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第八章 佐美さんの旅行
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しおりを挟む「こらこら、里奈ちゃん、やめなさい」とおばあちゃん。
「おばあちゃん、楽しいよ~滝打ちで修行僧気分だよ~おばあちゃんもやったら」
里奈はニマニマ顔で笑う。
「楽しそうじゃん」
佐美さんは里奈の滝打ちを見て笑っている。
万吉さんは、お名前シール全開で複雑な表情で滝打ち中。たぶんお名前シールのことは忘れていそうだ。
「わたしも、やって来よう」
佐美さんは鮮やかなオレンジ色のワンピース水着で颯爽と歩く。
「こら、佐美~やめなさい!」
おばあちゃんは注意をする。
ああ、この家族はなんなんだろうか。
「早くるり子ちゃんもやろうよ」
里奈がわたしを大きな声で呼ぶ。
嫌だよ。わたしは、やりたくない。
信じられないほどお馬鹿な光景だ。この人達は完全にお馬鹿さんだ。
里奈は頭から滝打ちをして、「うははっ、痛い気持ちい~」と喜んでいる。
その隣で、万吉さんが『お名前ゲゲゲッシール』をスクール水着風の水着に貼り付けてあることも忘れて、「気持ちいいですよ~梅子さんもるり子ちゃんもやりませんか?」と頭から滝打ちをしながら手招きをする。
その隣には、鮮やかなオレンジ色のワンピース型の水着で目立ちすぎている佐美さんが頭から滝打ち。
佐美さんも、「るり子ちゃん~お母さん、早く来たら」だって……。
なんて、オマヌケな家族だろう! あ、万吉さんは他人か。なんて笑っていたら、オレンジ色の水着が視界に入った。そして、その人物がわたしの腕を引っ張るではないか!
わたしは、その人物こと佐美さんの手により無理矢理浴槽から引きずり出された。
そして、ああ。滝打ちのコーナへと連れていかれるようだ。
それと、入れかわりに里奈がこちらに向かって歩いてくる、後ろを振り向くと、里奈は湯船に浸かるおばあちゃんの腕を引っ張っている。
なんたることだ!!
それにしてもどうしてご丁寧に滝打ちコーナが五つも揃っているわけ。目の前にはお名前シールを全開にして滝打ちをする万吉さんの姿。
ああ、わたしもこの中に? 嫌だ、最悪だ。恥ずかしい誰か助けてください。
佐美さんは嫌がるわたしを無理矢理ズルズル引っ張る。あんまりではないか。わたしも遂にお馬鹿な人達の仲間入りになるの?
おばあちゃんも里奈に連行された。
「楽しいですよ~」と滝打ち中のお名前シールが眩しい万吉さんが言う。
「早くるり子ちゃんも一緒に滝打ちをしよう」
佐美さんは、にへへっと笑い、打たせ湯の前にわたしを立たせた。
「るり子ちゃんも南橋家に住んでるし梅子おばあちゃんの孫じゃん、一緒に滝打ちだ~」
里奈もわたしを滝打ちに誘う。
「でも、梅子おばあちゃんは滝打ちなんてやりたがっていないよ」とわたしは答えたのだけど……。
何故、何故、どうして?
「梅子おばあちゃんは滝打ち中だよ~るりるり」
と里奈が笑った。
そうなのだ。気がつくとおばあちゃんは滝打ちをしていた。頭から滝打ちをしている。
どうして、どうして滝打ちしているの? 梅子おばあちゃん。嘘だと言ってよ。
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