ハーレム相撲部~女4人に男1人。おまけにかわいい守護霊も憑いてきて、一体何がどうしてこうなった?~

Ring_chatot

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第6章:自分のために

5話

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「……会社で、忙しいんだ。いま、家に帰るところ……この近くなんだけれど」
「こんな時間まで帰れないなら、そりゃもう忙しいんでしょうね」
「しかも、上司は俺のことを毎日無能だって言ってきて……俺にはたくさん仕事を押し付けるくせに、他のやつには甘くって……俺ばっかり目の敵にしやがる」
 明日香が愚痴を聞いていると、男性が置かれた状況は酷いものであった。上司からは毎日のように罵倒され仕事を押し付けられ、同僚もそれに追従するように馬鹿にされ、無視されたり一人だけ仲間はずれにするなどといった嫌がらせを受けている。
 そんな状況なので、仕事も失敗続きで、ミスも増えるし、そのせいで毎日遅くまで残業させられているのだという。最近はまともに眠れていない。
「酷いわね、それ。人って罵倒されると、ストレスを感じないために脳の働きを鈍くさせる防御反応があるのよ……でも、それをやると頭が亀みたいになっちゃうから、ストレスに耐性ができる反面、脳の働きは落ちるから、当然ミスや集中力の低下につながってしまう」
「は、はぁ……」
 明日香がまくし立てるが、男は彼女の言葉がきちんと頭に入っているとは思えない様子であった。
「だから、基本的に、人をけなしたり悪口を言うような奴はそれだけで無能。無能って言い返してやりなさい」
「え、あ、え……」
「……なんて言っても、そう簡単にできるわけないよね」
 様子を見る限り、この男の頭の麻痺具合はいつぞやの素華以上に深刻だ。素華が亀なら、この男はカタツムリくらいまで頭の回転がゆっくりになっていそうだ。
『なぁ明日香……少しマシンガントークを控えろ』
 そんな状態の相手に対しても変わらぬペースで喋り続ける明日香に、振々はため息をつく。明日香は、『ごめん』と言いたげに振々へハンドサインをした。
「無能とか……そんなこと言えるわけがない。そんなこと言ったら、クビにされる」
「そんなことを言っただけでクビを命じるような上司、人事や事務からしたらたまったものじゃないでしょうね。人を雇うための手続きって大変って聞くわ。私は何をどうやるのかは知らないけれど、クビにするならそれこそ無能。無能の二乗ねって言ってやりたい相手ね」
「そんなこと、俺が言うだなんて無理です……」
 男は弱気なことを口にする、と言いたいところだが、明日香のような態度を取るのは弱気じゃなくても難しいことだろう。
「仕事、やめられないんですか?」
「奨学金で……返さないといけないから」
「奨学金? あぁ、あの、大学に通うためにする借金のことですよね。そうなると、転職活動も不安だし……あ、そうだ。有給取りましょうよ有給! 高校生のバイトでも、有給は取れるんだって、学校で習いました」
 明日香の言うことは正論だ。だが、正論だからと言って受け入れられるものではない。正常な環境、正常な感情、正常な体調、そういった状況にない者に、正論というのは響かない。
「そんなの、許されるわけないから……」
「それって労働基準法に違反してるのでは……? 法律違反を堂々とするとは、中々すごい会社ね……褒められないけれど」
 本来は有給の許可を出さない会社のほうが許されないのだ。なのに、こうして休むことができない男がいるというのは、社会の歪みを感じざるを得ない。
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