久しぶりにおばあちゃんのお好み焼きが食べたいな

なかじまあゆこ

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優しい温もり

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「ううん、いいのよ。佐波ちゃんが生きているってことがお母さんもお父さんも嬉しいのよ」

  そう言ってお母さんは柔らかな笑みを浮かべた。そして、わたしを見るその目は潤んでいた。きっと、心配してくれていたのだろう。
  
  わたしは、夢を見ていたのだろうか?  おばあちゃんと話をしたこともそれからきつねとたぬきの妖かしである神本さんとひよこちゃんに会ったことも。

  そんなはずはない。おばあちゃんの柔和な微笑みに手の温もりもちゃんと覚えているし、みんなでテーブルを囲んでちらし寿司を食べたこともまやかしではない。

  甘さ控えめでホッとするおはぎも懐かしさがじわじわよみがえったお好み焼きもソースの香りもちゃんと覚えている。

  それから甘いマスクにミスマッチな可愛らしい三角形の耳を頭からにょきにょきと生やした神本さんも、それからキュートな笑顔によく似合う丸い耳を頭からにょきにょきと生やしたひよこちゃんも確かに存在していた。

「佐波、どこか痛いのか?  大丈夫かい?」

  お父さんが心配そうにわたしの顔をじっと眺めた。

「ううん、大丈夫だよ。心配かけてごめんなさい」

  わたしは、お父さんの目を見て言った。

「佐波、何も謝ることはないんだよ」

  お父さんはそう言いながらわたしの頭を撫でた。その手から優しい温もりが伝わってきて嬉しかった。
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