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あなたは誰ですか?
しおりを挟む日本で暮らすわたしは紅茶の香りに包まれていた。
お客さんが来店すると元気よく「いらっしゃいませ~」と笑顔で接客をしていた。
本当は人見知りする性格なのだけど学生の頃から大好きなカフェでいつか働いてみたいなと思っていたのだった。
ワッフルのふわふわ甘い香りや癒される紅茶の香りに包まれている時間が幸せだったのだ。この幸せな一時を誰かに提供することができたらいいなと思っていた。
そう、それでわたしは憧れていたカフェで働き始めたんだったけれど、それからどうしたのか思い出せない。
紅茶に添えられた輪切りのレモン。飲むと体がぽわぽわじわじわと温まり癒される。
わたしは、夢の中で紅茶を飲んでいた。すると、懐かしい誰かの顔が思い浮かんだ。あなたは誰ですか?
とても懐かしく感じる。ずっと、ずっと、会いたかった。
でも、だけど、何だろうか? 思い出そうとするのだけど、思い出せない。不思議でそれでいて悲しい思いが込み上げてくる。
わたしは、紅茶のティーカップに口をつけた。すると、マルコーリさんの顔が思い浮かんだ。
「サーリー、サーリー」
誰かがわたしを呼んでいる。でも、わたしはサーリーじゃないんだよ。わたしは、春川砂織なんだから。
「サーリー、夕食の時間ですよ」
目を開けるとマルコーリさんがわたしの顔を覗き込んでいた。
「わっ、きゃ~」
わたしは、思わず声を上げてしまった。
だって、眠りから覚め目を開けるとマルコーリさんの顔がありその綺麗な目とわたしの目が合ったのだからドキッとするではないか。
「あ、すみません。女性の部屋に勝手に入ってしまいました」
「あ、いえ、大丈夫ですよ」
わたしは、ベッドから体を起こしながら答えた。
「何度も呼んだのですがサーリーもシロリンも返事をしないので様子を見にきました」
マルコーリさんは、すみませんと顔の前で手を合わせ謝った。
「あ、いえ、びっくりしただけなので……」
「それでしたら良かったです」
マルコーリさんはにっこりと笑った。その笑顔は穏やかでホッとするようなそんな笑顔だった。
ぐーぐーすーすーぴー、ぐうーぐうーすーすーぴー。
夢の中の世界とマルコーリさんのわたしの顔を覗き込むその顔にびっくりして気がつかなかったけれど、シロリンはまだイビキをかいているではないか。
「シロリンも起こさなきゃですね」
「そうですね。あの猫ちゃんのイビキは凄いですね」
わたしとマルコーリさんは顔を見合わせ笑い合った。
その時。
「う~ん、よく寝たにゃん!」
シロリンがベッドから起き上がり大きなあくびをした。
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