虐げられた仮面の姫は破滅王の秘密を知る

涼月

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ティアナの作戦(ティアナside)

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「な、ぜ?」

 イオスライトが驚いた声を上げる。

「なぜ、また仮面をつけていらっしゃるのですか? 昨夜あんな失礼な態度を見せた陛下のところへ、こうやってまたいらしていただけて大変ありがたいのですが、もうティアナ様は仮面をつけないでもよろしいのですよ」

「はい。わかっております。でも」

 私はニコリと笑って答える。

「王の安全のために仮面が必要なら、妻である私も安全のために仮面をつけさせていただきます」
「あ……それは、ご配慮ありがとうございます」

 深く頭を下げるイオスライトに尋ねる。

「それから、エクレール様はフィーが、あ、あの虹色の鳥が運んできた花を必要とされていたのですよね?」
「おっしゃる通りです。大変大切にされておりました。あの花に触れると心が穏やかになるとおっしゃっていました」

 私はまたにっこりと笑って言う。

「では、私のことを無視し続けることは無理ですね」
「なるほど!」

 ぽんと手を打つイオスライト。「よろしくお願いします」と頭を下げて退出して行った。

 私は深呼吸をしてから、寝室に籠っているエクレール様へ声を掛けた。

  ~*~*~

 ちらりと扉の隙間から覗き見れば、ティアナ姫とイオスライトが執務室で話をしていた。

 ティアナ姫、また来たのか? それともイオスライトが引っ張ってきたのか?
 俺のことは放っておいて欲しいと言ったはずなのに。
 しかも姫はまだ仮面をかぶっているのか? 鍵は渡したはずだぞ。

 俺は静かに扉を閉めて鍵をかけた。

 きっと最初のうちだけだろう。無視していればそのうち……

 だが、チクリと痛む胸に戸惑った。

 ティアナ姫とイオスライト。二人がとてもお似合いの二人に見えたから。

 なぜか見ているのが辛い……

 その時だった。コツコツと扉を叩く音がした。

「エクレール様、ティアナです。突然押しかけてしまい申し訳ございません。でも、もし、少しだけでもお時間がありましたら、お話できたらと思いまして参りました」

 鈴が鳴るような可愛らしくて温かい声。聞いているだけで癒される。

 癒される? ああ、そうだった。イーリスが運んでくれた花。
 あれはティアナ姫の癒しの魔法が込められたものだと言っていたな。
 ということは、ティアナ姫の本当の魔力は癒しの力。

 そう言えば、ずっとあの花に触れていない。
 
 そうか、だからこんなに心がざわざわと落ち着かないんだ。

 あの花が欲しい。頼んでみるか?
 いや、今更そんなこと言えるわけ……

「エクレール様。フィーの、あ、えーっとイーリスの代わりにお花をご用意してきました。お渡ししたいのですが」

 どうする?
 どうする?

  俺は扉の前で悶々と悩む羽目になった。

 
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