149 / 407
シロッコいってきます
しおりを挟むシロッコは今日も真っ赤なワンピースを着ている。すっかりトマトカラーがトレードマークになりそうだ。
「うふふにゃんでは、そろそろ行こうかなにゃん。あ、そうだ! わたしご自慢のトマトを持って行かなきゃにゃん。収穫してくるにゃ~ん」
シロッコは笑いながら戸棚に置いてあるカゴを手に取りご自慢のトマト畑に行ってしまった。
「シロッコちゃんは地球にトマトを持って行くんだね」
「あはは、そうみたいね」
唯奈ちゃんも笑っている。
「地球にもトマトはあるのにな。シロッコらしいよ。トマトお一ついかがですかにゃんとでも言うのかもな」
ケンはシロッコのものまねをするのだからわたしは笑ってしまった。
「地球にもトマトはあるにゃんね」
ミケにゃんは地球のトマトを思い浮かべているのかうっとりした顔になっている。
なんて話をしていると、シロッコがトマトの収穫を終え戻ってきた。
「にゃははにゃん。美味しそうなトマトだにゃん」
シロッコはそう言ったかと思うとトマトにかぶりついた。それを見ていたミケにゃんもカゴからこっそりトマトを取りかぶりついた。
「ではでは今度こそいってきますにゃ~ん!」
シロッコは突然にゃ~ん!! と鳴き走り出した。あれで地球に舞い降りることができるのだろうかなと思いながらわたしはシロッコの後ろ姿を眺めていた。
その時、真っ赤なトマトが宙にぷわぷわ浮いた。そして、気がつくとシロッコの姿はなかった。
「シロッコちゃんが消えたよ!!」
わたしは、シロッコの消えた空間とトマトを眺めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
142
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる