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魔法の村と魔法使いと動物達
トラッコさんってば……
しおりを挟むトラッコさんは恐ろしい虎ではないとわかったのだけど、やはりガオーと吠えられるとドキッとして足が震えてしまう。
「うふふ、成行さん、貧神さん仲良くしてくださいね。ガオー」
そう言いながらトラッコさんは俺達の前に近づいてきた。そして、なんと手を俺達に差し出してきた。
「は、はい……」と俺と貧神は答えたがやっぱりその声は震えてしまう。
だが差し出されたトラッコさんのその手は猫よりはずっと大きいのだけどぷにぷにした肉球があり意外と可愛らしい手だったのだ。
これは意外だなとちょっとほっとした。
俺はトラッコさんのぷにぷにしていそうなちょっと怖いけれど可愛らしいその手と顔を順番に見た。トラッコさんの目は澄んでいてとても綺麗だった。俺はその目に吸い込まれそうになる。
気づくと俺は差し出されたその手を握っていた。一瞬、あっ!! と思ったけれどぷにぷにもふもふしていてその手は触り心地が良かった。
「うふふ、成行さんよろしくね」
「あ、はい。トラッコさん、よろしくお願いします」
「わたしは猫よりちょっと体は大きいけど噛みついたりしないので安心してね。ガオー!」
トラッコさんは俺の目を見て優しく微笑みを浮かべた。とここまでは良かったのですがどうして、ガオーと吠えるんですか怖いですよとやはり言いたくなる。
「成行さんどうかしましたか? ガオー」
「あ、いえ……大丈夫です。はい」
「うふふ、貧神さんもよろしくね」
「あ、はい。よろしく」と貧神も挨拶をしてトラッコさんの差し出した肉球のある大きな手を握った。
「おっ! これはぷにぷにしていますね」
貧神は頬を緩めた。
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