オレンジ色の世界に閉じ込められたわたしの笑顔と恐怖

なかじまあゆこ

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オレンジ色の世界に閉じ込められたわたしは

楽しい夏祭りだったけれど

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  あの日、美奈は『わたしたこ焼き食べたいな~』と言ったかと思うとたこ焼きの屋台に向かって走り出した。

『美奈は子供みたいだよな』とクスクス笑う松木。

  急いでたこ焼きを食べ『わっ、あ、熱い』と慌てる美奈。そんな美奈に『慌てて食べるからだよ』と言って口元に手を当てて笑う真夜。

  そして、口の周りに青のりがついているよと指摘され慌てて手の甲で口の周りを拭う美奈。

  ただ、思い出すのは何度も思い出している楽しかったことばかりだ。

  だったら楽しいことしかなかったんじゃないの?  それでいいんじゃないの?

  そんなことを考えていると、「わたしもドジだよね」と言った現在の美奈がわたしの顔を見て笑った。

「……うん、そうだね」

「わたしと亜沙美ちゃんはやっぱり似ているかもね」

  美奈は笑いながらたこ焼きを口に運んだ。そして、「美味しい」とにっこり笑い食べた。

  やっぱりあの夏祭りの日は何もなかったのかもしれない。そう思いたいけれど何かがあったような気がする。

  天井に吊るされている色鮮やかな提灯が妖しげに輝いて見えた。まるで不思議な世界に閉じ込められてしまったそんな感覚を覚える。

  多香子も佐和も天井に吊るされている提灯を見上げていた。

  

  わたし達はたこ焼きとご飯をたくさん食べてお腹がいっぱいになり満足した。

  定食屋を出るとすっかり夜の帳が下りていた。

「オレンジ色の夕日はどこかに行ってしまったね」と美奈が空を見上げて言った。

  わたしも空を見上げると雨上がりの空は澄んでいて星がすごく綺麗だった。夕日も綺麗だけどこの星空も美しい。

  やっと、オレンジ色の夕日から抜け出せた。どうしてこんな気持ちになるのだろうか。空に広がるオレンジ色の夕日も夜空に輝く星も心が洗われるほど綺麗で美しいのに。

  同窓会に参加したみんなが星空を見上げていた。なんだか懐かしくて切なくてだけど、ずっとみんなと一緒に星空を見上げていたいとも思う。

  ずっと、ずっと、この空を眺めていたい。今、みんなはどんな気持ちでこの星空を見上げているのだろうか。

  今、この瞬間をかつての仲間達と一緒にいることが不思議でかけがえのない時間だと思う。そう思うと涙が出そうになった。

  そして、何気なくみんなを見ると信じられない光景がそこにあった。
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