虐げられた仮面の姫は破滅王の秘密を知る

涼月

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一緒にいたい(エクレールside)

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 ぎりっと歯を食いしばった。

 ローグ王、舐めた真似をしてくれたな!
 俺の大切なティアナを殺害しようと企むとは。それがどんな代償を払うことになるのか気づかぬはずもないのに。

 ビリビリと体から放電し始めた。
 まずい! 今暴発することは避けなければ!
 焦りが募るが怒りが抑えられないんだ。

 そんな俺に気づいたティアナ。必死の眼差しで抱きしめてくれた。
 俺の発する電気が伝わって痛いはずなのに、決して俺の体を離そうとはしない。
 ありったけの癒しの魔力を注いでくれたおかげで、なんとか踏みとどまることができた。

「エクレール様。どうか落ち着いてください」
「すまない。だが、許せない。そなたを殺そうとするなど、許せるわけがない!」
「ありがとうございます。私、幸せ者ですね。エクレール様にそんな風に言っていただけて」

 ああ、俺の妻はなんて健気な女性なんだ。
 身内からこんな酷いことをされてショックを受けている時に、俺の暴発を抑えようと必死になってくれるなんて。
 
 ふうっと大きく息を吐いて、体から力を抜いた。

「ティアナ、ありがとう」
「ああ、良かったです」

 安堵と共にふらりと揺らいだティアナを慌てて抱き上げた。

 やっぱり。心痛が酷いのだろう。一人にさせておくのは心配だな。

「ティアナ、そなたの身が心配だ。これからは一緒の部屋で過ごそう」

 思わず勢いで言ってしまった。
 言ってしまってから事の重大さに気づいたけれど、寧ろこれで良かったと思った。

 何より、不安げに揺れる翠の瞳が安堵に変ったのを見て確信できたんだ。

 一緒にいたい―――それが本心だ。


 その時になって、ようやく気付いた。

 仮面……忘れていた。

 二人で執務室で過ごしていたところへ、血相を変えたイオスがやって来た。
 エミリアを案じたティアナがそのまま飛び出し、後を追って俺も飛び出した。
 だから、二人とも仮面をつけるのをすっかり忘れていたんだ。

 でも、怖いとは思わなかった。人々の視線が全然気にならなかった。
 単に必死だったから、そこまで気が回らなかったと言えばそれまでだけれど、一番の理由は分っている。

 ティアナと一緒だからだ。
 一緒なら、怖くない。

 王宮の連中はさぞ驚いているだろうな。

 それにしても、なぜ和平のために嫁にやったティアナ姫を、ローグ王はわざわざ殺そうとしているのだろうか?
 宣戦布告のつもりなのだろうか?
 俺が彼女を大切にしていると知って、ダメージを負わせようとしたのか?
 
 謎だがまあいい。その所業を後悔させてやる!
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