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トマトジュース

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「おかえりにゃん」

  ミケにゃんは先に帰っていたらしくて椅子に腰を下ろしトマトジュースを飲んでいた。

「満里奈ちゃんのトマトジュースもあるにゃんよ」

  シロッコがお盆にトマトジュースの注がれたグラスを二個載せキッチンから戻ってきた。

「シロッコちゃんありがとう」

「うふふにゃん。搾りたての濃厚トマトジュースだにゃん」と言いながらわたしの目の前にトマトジュースを置きシロッコ自身の席にもトマトジュースを置きシロッコは椅子に腰を下ろした。

  わたしは早速トマトジュースをグビグビと飲んだ。搾りたてで爽やかな味わいでたまらなく美味しかった。

「うん、やっぱりシロッコちゃんのトマトジュースは最高だね」

「にゃはは、ありがとうにゃん。トマトは美容にも良いにゃんよ。夕飯はトマト料理以外にするからね。ケンがうるさいからね」

  シロッコは言いながらトマトジュースを飲んだ。やっぱりシロッコちゃん=トマトキャットだなと思うと可笑しくてわたしはクスクスと笑ってしまった。


「ケンは文句が多いもんね」

   なんて言いながらわたしがトマトジュースをゴクゴクと飲んでいるとカフェの扉がカランカランと鳴った。

  それとほぼ同時に「俺がどうしたって」と言いながらケンがカフェに入ってきた。

「あ、ううんなんでもないよ」

  わたしは、慌てて手をブンブンと振った。

「ふ~ん、なんか怪しいな。わっ、またトマトジュース飲んでいるんだ」

  ケンはトマトジュースを飲んでいるわたし達に目を向け呆れたように溜め息をついた。

「ケンのトマトジュースもあるにゃんよ」

  シロッコは肉球のあるもふもふな手を口元に当てて微笑みを浮かべた。

  
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