上 下
22 / 85
俺は猫人間になりました

生焼け魚おかわりします

しおりを挟む
  俺はなんと生焼け魚をおかわりしてしまった。この世界にすっかり馴染むことができたようだ。まさかと思うが猫人間になったからなんてことはないよな。

  生焼け魚は頭から尻尾までまるごとかぶりと食べる。全部美味しい。骨なんてパリパリしていて最高だ。今までお箸で骨を丁寧に取りながら食べていたなんてウソのようだ。

  貧神も生焼け魚をおかわりして俺の隣で頭から丸かじりしている。その顔は幸せそうだ。良かったな貧神。

  そして、猫の親子ミキニルにゃんとチャーミにゃんも生焼け魚を頭から丸かじりしている。二匹の美味しそうに生焼け魚を食べているその姿が可愛らしくてたまらない。

「美味しいな」と俺は声に出した。

「ありがとうですにゃん。もう一尾食べる?」

  ミキニルにゃんが口の周りを舌でペロペロ舐めながら尋ねた。

「あ、はい食べます」と俺は答えてしまった。

「にゃはは、成行君はすっかり生焼け魚が好きになったんだね」

「あはは、まあそんな感じみたいですね」

  俺はちょっと照れくさくなりながら答えた。だって、あんなに拒否反応を示していたのに今は生焼け魚が大好きなんだもんな……。

「じゃあ、おかわりの魚焼いてくるにゃんね」と言ってミキニルにゃんは立ち上がった。

「あ、俺もおかわりだぞ」と 貧神が言った。

「わたしもおかわりだにゃん」

   チャーミにゃんもにゃんまり笑いおかわりと言った。

「うふふにゃん。生焼け魚はすっかり人気ね」

   ミキニルにゃんは嬉しそうに頬を緩め台所に向かった。
しおりを挟む

処理中です...