一緒にいて幸せと思えることが、どんなにありがたいことなのかつくづく分かったんだ。俺は本当に運がいい」
私の耳朶をはみながら続ける。
「いや、運だけじゃないな。これはやっぱり花乃ちゃんが引き寄せてくれた結果だな」
「え?」
「花乃ちゃん、あの時言ってくれたよね。自分の気持ちを正直に伝えることを大切にしたいって。傷つくことも、拒絶されることも恐れずに伝えたいって。あの時、花乃ちゃんが勇気を振り絞ってくれなかったら、今のこの瞬間は無かったと思う」
「怜さん……」
「ありがとう。やっぱり君は……」
「最高」「最高でしょ」
私が被せて言うと、怜さんがニヤリと笑った。
優しく髪を撫でる指先が、そのまま背を滑り降りる。
吸い付く肌の温もりに安らいだ。
『ひなたぼっこ』写真集より
―――『レンゲ』。春になると広がるピンクの絨毯。
かつては田んぼの緑肥として、土に養分を蓄える働きがあったらしい。
枯れた土地を生き返らせるなんて、まるで救世主のようだな。
花言葉も『あなたと一緒なら苦痛が和らぐ』『心が和らぐ』。
俺にもそんな人がいる。君のお陰で、俺は今、楽に息を吸えるようになった―――
社長と義理のお母さん、明香里さんとの話し合いの結果は、結局明香里さんが折れて私との交際を認めてくれたらしい。
社長が突きつけた離婚の二文字を、明香里さんが嫌だと突っぱねたらしい。
交際を認めてもらえたのは心の底から嬉しいけれど、一抹の切なさをぬぐい切れないのは、どうしようもないよね。
あの二人は―――社長と怜さんのお母さん、真美さんは……もう、元には戻れない。あんなに思い合っているのに……
素肌を抱きしめ合いながら、怜さんがポツリポツリと話してくれたの。
義理のお母さん、明香里さんも一途に社長のことが好きだったこと。
だから、自身の立場を使ってまで強引にお見合いを申し込んできたし、今も真美さんを愛する社長のことを手放せないでいるのだと。それをわかっていたから、社長も無下に拒絶できずにきたことも。
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社長の心を奪い、社長の子を産んだ憎い女の子ども。
それでも、怜さんには愛する社長の血が流れている。
自分があげられなかった血脈だけれど、怜さんを立派に育てあげることで自分の存在価値を示して、社長に認めてもらいたいと。
そう思ってきたらしいと言った怜さんの顔に、明香里さんへの憎しみは無かった。
ただ、とても切ないのだと。
「独りよがりではた迷惑な愛ではあったけれどさ。母さんも、一途な愛を貫いた人だったんだよな。でも報われなかったんだと思うと切な過ぎて、もう恨むことも憐れむこともできないよ」
そう言って、私を抱く腕に力を込めた。
「色んな愛の形があるし、一途な愛が幸せを呼ぶとも限らないと知ったよ。だから今、こうして花乃ちゃんと一緒にいられることが、どれだけ奇跡的なことなのか。好きな人と一緒にいて幸せと思えることが、どんなにありがたいことなのかつくづく分かったんだ。俺は本当に運がいい」
私の耳朶をはみながら続ける。
「いや、運だけじゃないな。これはやっぱり花乃ちゃんが引き寄せてくれた結果だな」
「え?」
「花乃ちゃん、あの時言ってくれたよね。自分の気持ちを正直に伝えることを大切にしたいって。傷つくことも、拒絶されることも恐れずに伝えたいって。あの時、花乃ちゃんが勇気を振り絞ってくれなかったら、今のこの瞬間は無かったと思う」
「怜さん……」
「ありがとう。やっぱり君は……」
「最高」「最高でしょ」
私が被せて言うと、怜さんがニヤリと笑った。
優しく髪を撫でる指先が、そのまま背を滑り降りる。
吸い付く肌の温もりに安らいだ。
『ひなたぼっこ』写真集より
―――『レンゲ』。春になると広がるピンクの絨毯。
かつては田んぼの緑肥として、土に養分を蓄える働きがあったらしい。
枯れた土地を生き返らせるなんて、まるで救世主のようだな。
花言葉も『あなたと一緒なら苦痛が和らぐ』『心が和らぐ』。
俺にもそんな人がいる。君のお陰で、俺は今、楽に息を吸えるようになった―――
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