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おばあちゃんのおはぎをたらふく食べよう

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「とっても美味しいおはぎですね。わたし何個でも食べられそう~」

  ひよこちゃんが満面の笑みを浮かべながらおはぎを食べている。

「うん、これは美味しい」

  神本さんもうんうんと頷き笑顔でおはぎを食べている。

「喜んで頂けて光栄ですわ」

  おばあちゃんは目を細めて笑った。

「佐波ちゃんのおばあちゃんは料理上手なんだね」

  口を大きく開けおはぎを食べているとひょこちゃんが言ってきた。

「うん、わたしの自慢のおばあちゃんなんだもん」

  おばあちゃんは料理上手だ。これは本当だ。おばあちゃんが生きていた頃に何回料理を食べただろうか。それはもう数えきれない回数だ。


  今食べているおはぎもあんこから手作りで甘さが控えめでおばあちゃんらしい味が口の中に広がる。何個でも食べられるよ。

  わたしは、幸せな気持ちになりながらぱくぱくおはぎを食べた。気がつくと涙が頬を伝っていた。

「あら、佐波ちゃん泣いているのかい?」

  おばあちゃんがズズズッとほうじ茶を飲みながらわたしの顔をじっと見た。

「うんうん、大丈夫だよ。おばあちゃんのおはぎがあまりにも美味しくて泣いてしまっただけだよ」

  わたしはとびっきりの笑顔を作り涙を手の甲で拭いた。

「うふふ、佐波ちゃん、それはありがとう。いい思い出になったよ」

「……おばあちゃん、思い出なんて言わないでずっと、わたしのそばにいてよ。ねえ、おばあちゃん」

  わたしはおばあちゃんの顔を真っ直ぐ見て言った。

「ありがとう。佐波ちゃん。でもね、わたしは帰らなくてはならないのよ」


  おばあちゃんは柔らかく微笑んだ。
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