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プロローグ:廃部の危機
後編
しおりを挟む困っている人間を見つける役には神使の古々がついてきてくれた。2人と1柱はトラブルが多そうな場所を求めて、高校から徒歩15分の駅前にたどり着く。飲み屋やファミレスなどが並ぶいわゆる商店街と呼ばれる全年齢向けの南口方面と、わいわい騒げるクラブや女性が接待する飲み屋、ラブホテル等がそろう大人向けの北口の二つがある駅である。まだ日のある時間帯ではあるが、部活に入っていない生徒たちの姿もちらほらとみられるためか、南口の方はすでににぎわい始めている。北口の方は近くに学生向けの施設は少ないためか、まだ閑散としていた。
「トラブルを探すって言っても、そう簡単に見つかるものじゃねーな……」
『まぁ、いるにはいるんだけれどね。貧乏神に取りつかれて、パチンコ屋で大負けして生活費に困るような人とか……。貴方達には私たち以外の幽霊とか妖怪は見えないだろうから、わからないだろうけれど、貧乏神は探すまでもなくそこら中にいるのよ。夏のカナブンくらいに』
古々はそう言ってパチンコ屋を指さす。
「貧乏神って、やっぱり取りつかれると貧乏になるのか?」
『そうとも言えるし、そうでないともいえるかしらね?』
裕也の問いには、古々はあいまいな答えを返す。
『例えば貧乏神は、貧乏くじを引いた時の苦い感情を好む妖怪全般のことを指すのだけれど……貧乏神は取り付いた人間をギャンブル依存症にしてしまう力を持っている個体もいる……けれど、それだけなの。別に運を悪くさせるとかそのような類の力を持っていたりはしないのよ』
「そうなのか? 貧乏神ってやることがしょぼくれているんだな。運命とかを操作するわけではないのかぁ」
『そりゃそうよ、パチンコってのはプレイすると基本的には損するものだから。もちろん、運がよければ……貧乏神にとってみれば、運が悪ければ、パチンコで大当たりをして、幸福な感情があふれ出すこともあるけれど……でも、傾向で言えばパチンコや競馬をやらせておけば、よほどのパチプロでないと勝手に貧乏になるものでしょ? だからね、貧乏神の中には何もしない奴だっているのよ。最初からギャンブル依存症の奴に取り付いていれば、何もしなくっても勝手に貧乏になってくれる。貧乏神は貧乏になって困っている感情を食べられるでしょ? 特定の誰かに取りつかず、手っ取り早くパチンコ店に住み着く妖怪も存在するわ』
「最初からギャンブル依存症の奴に取り憑けば、ギャンブル依存症にする手間も省けると……パチンコ店に住み着くのも確かに効率的だな」
『さっきあなたが、「今時神の御利益なんてものを信じる奴なんていない」みたいなことを言っていたけれど、これも耳の痛い話ね。昔は、本当にご利益があったのよ……現在とは比べ物にならないくらい。けれど、今はそんなことをしなくても祈ってくれるものが増えたし、そもそも人口が増えまくっているから、1人から100の信仰心を得る必要がなくなって、100人から1の信仰心を得る時代に変わってしまったのよ。だから、昔ほどご利益を与えていないから、若者が神に祈らなくなるのも当然よね……。ほら、キリスト教とか、今はもう何の奇跡も起こしていないのになんかたくさんの人が祈ってくれるじゃない?』
「そう言われると、不労収入で暮らしている金持ちみたい話だな。家庭科の授業で習ったよ、株とか国債とかの配当で暮らせる人間がいるって」
『ま、神様たちも今の状況のまま問題ないって思っているらしくって、改善しようというつもりはないみたいなんだけれどね……人口が減らない限りは、神様は真面目な営業活動なんてしないでしょうね。だからこうして私達神使がわざわざ信仰心を集めなければいけない時もあるのよ』
神使も大変よね、と古々は苦笑する。
「上が怠け者だと下は大変だな」
そんな古々に釣られるように、裕也も苦笑した。
「でも、そんな奇跡を起こすこともない神様に仕えていて、神使の古々は何かうまみがあるのか?」
そう尋ねると、古々はふっと微笑んだ。
『ホンソメワケベラみたいなものよ、私達は。おこぼれに預かってるの』
「お、おう……ホンソメワケベラ……?」
何のことかよくわからず、裕也はスマートフォンを取り出し、歩きながら調べてみる。どうやら、他の大型の魚についた寄生虫などを食べてくれる、共生する魚のようだ。彼女は彼女なりにおこぼれを貰うために神使をやっているということなのだろう。
そうしてしばらく歩いていると、古々がピクピクと耳を動かして周囲に意識を向け始めた。
『あ……困ってる人、見つけたわ。ちょっとこれは緊急案件ね。ついてきて』
そう言って古々が先導するのは、北口の入り組んだ路地裏だ。北口は、昔こそ南口と同じく商店街があってにぎわっていたものの、大型の駐輪場と駐車場、ショッピングモールが南口近くにできてからは、人の流れがすっかりそちら側に傾き、少しずつ廃れ初めた。今ではシャッターを下ろす商店も増え、路地裏では不良がたむろしていたり、陰ではコソコソと援助交際の交渉が行われていたりと犯罪の温床になっている。一応警察も見回りをして入るのだが、それでも被害や違法行為が絶えないのが実情だ。
『そこで待ってて』
言いながら、古々は路地裏へと大胆に潜り込んでいく。他の人間には見えていないから、こういう偵察や覗きはし放題のようだ。
『事情は分かったわ。あそこに恐喝……誰かを脅して金銭をむしり取ろうとしているしている男と、されている学生がいるのよ。助けてあげましょう』
「えぇ? 裏路地って……なんだってそんなところに連れ込まれているんだ……馬鹿なのか? もしかして、表の道から連れてこられでもしたのか? そんなことしたらいくらなんでも目立つだろ」
裕也は何がどうなればそんなところで脅されるのやらわからず、苦笑する。
「まぁ、なんだかんだ路地裏に来ちゃったなら仕方ないでしょ? 助けてあげようよ」
明日香の言葉は身も蓋もない。
「そうだな。連れてこられちゃったもんは仕方ないか……しかし、その恐喝している不良さん、殴っちゃっていいのか?」
裕也は首をかしげる。相撲というのはスポーツというよりは、武道であり格闘技である。当然、喧嘩には強いつもりなのだが、だからと言ってそれを路上で振るうのは訳が違う。
相手が武器を持っていたら? やりすぎて怪我をしてしまわないだろうか? そんなことを考えながら戦う経験は裕也にはない。
「裕也君はこういうの無理かしら? じゃあ、私がお手本を見せてあげる」
一歩踏み出すのをまごついている裕也に、明日香がやる気を見せて前を歩いた。
「……危険だけれど大丈夫なのか?」
「危険だからこそ武道を学ぶのよ。今の時代、身を守るために女こそ武道を学ばないとね」
そう言って、明日香は手にフェイスタオルをカバンから出す。
「古々、相手の後ろを取れるのはどっち?」
『こちらの角から入れば、相手の後ろをとれるわ』
明日香が尋ねると古々は全く躊躇せずに答える。
「了解。裕也君、私の名前は呼んじゃダメよ」
言うなり、明日香は路地裏へと突っ込んでいく。
「あ……行きやがった」
あまりに勢いがいいので、裕也は止めることも出来ず、歩いていく明日香の後を追う。恐喝をしている男とやらは、いかにもガラの悪い身なりをした男だ。脅されているのはメガネをかけたひ弱そうな男で、制服からして裕也たちと同じ学校の生徒のようだ。裕也と同じ南口の学校の生徒なのに本当になんで駅をまたいで向こう側の北口商店街に来ているのやら、
ガラの悪そうな男はひ弱そうな男の肩を押さえ、壁に押し付けるようにして動きを制限し、マイナスドライバーを首に突きつけて脅している。男の背は明日香よりも十五センチメートルは高いし、いくら明日香が鍛えていると言っても相手の方が力は強いだろうし体重も上だろう。どう対抗するつもりなのか?
