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第三章 ここから始まる

1 良い一日になるかな

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  今日も沖縄の空はキラキラと眩しく輝いている。わたしはベランダに出て綺麗な青空を眺めた。どこまでもどこまでも青い空が広がっていて眩しい。

「今日も良い一日になりそう」

  大きく伸びをして深呼吸をした。朝の空気が心地好くて今日も頑張ろうと思えてくる。この青空はどこまで続いているのかな。そんなことを考えるとなんだか不思議な気持ちになる。

  わたしの住んでいた東京はずっとずっと遠くだけど、この綺麗な空と繋がっている。東京は今日は晴れているかなそれとも雨だろうか。

  お父さんやお母さんは元気にしているかな。随分と遠くに来てしまったけれどこの空と繋がっていると思うと少しだけホッとした。

  なんて、考えていると部屋の扉がばたんと開いた。

「真理子、真理子~」とみどりちゃんの甲高い声が聞こえてきた。うるさいなと思いながらベランダから部屋に戻ろとしたその時、

「真理子、朝だよ。起きるのよ」

  みどりちゃんはどうやらわたしが寝ていると思っているようだ。失礼しちゃう。

「みどりちゃん、わたしはここだよ。起きてるよ」

  わたしは元気よく答えた。

 
  
  部屋に戻るとみどりちゃんがわたしの掛け布団を掴んでいた。

「あれ?  真理子ってば何処にいるのかな?  お布団の中じゃないの?」

「ちょっと、ちょっとみどりちゃんてば何してるのよ~」

  みどりちゃんは信じられないことにわたしの掛け布団を掴んで布団の中を覗いていた。

「あれ?  真理子布団の中じゃなかったの?」

  みどりちゃんはベランダから戻ったわたしの顔をびっくりしたように目を見開き眺めるのだから失礼してしまうのだ。

「みどりちゃんって本当に失礼な人だね。わたしは毎日朝寝坊なんてしないもんね」

  わたしは、ぷくりと膨れて見せた。

「あははっ、真理子ごめんね……いつもわたしが叩き起こさないといつまでもぐーぐーぐーってお腹を出して寝てるのが真理子じゃない」

  みどりちゃんは失礼なことをもう一度言ってニヤリと笑った。

「ふん、失礼しちゃうよ。ふんだ、ふんだ、毎日ぐーぐーぐーっなんて寝てないもんねーだ」

「あら、そうかしら?」

  クスクス笑うみどりちゃん、そんなみどりちゃんを睨むわたし。いつもの日常と新しく始まる今日という日に希望と夢を乗せて。
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