梅子ばあちゃんのゆったりカフェヘようこそ!(東京都下の高尾の片隅で)

なかじまあゆこ

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第八章 佐美さんの旅行

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 万吉さんは、哀れな姿でたこ焼きが入っている舟皿を手に持ちしぶしぶとカウンター席へと向かう。その姿は哀愁が漂っている。

「さあ、食べようよ、美味しそうだよ」

   と佐美さんは万吉さんの事なんてまったく気にしていない様子で、たこ焼きを食べ始めた。

「美味しいよ~」と佐美さんはご満悦顔だ。

     わたしも、たこ焼きを口に運ぶ。うわー美味しい、外はカリッとしていて中はもうとろりとろりしていて、たこも大きいのが入っていて最高だ。幸せ。

   おばあちゃんも里奈も嬉しそうな顔をして食べている。里奈は牛乳がないことだけが不服そうだけど。

   と、その時。

「熱い~うわうわぁ~」

 万吉さんの叫び声がカウンター席から聞こえてきた。

「万吉さんは大丈夫かな?」とわたし。

「ほっとけば急いで食べるからでしょう」

   わたしの目の前に座る佐美さんは、冷たく言い放す。

「ちょっと可哀相だけどね」と里奈。

「熱いっ~うわうわぁ~」と万吉さんの声がまた聞こえてきた。

   すると、おばあちゃんは立ち上がり慌てて万吉さんにお水を持っていく。

   万吉さんはおばあちゃんからお水を受け取り、「梅子さんありがとうございます」とお礼を言った後、ゴクゴクと一気に水を飲み干した。

「いやぁ~もう、本当に熱かったですよ~」

   万吉さんは涙目になりながら言った。

「ゆっくり食べるのよ」

おばあちゃんは優しく言った。

「ありがとうございます。梅子さんは天使のようです」

 万吉さんはそう言って頭を下げた。

 佐美さんは、「アホめ」がと笑っている。

「ねえ、カウンター横並びに五席分空いたよ」

  わたしが佐美さんにカウンター席に行こうよと言うと、

「え~面倒だよ~」佐美さんは面倒くさげな声を出すけど、流石に可哀想に思えてきた。

  なのでわたしは、たこ焼きの入った舟皿を手に持ちカウンター席に移動した。だって可哀相だもんね。



  わたしがカウンター席に移動して万吉さんの右隣に座ると、万吉さんは、「るり子さん~ありがとうございます~」とわたしの顔を見て満面の笑顔になった。

  特別なことをしたわけでもないのに、お礼なんて言われると、こそば痒くなる。

「いえいえ。皆で食べるほうが美味しいですもんね」 とわたしは答えた。

  そして、おばあちゃんが万吉さんの左隣に座った。

  席の並びは、おばあちゃん、万吉さん、わたし、里奈、渋々カウンター席に座った佐美さんの順になった。

 「万吉さん、たこ焼き美味しいわね。やけどしないようにゆっくり食べるのよ」

 おばあちゃんが万吉さんに声を掛けると、

「はい、美味しいです。やけどしないように気をつけます」

  万吉さんは、嬉しくてたまらいような弾んだ声になる。 余程、佐美さんの酷い扱いに堪えていたのだろう。

  佐美さんももう少しは優しくしてあげたらいいのにな。

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