明日香はその男に忍び足で近づくと、いきなり膝の裏をに足刀をたたき込み、相手に膝をつかせると、フェイスタオルを首に巻き付け、思い切り締め上げながら後頭部に膝蹴りを加える。その一連の攻撃で相手の戦意を奪った明日香は、そのまま相手の背中に足を押し付け、絞め落とすまでタオルを離しはしなかった。
「……よし、息はあるね」
助けられたはずの高校生らしき男性が怯えている。明日香の鮮やかな動作は殺し屋だとしても通じそうなほどで、裕也でさえも引いてしまっているのだから、初対面の男が怖がるのも無理はない。明日香がそんなことをしている間に、古々は不良の男と絡まれていたひ弱そうな男の背中に何事かをしていた。
「大丈夫? なんか脅されてたみたいだけれど、怪我はない?」
明日香は締め落とした男を横向きにしながらひ弱そうな男に微笑んだ。酒に酔った人間などが嘔吐した際に取らせる蘇生体位だ。
「お、お金を……お金を盗まれそうになってましたけれど、殴られたりとかはしてません……」
「そう、良かった。でも、どうしてこんなところに来ちゃったのよ? 人通りの少ない場所は悪い人が待ち構えているものよ?」
明日香が言うと、ひ弱そうな男はもじもじしながら口を開く。
「なんか、ふと……路地裏に何があるんだろうって思ってしまって……」
「昼に行きなさいな。こんな夕暮れ時じゃなくって」
「はい……」
明日香に正論を言われて少年はひどく落ち込みながら頷いた。
「あ、そうそう……。私ね、大津井鹿島神社って神社の娘なの。武芸の神様を奉っているのよ。
ウチでは剣道とか柔道、あと空手とかの門下生を募集していてね……貴方もさ、もし自分に自信がないなら、ウチの神社で武道を学びに来ないかしら? 強くなればああいう輩に怯えないで済むし。もし武道に興味がなくっても、参拝だけでもしてくれるとありがたいな……あ、お賽銭は気持ちだけでいいわ」
「武道、ですか? いや、親はそんなことより勉強しろって五月蠅いから……」
「そう、残念ね。ま、でもお参りだけでもしていったらどうかしら? ウチ、参拝客が少なすぎてさ、神社がさびれちゃっててさ。参拝してくれると、神様が喜ぶの。武芸の神様がいるし、縁結びにもご利益のある神社だから、ぜひ来て、お参りしてほしいの」
「分かりました。それだけでも……」
明日香の勧誘は失敗したが、それでも最低限、目的を果たすことは出来たかもしれない。ここまで行ってお参りの一つも来なかったら、薄情者ものもいいところだ。
「ところであなた、お名前と学年は?」
「二年生の三上正大です」
「高ヶ原高等学校二年生の三上正大君ね! 覚えたわ! 私は本宮明日香、同じ学校ね、よろしくね。神社、来てね! 顔と名前、覚えたから! 参拝、してね!?」
逃げ場はないぞ、と脅しのような凄みで以って明日香は言った。
「あ、はい……」
無論、明日香は正大が神社に来なかったからと言って脅すようなつもりはないが、こうしておけば来てくれるだろうと狙ってのことだ。
そうして、カツアゲされていた少年、正大がお礼を言って去った後、明日香は気絶させた男のことを見る。
「なぁ、明日香……お前何やってるの?」
裕太が怪訝な顔をして尋ねると、明日香は悪い顔をしていた。
「この男の持ち物調べてるの。こいつの名前は……あ、スマートフォンのロックは……右手の人差し指で開いちゃった。指紋認証ってもろいねぇ……へー……名前も住所も分かっちゃったぁ」
そして、恐喝をしていた男はネームプレートなどをつけているわけではなかったが、スマートフォンには住所も氏名もばっちりだ。
「あ、SNSもやってる。こいつの本名と住所と顔を記載して……『僕はカツアゲをして返り討ちに会いました。僕の顔を全国に晒して反省します』と書き込んでおこうっと。あとで私も拡散しちゃおっと」
「えげつねえな」
犯罪を犯した人間を警察に突き出すでもなく、ネット上に晒す明日香のやり方があんまりにも容赦がないので裕也は苦笑した。
