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学校と狛犬達とクラスメイトそれから……神様

お弁当の時間だよ

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「騒がしい授業だったね~」

  一時間目の授業が終わると華夜ちゃんがこちらに振り向き言った。

「やっぱり聞こえていたよね」

「うん、もうバッチリ聞こえていたよ~狛犬ちゃん達が黒板消しがどうのこうのって騒いでいたよね」

  華夜ちゃんがクスクス笑った。

「だって、チョークで書いた文字がサッと消えるんだもん!  びっくりしちゃうよ」

  わたしの代わりに狛子が答えた。

「あはは、わたしは狛犬ちゃん達が喋ってることの方がびっくりするな~」

  そう言ってクスクス笑う華夜ちゃんに狛子と狛助が「ちゃんと名前があるよ~」と口を揃えて言った。

「狛子ちゃんと狛助君だよね。ちゃんと名前覚えているよ」

「だったら良かった~」
「良かった~」

  狛子と狛助は嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねた。騒がしい子達だけど無邪気で可愛らしいよ。

  十分休憩が終わり授業が始まる。今日の午前中の授業はこんな感じで過ぎて行ったのだった。

そして、お昼休みの時間がやって来た。

「わ~い!  待っていました~」
「やった~お昼だよ~」

  狛子と狛助がわたしの周りをぴょん~ぴょん~と飛び跳ねる。

  わたしはいつものように通学カバンからお弁当箱が入っている鹿さん柄の袋を取り出した。

  いつもひとりぼっちでわたしはお弁当を食べていた。最初のうちはなんだか寂しかったけれど、今はもう慣れた。

「奈夜ちゃん、お弁当タイムだね~」
「楽しい楽しいお弁当の時間だよ~」

  狛子と狛助がニコニコと笑いながら言った。

  わたしは、席から立ち上がり「うん、お弁当の時間だね。あ、狛子ちゃんと狛助君もお弁当作ってもらったの!?」と小声で言った。

「うん、おばあちゃんが作ってくれたよ~」狛子と狛助は声を揃えて答えた。

「そっか、良かったね。じゃあ、一緒に中庭に行こうね」

「えっ?  教室で食べないの?  みんな机の上にお弁当を広げているよ」

  狛子が教室でお弁当を広げているクラスメイト達を指差し言った。

「う、うん……わたしはいつも中庭で一人で食べているんだ」 

  そう答えるとなんだか悲しくなる。

「華夜ちゃんとは一緒に食べないんだ?」

「うん、華夜ちゃんとは友達じゃなかったから……」

  さっきは仲良く話していたけれどそれは狛子と狛助が居たからだけなんだもん。
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