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第八章 佐美さんの旅行
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しおりを挟むおばあちゃんの周りは、鹿だらけになった。
「まあまあ、あらあら鹿さん。落ち着いて、鹿せんべいあげるから」
鹿は、おばあちゃんに群がっている。
どんどんどんどん鹿はおばあちゃんに近づき鼻の頭をおばあちゃんの手にくっつける。
「あらあら、鹿さん」
おばあちゃんは鹿に鹿せんべいをあげると、鹿はバリバリと食べた!
そして、おばあちゃんが鹿に鹿せんべいをあげ終えて、その場を立ち去ろとすると、鹿はおばあちゃんから離れない。
そこに万吉さんが駆け寄り、「梅子さん、大丈夫ですか?」と正義の味方のようだ。
なんだけど、鹿は駆け寄った万吉さんに矛先を変えて、万吉さんをつつく。万吉さんはびっくりして逃げた。逃げる万吉さんを鹿が追いかける。
万吉さんは、走り出した。走る万吉さんを追いかける鹿軍団。
逃げる万吉さんは、「ぎゃ~ぎゃ~ぎゃ~」と大声を上げて逃げる。
ああ、もう誰もそんな万吉さんを助けることなんてできないよ。
「鹿さん。本当に、本当にやめてくださいよ~助けて佐美さん~」
万吉さんは、佐美さんに助けを求めるが、佐美さんに視線を向けると白けた顔をしている。
「ぎゃ~ぎゃ~ぎゃ~」
走る万吉さん。それを追いかける鹿軍団。
「鹿さ~ん! その万吉(ゲゲゲッ)猫の敵を好きなだけ追いかけていいわよ」
佐美さんは大声で叫んだ。
「佐美さん、酷いです、あ、ぎゃ~鹿さんやめてくださいってば、お願いします」
万吉さんは、鹿にお尻を舐められている。いや噛られているのでしょうか?
「ぎゃ~ぎゃ~ぎゃ~」
万吉さんは、鹿をよけて走り出す。逃げる万吉さん。追いかける鹿軍団。
万吉さんは、逃げて木に登る。木の下からそんな万吉さんを眺める鹿軍団なのでした。
万吉さんは、「ぎゃ~ぎゃ~ぎゃ~!!」と喚き続ける。それはもう、彫刻顔が崩れて情けないたらありゃしない姿なのである。
木の下から鹿が万吉さんを見上げる。
ぎゃ~ぎゃ~ぎゃ~と喚く万吉さん。その万吉さんを見つめる鹿にわたし達は、そろ~りそろ~りと近づく。
近づいたわたし達は……。
パシャリ! パシャリ! パシャリ! パシャリ!
と、おばあちゃん、里奈、佐美さん、そしてわたしが哀れな万吉さんと鹿軍団を激写する。悪魔のような家族である。
「あなた達は悪魔ですか~」
万吉さんは、木の上から泣きそうな声を出しながら怒る。
これが奈良での一番の思い出になる事は間違いがないでしょう。
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