「……とまぁ、こんな感じで。相撲だって、突き押しばかりじゃなくって、いろんな技があるでしょ? 過剰防衛ってのが怖いなら、傷つけすぎない技を使って無力化させればいいのよ」
大の男の首を閉めて気絶させた明日香はしれっとそんなことを言う。確かに、カツアゲをしていた男は、傷はついていない。身体的な傷は、だが。
「お前の技は鮮やかすぎる……その割に、制裁はえげつないけれど」
明日香は様々な武道をやっているため、喧嘩に強い事は知っていた。だが、それ以上に、武道というよりは暗殺術とも言えるような動きを見せたのは意外というか、恐怖すら覚えた。
さて、気絶した男を放っておいて、2人と1柱は再びパトロールに戻る。
『いやぁ流石ね、明日香』
古々は明日香の華麗な動きを褒めてほほ笑む。
「ところで、古々。さっきの奴……2人には妖怪が憑いていたのかしら? 古々、なんか妙な動きをしていたけれど……」
『あの恐喝していた男には、欲望を喰らう妖怪がついていたの。欲望とは言っても征服欲などのあまり好ましくない欲望を食うタイプで……主に悪人と呼ばれる奴に憑くのよ。アレに取り憑かれると、人を嫌な気分にさせるのが好きな、いわゆるいじめっ子っぽい性格になりやすいわ』
「ほー、そりゃ迷惑な妖怪だな。その妖怪を祓えばまともになるのか?」
古々の解説に裕也は尋ねる。
『ううん。もうこいつの性格は手遅れだから、妖怪を祓ってもどうにもならないわ。一生ロクな人間にならないから、ここで人生終わらせちゃっても問題ないわ』
「じゃあ、あっちの正大くんは?」
『あれには貧乏神の一種が取り憑いていたわ。助けを呼ぶか全力で逃げればどうにでもなるのに、そういうことが出来ないのは……貧乏くじを引かせるのが好きな貧乏神の差し金でしょうね。そもそも、普通の人間は人気のないところに近づいて、わざわざ犯罪の餌食になりそうなことはしないもの。なんとなく、の好奇心で危ないことをしてしまうのは、悪い妖怪の仕業……じゃないかしらね? もちろん、本人の気質も関係することもあるけれどね。
好奇心はネコをも殺すとは言うけれど、こうやって好奇心で殺されていくのよねぇ……私がお祓いしておいたから、少しはましになるといいんだけれど』
「そんなに気軽にお祓いなんて出来るのか?」
『これでも神使だからね。神社におわすタケミカヅチ様の分身に悪い虫がつかないように、その辺の妖怪程度なら、朝飯前でお祓いできるわ。信二さん(明日香の父親)や友子さん(明日香の母親)がお祓いを依頼された時は、榊を振ったりとかそれっぽい儀式をしてはいるけれど、実際は私や振々が対応してるの』
「へぇ……じゃあ、実は人間は何もやっていないのか……。ところで、俺には何か憑いていたりする?」
『今は何も憑いていないわ。っていうか、あなたみたいに毎日訪れる人間に憑いている悪霊や妖怪は私達が退治してるのよ』
古々は優しく微笑み口にする。
「あー、良かった」
ほっとした表情を見せた裕也だが、古々の二言目は、予想だにしないものであった。
『問題は何も憑いていないことなのよ……悪霊や悪い妖怪の類はもちろん、守護霊もってことで』
「あぁ、なるほど……」
古々から思いがけずに守護霊が憑いていないと言われ、裕也は嫌そうな顔をする。
「まぁ、俺なんかを守りたい幽霊なんて、いないよなぁ……」
ショックだったのか、残念そうにため息をつくが、まぁまぁと慰めるように古々は笑う。
『まぁでも大丈夫よ。私が祓ってるから悪い霊は憑いていないから……それに、みんながみんな守護霊ついているわけでもないし。憑いてなくても気にしないで』
「まぁ、そりゃそうか」
そういって裕也はため息をつく。
『寂しいなら、私がなってあげようかしら? 私があなたの守護霊に?』
裕也が暗い気持ちになっていると、古々は自身が守護霊になると提案する。
「いいのか? 守護霊になってくれるなら、嬉しいけれど……」
『まぁ、大したことはしてあげられなくて……私は困ったことに男性の性欲を刺激することくらいしかできないのよ。でも、貴方はゲイじゃないから意味ないわね?』
