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学校と狛犬達とクラスメイトそれから……神様

2 お弁当の時間だよ

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  わたしは、チラッと華夜ちゃんに視線を向けた。すると、明るくて元気いっぱいのオーラを放っている友達に囲まれていた。

  やっぱり華夜ちゃんはわたしとは違うタイプの女の子だなと改めて感じた。そう思ったその時、華夜ちゃんと目が合った。

  わたしは慌てて目を逸らそうとしたのだけど、華夜ちゃんは、

「奈夜ちゃ~ん!」と言ってこちらに向かって歩いてきた。

「……華夜ちゃん」

「えっと一緒にお弁当を食べない?」

  華夜ちゃんは鹿がぴょーんと飛び跳ねている柄のお弁当袋をカタカタと振りながらニコッと笑った。

  その笑顔はキラキラと輝いていて眩しく感じた。

「……でも、華夜ちゃんは友達と食べているんだよね、わたしが突然仲間に入るとみんな戸惑うんじゃない?」

  わたしはそう答えてうつ向いた。

「えっ!  そんなことないと思うよ?  みんな気さくな子達だよ~」

「あ、でも……」

「いきなり誘ってごめんね。あのね、じゃあ、もしよかったら今日は狛犬ちゃん達ともお話をしたいからわたしと二人で食べない? 
 あの子達に言ってくるね」

  華夜ちゃんは言い終わるとほぼ同時に友達の元へ駆け出し何やら話をしている。

  そんな華夜ちゃんの姿をわたしはぼんやりと眺めた。

「良いって~」

  華夜ちゃんは大きく手で丸を作った。


  わたしと華夜ちゃんとそれから、狛子と狛助は中庭の木製のテーブルにお弁当を広げている。

「わ~い!  お弁当だよ~美味しそう」
「わ~い!  お弁当~嬉しいな」

  狛子と狛助はお弁当を前にしてきゃっきゃっと喜んでいる。

  今日は良いお天気で空は青くてとても綺麗だ。いつものわたしはひとりぼっちでぽつりんとしてお弁当を食べているんだけど、今日は違う。

  賑やかで可愛らしい狛犬達とそれから、華夜ちゃんが居るのだ。

「たまに外で食べるお弁当も良いな~」

  華夜ちゃんは青い空を見上げて言った。

「外でお弁当を食べると開放感があるでしょう?」

  わたしはいつも外で食べてはいるんだけどね。

「うん、風も気持ちよくて最高だね。さあ、お弁当食べよう~いただきま~す」

  華夜ちゃんは手を合わせた。わたし達もそれに続いた。狛子と狛助はニコニコ笑顔だ。

「おばあちゃんのおにぎりは大きくてボリューム満点だな。う~ん、奈良漬も美味しいぞ」

「うん、おばあちゃんのおにぎりは超特大なんだよ。ってちょっと待って!  どうして神様がいるんですか~?」

  わたしは神様を指差し叫んでしまった。

  だって、どうして神様までわたし達のお弁当タイムに参加しているのだろうか。
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