あやかしが集まるイートインコーナーへようこそ(閉店後の天狗様付きスーパーへあなたもようこそ)

なかじまあゆこ

文字の大きさ
1 / 1
あやかしが集うスーパーに迷い込みました

夜になるとあやかしの

しおりを挟む

 夜になると不思議なあやかし達が集まるスーパーがある。その妖しげな世界に足を踏み入れることができる人間は少数のようだ。

 その少数の人間の中にどうやらわたしは入っているらしい。



 今日は残業があり、わたしはヘトヘトになり電車に乗っていた。ちょうど座れたのでラッキーだった。車内はぽかぽかしていて眠気が襲う。それに加え電車のガタンゴトンという規則的な揺れがもう寝てくださいと言っているかのようだ。

 わたしは気づくと寝ていた。ガタンゴトン、ガタンゴトンという音やリズムカルな揺れが、なんだかリラックスできて心地よくて、ゆらりゆらりとゆりかごに揺られているような感覚になる。

「あ!!」
 時既に遅しだった。電車は最寄りの駅を通り過ぎていた。しかも終点だった。

 わたしの馬鹿と思わず声に出して叫びそうになった。だって、最終電車だったのだから。

 先程までの心地よさから一気に絶望感へと変わる。

「ああ、もう仕方ないや。歩いて帰ろう」

 わたしは、住宅街の夜道をカバンを振り回し歩く。本当についてないや……。残業も無理矢理押し付けられたし、朝は何もないところで転んだ。昼間は、買おうと思っていたパンが売り切れていた。こんな日もあるんだ。そう思わないとやっていられない。

 そんなことを考えながら歩いていると、スーパーの看板らしきものが見えてきた。赤地の看板の上に白の文字で『スーパーあやかし(天狗様付き)』と書かれていた。

「あやかし? 天狗様付き? 変な名前のスーパー」と、わたしは声に出し呟いていた。何回か訪れたことのある町ではあるけれど、こんなスーパーなんて記憶にない。わたしは、『スーパーあやかし(天狗様付き)』の白文字をじっと眺め続けた。

 何故だか興味が湧く。

 わたしは、『スーパーあやかし(天狗付き)』のドアに掛けられている『ただいま営業中』のプレートを確認する。

「よし、入ってみようか。どうせ終電は行ってしまったんだもんね」

 わたしは、妖しげな雰囲気が漂う店内に足を踏み入れた。すると。

「いらっしゃいませ~」と元気な声がわたしを迎え入れてくれた。

 入口を入ってすぐのところに美味しそうなお弁当やお惣菜にパンなどがずらっと並んでいた。そのお弁当などを買ってその場で食べられる窓側に面しているイートインコーナーがあり、細長いカウンター席が横に二列並び。その後ろに、二人掛けのテーブル席が三席あった。

 その時、わたしはのお腹が、ぐーぐーきゅるきゅると鳴った。

 わたし町中まちなか麻葉衣まよいは夕飯もまだだったことに気がついた。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

行き遅れた私は、今日も幼なじみの皇帝を足蹴にする

九條葉月
キャラ文芸
「皇帝になったら、迎えに来る」幼なじみとのそんな約束を律儀に守っているうちに結婚適齢期を逃してしまった私。彼は無事皇帝になったみたいだけど、五年経っても迎えに来てくれる様子はない。今度会ったらぶん殴ろうと思う。皇帝陛下に会う機会なんてそうないだろうけど。嘆いていてもしょうがないので結婚はすっぱり諦めて、“神仙術士”として生きていくことに決めました。……だというのに。皇帝陛下。今さら私の前に現れて、一体何のご用ですか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...