「いやー、俺は普通かなぁ……別に男にときめいたこともないし……ってか、明日香が隣にいるのに何を言わせているんだお前。人前でセクシャリティを言わせるんじゃねえよ……」
「ふむふむ……裕也君はヘテロセクシャルと……私とは違うのね」
言いながら明日香はスマートフォンを弄っている。もっとも、スマートフォンの画面は真っ暗で、本当はメモをしたりしているわけではない。ただの茶目っ気だ。
「ほらぁ、なんか言われてる! そういうことを聞くのは悪趣味だぞ?」
気づけば、古々と裕也はごく当たり前のように会話をしている。その適応能力の高さには明日香も少しおかしくて笑っていた。
『ごめんごめん……それで、裕也君は、考えてくれたかしら? 私達のお願いを聞いてくれるかどうかってこと。私が守護霊になるのはその答え次第よ』
古々に尋ねられると、裕也は顎に手を当て考える。
「やる。明日香のやつ、放っておいたら何をしでかすかわからないし。それに、神通力とかご利益ってのはイマイチピンとこないけれど、古々みたいなのがいるんならそういうものも実在するんだろうな。
それに、あんたが守護霊になってくれるのなら……人助けくらい、してもいいぜ? だから、古々……俺の守護霊になるの、よろしくお願い出来るかな?」
『私はいいけれど、あなたは本当にいいの? 人助けって、結構疲れるけれど。やり遂げられる?』
「あんたが守護霊になってくれるなら、人助けくらい……出来るさ」
思ったよりも前向きな裕也の答えに喜ぶ古々。裕也は少し照れた様子で古々の問いにうなずいた。
『じゃあ、喜んで守護霊になるわ! 私は派手な活動が出来ないから、生身の人間が協力をしてくれるならありがたいし……これからよろしくね、裕也君。良かった、あなたは私の見込み通りね』
古々はそう言って裕也に握手を求める。そういえば、裕也を誘おうと考えていたのは、元々は明日香ではなく神使の二人であったことを思い出す。この言動を聞く限り、古々が裕也を誘う提案をしたと考えていいのだろうか?
古々が差し出す手に、思わず握手に応じた裕也だが、その手は見事に素通りしてしまう。やはり、彼女はどうあがいても実体はないようだ。
「しかし、さっきみたいな事で本当に神社に参拝客なんて来るのかね? 高校から駅までの間に神社に寄れるとはいえ……俺はあんまり頭が良くないから、どうすれば参拝客が増えるのかとかわからないしなぁ……」
「来てくれなきゃ困るよねー……まぁでも、案ずるより産むが易しって言うし? しばらくはこの方法でやってみようよ。少しでも効果があれば、神社にお越しになられたタケミカヅチ様へのもてなしも最低限の格好がつくはずだし。
ともかく、裕也君ありがとう……やっぱり、神社にご利益がないってんじゃ格好つかないでしょ? 神様をちゃんともてなせないと、ご利益がなくなっちゃうかもしれないからさー。古々の言う通り、頼んで大正解だったかも」
「買いかぶりすぎだよ。俺、まだお前の後ろをついてくるだけしかしてないし……」
まだ何もしていないのに明日香と古々に褒められ、どう反応したものかわからず裕也は謙遜する。
「あ、確かに何もしてない」
「だろ?」
「まぁいいよ、明日から頑張りましょう。それと、忘れちゃいけないのが……私たち自身も毎日お参りすること。タケミカヅチ様への感謝を捧げるの。今なら、こんな風に見えないものが見えているわけだし、神への信仰心の一つもわくでしょう?」
明日香は古々の体に手を貫通させながら言う。
「今までは神様の存在なんて真剣に信じちゃいなかったけれど……こんな風にフレンドリーに話しかけてくる妖怪みたいな神使とやらがいるのなら、神様くらいいるかもな……って、今なら信じられるよ。ご利益……あるなら、やる気も出るし……それに、守護霊にもなってくれるし……」
言いながら裕也は古々のことを見る。その視線に気づいた古々に微笑みを返されると、裕也は恥ずかしそうに目を伏せてしまうのであった。
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