異世界カフェ食堂で皿洗いをしますと思ったら日本料理を創造する力が与えられていた!(もふもふ聖獣猫のモフにゃーと楽しく日本料理を創造します)

なかじまあゆこ

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アリナがこの世界にやって来たのは

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「おじさん、そのウインナーわたしのだにゃん」
「いやいや、そのウインナーはこのライオン魔獣鳥である俺のウインナーだ。おじさん食べてしまったのだな」

 モフにゃーとギャップはお客さんである男性に失礼なことを言っている。

「ギャップちゃんのウインナーじゃないにゃん。じゃがいもをあげたにゃん」
「モフにゃー主何を言うのだ。このライオン魔獣鳥である俺がじゃがいもと大根を譲ったではないか」

 モフにゃーとギャップはまたまた醜い譲り合いを繰り広げている。

「……俺はもふもふさん達のおでんを食べてしまったのかな? 大根もじゃがいもも胃の中にあるよ……」

 男性は申し訳なさそうに食いしん坊なもふもふ二匹を見た。

「そうだにゃん。わたしのおでんだにゃん」
「そうだぞ。俺のおでんだ」

 モフにゃーにギャップよ。君達は間違えているよ。

「モフにゃーにギャップちゃん。違う~」

 わたしはもふもふな二匹に視線を向け言った。

「うにゃん?」
「ん?」

 モフにゃーとギャップは可愛らしく首を横に傾げきょとん顔だ。その姿があまりにもキュートで思わずぎゅっと抱きしめたくなる。けれど、ここは我慢しなくては。だって、わたしはお客さんに日本料理をおもてなしするんだもんね。

「そのおでんはねお客さんのおでんなんだよ」

 わたしは、ちょっと強めの口調で言った。

「えっ? わたしおでん食べたいのににゃん」
「へっ? 俺もおでんとやらを食べたいぞ」

 モフにゃーとギャップはうるうるした目でわたしとお客さんのおでん皿を交互に見つめる。

「食べたくても我慢しなくちゃいけないんだよ」
「我慢にゃん……」
「我慢……」
「うん、そうだよ。モフにゃーもギャップちゃんもここの店員さんだよね」

 わたしはモフにゃーとギャップの前に立ち二匹のもふもふな肩に手を置き「わかった」と言った。


 モフにゃーにギャップはわたしとおでんを交互に見比べ、それからお客さんの男性をじっと見ている。

「あはは、可愛らしいもふもふさん達。一緒におでんを食べるかい?」

 男性は優しい眼差しを食いしん坊な二匹に向けた。

「食べるにゃん。わたしおでんをご一緒するにゃん」
「俺もおでんの食べ放題じゃない。おでんをご一緒するぞ」

 モフにゃーとギャップのその目はまるで宝石のようにキラキラと輝いた。

「もう、モフにゃーにギャップちゃんってば……」
「困った奴らだよな」

 わたしとお父さんは顔を見合わせ溜め息をつく。

「あはは、いいんですよ。まだ、がんもどきにそれから、こんにゃくにちくわ、厚揚げにしらたき、さつま揚げ、ごぼう天やはんぺんもありますからね」

 おでんの湯気に包まれた男性はとっても太っ腹で優しい人だ。
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