どうしてわたし外国人になっているのと春川砂織は鏡の前で叫びました!

なかじまあゆこ

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気がつくとサーリーになっていました

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  気がつくとわたしは柔らかなブロンドヘアの女性になっていた。

「こ、これはどういうことなの~」

  わたしは、思わず大きな声を出していた。

  だって、鏡に映るその女性はどこからどう見ても異国人なのだから。これは夢なのだろうか。そうだ、夢に決まっている。そう考えたほうが納得できる。

  わたしは黒髪ロングストレートヘアの日本人なのだから。

  やっぱり外国人は綺麗だなと思いながらわたしは鏡の中に映るその姿をじっと眺めた。スッと鼻筋の通った高い鼻、それでいて可愛らしい顔立ちに透けるような真っ白な肌に頬がほんのりピンク色に染まっているんだもの。うふふ、夢の中の世界を楽しまなくちゃね。

  わたしがニコニコしながら鏡をじーっと見つめていたその時。

「サーリーお嬢様」と誰かを呼ぶ声と同時にわたしの肩がポンと叩かれた。


  その声に振り返ると、「サーリーお嬢様、お朝食の時間でございますよ」とその女性はわたしの顔を見て言った。

「……サーリーお嬢様って誰ですか?」

「サーリーお嬢様、ご自身のお名前を忘れてしまわれたのですか?」

「ご、ご自身ってまさか……」

「はい、お嬢様のことでございますよ」

  女性はそう答え微笑みを浮かべている。

  そうだ、これは外国人になった夢なのだ。この夢の中でわたしはサーリーらしい。

「あはは、わたしはサーリーですね。ところであなたは誰ですか?」

「サーリーお嬢様寝ぼけていらっしゃいますね。わたしはメイドのマーリーですよ」

  メイドさんもいるなんてなんだかゴージャスな夢だな。このメイドさんは若草色のワンピースに真っ白なエプロンをつけているヨーロッパ風の外国人なのだから。

  わたしは外国人に憧れていたのだろうか。夢の中の世界を楽しむのも良いかなと思ったのだけど、それにしてもなんだかリアルだ。これは、本当に夢なのかなと考えてしまう。



  食堂に行くとテーブルクロスのかかったテーブルにパンや肉料理が並べられていた。焼きたてパンの香ばしい香りがふわふわと漂っている。

「サーリーおはよう」

  青色のドレスに身を包んだ四十代半ばくらいの女性がわたしに微笑みかけた。

「……お、おはようございます」

  わたしはぎこちない笑みを浮かべ席に着いた。

「サーリーおはよう」

  スーツの首もとにひらひらしたレースの胸飾りジャボがつけられている男性がにっこりと笑った。四十代後半くらいの男性なのになんて派手なんだろうと思わずじっと見てしまった。

「お、おはようございます」

  二人とも白人の外国人なんだけれど父と母の設定なのだろうか。

「さあ、食事にしましょう」

「こうしてサーリーと朝食を食べられるのも最後かな?  そう思うと父は寂しいぞ」

  そう言いながら男性は肉にフォークを刺し口に運んだ。

 父だと言うことはやっぱりわたしのお父さんの設定なんだねと思ったのだけど……。

「今、朝食を食べられるのも最後かなと言いましたよね?  それはどういうことですか?」

「可愛い大切な娘サーリー。だって、お前は今日結婚してしまうではないか。父は寂しくなるな」

  ハンカチーフを目元に当てて涙を拭っている。

  お父さん泣いているんですか?  ってじゃない!!

「い、今、結婚と言いましたか!!」
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