15 / 61
あの子の影に怯えて
雪と思い出……そして嵐の前の静けさ
しおりを挟むわたし達が玄関の扉に手をかけると、里見さんがやって来て、「いってらっしゃい。楽しんで来てくださいね」と言った。
わたし達は、「いってきま~す、楽しんできま~す」と挨拶をして外の世界へと飛び出した。
外は部屋の中とはまるで違う世界が広がっていた。真っ白な雪の世界、そして、冷たい空気がぴりぴりと頬に触れて冬の寒さが身に染みる。
「寒いねー」とわたし達は口々に言った。
都会育ちには堪える寒さだった。
だけど、一旦雪の中に身をおくと寒いことなんてあっさりと忘れてしまう。綺麗な雪がわたしをお出迎えしてくれた。
「まずは、雪合戦? それとも雪だるまでも作る?」
花音ちゃんはポテトチップスをバリバリ食べながら言った。
「花音ちゃんてばポテチどこかに置いてきたら?」
わたしが言うと花音ちゃんは、
「え~わたしの元気なもとはこのポテチなんだよ~」
なんて言いながらポテトチップスの袋を握りしめている。誰も取らないのに可笑しい花音ちゃんだ。
わたし達のやり取りを見ていた他の皆が、
「花音ちゃんってどこまで食い意地が張っているのよー」
「おデブさんに復活するわよ」
「横綱復活だぞ~」これは太郎。
皆が花音ちゃんに言いたい放題なものだから、花音ちゃんは、ほっぺたをぷくりと膨らませた。
皆とこうしているとなんだか子供の頃に戻ったみたいで楽しい。
エイヤッ~
花音ちゃんの頭に雪玉が直撃した。
花音ちゃんの頭に雪玉を投げたのは、いたずらっ子の代表選手だと言える太郎だ。あの頃と大人になっても変わっていない太郎。
「ちょっと~太郎、ズルいよ~不意討ちなんて!」
怒る花音ちゃん。
これも確かに、小中学校の時に太郎と花音ちゃんのお決まりだったような気がする。
花音ちゃんが怒れば怒るほど、攻撃を止めない太郎。怒る花音ちゃん。
楽しかったなあの頃。
だけど一つだけ忘れてはならないことがあったのだ。
それは、里美のこと。わたしが里美にしたこと……。
だけど、だけど、あれは……。
ベチャ!
あ、誰かがわたしに雪玉攻撃をしてきた。もう、誰よ。わたしはニット帽子にぶつけられた雪を払いながら後ろに振り返った。
すると、すみれがにへへっと笑っていた。そして、またすぐに雪玉攻撃をしてくる。
「ちょっと~すみれ~何をするのよ」
わたしは、雪玉を作りすみれに向かって思いっきり投げた。すると面白いことにすみれの顔面に直撃した。やったー!!
「未央ちゃん、酷いな~」
すみれは、顔にかぶった雪を払いのけて、
「クソ~、倍返しじゃ」
と言ってわたしに投げてきた。
すると、すみれの投げてきた雪玉はわたしの顔面に見事に直撃した。
負けてたまるかと、お互い雪玉をぶつけ合った。
わたし達以外の他の皆も雪玉の投げ合いをして楽しんでいる。雪合戦だ。
はぁはぁと息を切らして、本気になって遊んでいる。こんなに本気を出して遊んだのはいつ以来だろうか?
思いっきりはしゃぐと体の中の空気が入れ替わるのかとても気持ちいい。
嫌なことや辛いことその全部が洗い流されていくようだ。
雪の中で遊んでいると寒かったはずの身体が徐々にあたたまって今はポカポカになってきた。
それから六人で雪の真っ白なお布団の上に大の字になって寝転んだ。
そして、空を見上げると綺麗な青空が見えた。今、この瞬間は平和だ。キラキラと輝く太陽が雪を綺麗に照らしている。
この時のわたしは幸せな気持ちでいっぱいだったのだ。この先に待ち構えている、渦巻く人の恐ろしさに気がついていなかった。
何故、わたしはここにいるのか考えると良かったのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
皆さんは呪われました
禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか?
お勧めの呪いがありますよ。
効果は絶大です。
ぜひ、試してみてください……
その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。
最後に残るのは誰だ……
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
霊和怪異譚 野花と野薔薇[改稿前]
野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。
静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。
『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。
一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。
語られる怪談はただの物語ではない。
それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。
やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。
日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。
あなたも一席、語りを聞いてみませんか?
完結いたしました。
タイトル変更しました。
旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。
本作は改稿前/改稿後の複数バージョンが存在します
掲載媒体ごとに内容が異なる場合があります。
改稿後小説作品はカイタとネオページで見られます
【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~
榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】
ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。
八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。
===
エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中
【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】
【怖さレベル】
★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度
★★☆ ふつうに怖い話
★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話
※8/2 Kindleにて電子書籍化しました
『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる