久しぶりにおばあちゃんのお好み焼きが食べたいな

ひよこカフェ食堂へレッツゴー！

「佐波さん、おはようございます」

    艶のある妖しげでちょっとドキっとする声が降ってきた。

  この声は……。振り返ると色白で毛穴がないのではと思えるほど美肌な男性が口角をキュッと上げて美しい微笑みを浮かべていた。

「か、神本さん！  神本さんも存在していたんですね」

  そうなのだ。その美しくて妖しげな男性は神本さんだった。

「神本さんも存在していたんですかって何を言っているんですか。佐波さんのおばあさんのお好み焼きやちらし寿司を再現してみんなで食べましたよね。それに佐波さんのおばあさんの甘さが控えめなおはぎもとても美味しかったですよ」

  神本さんは口元に手を当ててクスクスと笑った。

「……はい、そうでしたね」

「そうですよ。では、佐波さんひよこ食堂に行きましょうか」

  神本さんはにっこりと笑ってそう言うのだけど、どうしてひよこ食堂にまた行くことになっているのだろうか。ひよこちゃんと同じことを言うのだから困ってしまう。

  わたしが黙って思いを巡らせていると、

「さあ、佐波さん行きますよ」、「佐波ちゃん、行くわよ」とわたしの右腕を神本さんが掴み左腕をひよこちゃんが掴んだ。

  わたしは二人にずるずると腕を引っ張られながら歩いた。

  今、気がついたのだけど神本さんの頭からも三角形の耳がにょきにょきと生えていた。

  わたしは、このたぬきときつねの妖しが存在していたことがなぜだか嬉しくて頬が緩んだ。