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第三章 里奈の気持ち
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しおりを挟む「ねえ、里奈、それってどう考えても鈴子ちゃんは盗んだりしていないよね」
「わたしもそう思う。あの意地悪なクラスメート達がやったと思う」
里奈は唇を尖らせながら答えた。
「でも、里奈は、教室を出て行った鈴子ちゃんを追いかけないで教室にいたんでしょ。何故?」
「なんでか分からない、分からないよ……」
里奈は吐き捨てるように言った。そしてとても後悔したと、とてもとても大きな後悔をしたと……。
それは何故ならば……。
里奈の話をまとめると。
それから暫くすると鈴子ちゃんは里奈の通う学校から姿を消した。それは里奈のことが嫌いとかではなくて、鈴子ちゃんのお母さんが倒れたから。
それは、ある日突然だった。
鈴子ちゃんから、『わたし、転校することになったから。明日からもうこの学校には来ないから。元気でね。さようなら』と言われた。
里奈は、びっくりして何も言えなかった。
言えたのはただ一言。
『え、そんな……。嘘だよね』
それだけだった。
あの鏡騒動から一言も話をしていなかった里奈と鈴子ちゃん。里奈は話そうと何度もしたけれど、口がまるで貝のようになり動かなかった。
それに、わたしは悪いことは何もしていないのだからという思いも里奈の中にあった。
わたしは、鈴子ちゃんが鏡を盗ったなんて思ってないよ。鈴子ちゃんも分かっているよね……。
遠ざかっていく鈴子ちゃんの後ろ姿。
その後ろ姿は、とてもとても哀しく見えた。
わたしは、鈴子ちゃんに声を掛けたかった。なのに、声が出ない。鈴子ちゃんに伝えたい言葉が見つからない。高校に入学してはじめてできた友達だったのに。こんな形でさようならになるなんてあまりにも哀しい。
だけど、何も言えないまま里奈の前から鈴子ちゃんの姿は見えなくなってしまった。
里奈にとって、今まで生きてきた中でこれが人生最大のショックな出来事であり悔やむ出来事だったと話した。
自分の勇気のなさに肩をおとして暫く動けなかった。
そして、鈴子ちゃんはお母さんが倒れた為、全日制の高校から定時制に転校すると担任の先生の朝のホームルームの話ではじめて知ったのだった。
鈴子ちゃんは、どうしてわたしに何も話してくれなかったのかな。やっぱり友達だと思っていなかったのかな。寂しさと渦巻く靄で心の中がえぐられる、そんな気持ちになったと里奈は話した。
ーーー
と、いうわけなの。
里奈はそう言って牛乳を一口飲んだ。
「そっか……。里奈も辛かったんだね。それで、鈴子ちゃんとはそれから一回も会っていなかったの?」
「うん。おばあちゃんのカフェで再会するまで一度も。この前は本当にびっくりしたよ」
そうなんだ。再会した二人はどんな気持ちになったのだろうか。
わたしは、鈴子ちゃんの口をぽかーんと開いていた情景を思い出した。そして、里奈のうつむき唇を噛みしめる表情を……。
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