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俺達がこの世界にやって来たのは意味があるのかもしれない

魔法の村は様々な動物が暮らしているようです

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「でもさ、魔法の村ってことはさ魔法使いがたくさんいるのかな?」

「そうかもしれないな。神様の俺が魔法使いの村にこんにちはってするのも不思議な感じだよ」

「そうだよな。貧神はまだ神様のままだもんな。しかも、猫耳と尻尾をつけた神様だよな」

  俺は貧神の頭に生えている三角形の猫耳とお尻にくっついているふさふさもふもふの尻尾をじっと見てクスクス笑いながら言った。

「ふん、うるさいぞ。仕方ないだろう。あの能天気な猫の魔女っ子が失敗するだからな。成行お前こそ猫耳と尻尾のもふもふ少年だよな」

  そう言ってククッと笑う貧神を俺はキッと睨み「少年じゃないよ」と言って唇を尖らせた。

  なんて話をしながら歩く俺達の前をチャーミにゃんはてくてくとてとてにゃんにゃんとリズムよく歩いている。

  まあ、可愛らしいから許せるんだよな。もふもふってちょっとズルくて可愛らしくてそして、羨ましいよ。


  俺と貧神は魔法の村について色々想像を巡らせながら歩いた。

「こんにちはにゃん」

  チャーミにゃんは枝にとまるピンク色の蝶々や緑色の蝶々、紫色の蝶々、それから青色の蝶々に挨拶をしながら歩いている。

「綺麗な蝶々だな」

「見たことない蝶々だね」

  この世界の蝶々は色鮮やかでとても綺麗だった。

 「こんにちはにゃん」

  チャーミにゃんがまた誰かに挨拶をした。誰だろうと視線を向けるとそこには虎を小さくしたような動物が二本足で立っていた。

    おいおい、あれは猫ではなく虎だよな……。喰われたりしないよなとちょっと心配になる。

  隣にいる貧神に視線を向けると、神様のクセに恐怖にぶるぶると体を震わせていた。

「なあ、あの動物は虎だよな?」
「うん、そのように見えるぞ……」

   俺達が小声で言い合っていると、チャーミにゃんがこちらに振り向き、「トラッコちゃんですにゃん」と俺達に笑顔で紹介するではないか。
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