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魔法の村と魔法使いと動物達

美味しい

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  俺が口に運んだ野菜炒めは沖縄チャンプルーの味に似ていた。少し堅めで大きめに切られた豆腐にニンジン、ニラ、モヤシ、キャベツなどの野菜と豚肉の炒め物だった。

「うん、美味しいぞ」と思わず声に出してしまった。だって、俺が会社なんて休んで行きたいなと思っていた沖縄の味がしたのだから。

  沖縄ではないけれどこの世界は癒しの空間だなと思いながら野菜炒めを口いっぱい頬張っていると、

「うふふ、うふふ」と不気味な男の笑い声が聞こえてきた。一体誰声なんだよ。めちゃくちゃ不気味な笑い声ではないか。

  この声はよく知っている人の声だよなと思いながら隣に座る貧神に視線を向けた。

  すると、貧神は口元に手を当てて「うふふ、うふふ」と笑っているではないか。この不気味な笑い声はコイツだったのかよと呆れてしまう。

「おい、貧神、不気味な声で笑うなよ」

「うふふ、うふふ。いや、なぜだかわからないがカモミールうふふティーを飲んだ途端笑いが止まらないんだ。うふふ、うふふ、だけどなんだか幸せな気持ちになっているんだよ。うふふ」

  貧神はうふふうふふと笑いながら返事をした。

「そのカモミールうふふティーは笑いをもたらす魔法のお茶なんだにゃん!」

  チャーミにゃんはそう言ってにゃんまりと笑った。
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