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ちらし寿司と込み上がる涙
しおりを挟むわたしの部屋でみんなでちらし寿司を食べた。今日食べたちらし寿司はとっても美味しかった。おばあちゃんの懐かしい味と、神本さんとひよこちゃんの優しさがぽわぽわとわたしの胸に伝わってきた。
「ちらし寿司美味しいわね。佐波ちゃんがおばあちゃんのちらし寿司大好きって言ってくれたことを思い出すわ」
おばあちゃんは遠い目をしながら話した。過去に思いを馳せているのだろう。
「うん、わたしおばあちゃんのちらし寿司大好きだったよ」
「佐波ちゃんがたくさん食べてくれるから作り甲斐があったのよ。だから気持ちを込めて作ったわよ」
「そっか、だから美味しかったんだね。わたしおばあちゃんの作ってくれるご飯が大好きだったよ」
「うふふ、ありがとう」
「こちらこそだよ。ずっと、ず~と、おばあちゃんのご飯が食べたかったんだよ」
ちらし寿司を口に運び食べると懐かしさが胸に込み上げてきて涙が出た。
「……佐波ちゃん、泣かないでね」
「……だ、だって、おばあちゃんのちらし寿司美味しいんだもん。今日嫌なことがあっておばあちゃんのご飯を食べたいと思ったのにおばあちゃんは居ないんだから」
手の甲で涙を拭いたけれど、わたしの目からぼろぼろ涙が零れ落ちた。
「……おばあちゃん、佐波ちゃんにもっとたくさんの料理を作ってあげたかったわ。ごめんね、佐波ちゃん」
「ううん、おばあちゃん謝らないで」
わたしはそう言いながら子供みたいにわんわん泣いた。
そんなわたしのことをおばあちゃんは優しくて悲しい眼差しで眺めていた。それと神本さんとひよこちゃんもじっとわたしのことを見守ってくれていた。
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