猫屋敷先輩の怪奇奇譚

MOKO

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西山さんと
猫屋敷先輩は何となく分かるけど
寄島のおじいさん
思った以上に健啖家だった。

まぁ僕も食べる方だけど


なんか明らかに
人数分より多いお弁当やパン

買いすぎなんじゃないか?
誰がこんなに食べるんだ?

結構な数あったお弁当にも関わらず

「コンビニの新発売のネギカルビチャーハン弁当、あれだよね
CMしょっちゅうしてるでしょ
あれ見る度気になってたんだよねぇ。」

なんて言いながら
ホクホク顔で寄島のおじいさんは
チャーハン弁当を2人前平らげその後
焼きそばパンとコロッケパンをペロリと
お腹にしまいこみ

「やっぱりお茶は緑茶に限るねぇ。」

お茶を啜りながら
酒まんじゅうを食べてる姿に
何となく恐怖を覚えた。

寄島のおじいさんだけじゃなく
先輩も西山さんも
多分3人前くらいは食べてる。

きっとあの人たち
胃袋の中にプラックホールが
あるんだと思う。



逆に全然食べてないのは吉田。




「吉田?大丈夫か?」


「…あぁ…うん。」

ずーんって音が聞こえなそうなくらい
落ち込んで見える。


お茶を啜っていた寄島のおじいさんが

「まぁ、この度の事は仕方ありませんよね。

吉田くんはこれから考えなきゃ行けない事も
乗り越えなきゃいけない事も、
多分普通の人より多くなるでしょう。

全てをまるっと受け止める覚悟も必要になるでしょうが
大いに悩んでください。
でもね、これだけは言えますが、これも全て天のお導きによる物ですよ。」


「そうだぞ!
あんま深く考えなくて大丈夫だ
お前は1人じゃないし、俺らもいるしな。」

…ハハハっ

吉田の乾いた笑いを消すみたいに

吉田の膝の上でクロがニャーと鳴いた。

先輩も寄島のおじいさんも西山さんも

じーっとクロを見る

「なんかやっぱり可愛くないな。」

「ええ、まぁ。」

「可愛こぶっても中身がねぇ。」


いきなり吉田が泣き出した。

「ううっクロ…クロが…」


「大丈夫ですよ。半分はクロなんですから。」





うん…話が見えない。


クロは吉田の膝から降りると
二本足でふんぞり返った。



えっ!?


クロが立てった!?




「愚かな人間が、私の事をなんだと思っているのだ。」



えっ?!?クロが喋った!?


どっどどどぉ言うことぉ!?


しかも先輩も寄島のおじいさんも
西山さんも明らかに驚いてなくて
もしかして最初から知ってた?

あれ?寄島さんのおじいさんはともかく西山さんは今までずっと一緒にいたでしょ?

携帯なんかいじってなかったでしょ?



もしかしてこの不可思議現象
よくわかってないの僕だけなのか?

「愚か者共め、我はこの姿になっても
隠しきれず滲み出る風格と威厳を感じたのであろう
それこそが神の証なのだ。
その肌に感じているだけでもありがたいのだぞ
我を尊び敬い崇め立て祀るが良い。」


なんか、僕は疲れてるのか…。
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