150 / 407
消えたシロッコとトマト
しおりを挟むシロッコが消えたその空間にトマトの落とし物が転がってそこにある。だけど、トマトの持ち主だけがいない。
「す、凄いよ~シロッコちゃんが消えたよ」
わたしは信じられなくて興奮して胸がドキドキした。
「流石シロッコちゃんだにゃん!」
ミケにゃんはシロッコを褒めながら床に落っこちているトマトを拾ったかと思うとがぶっと食べた。びっくりな場面でもミケにゃんらしさを忘れない。とんでもない猫さんだ。
「シロッコちゃんは地球に行ったんだよね?」
唯奈ちゃんがぽつりと呟いた。
「う、うん、そうなんだよね。突然消えるバージョンだったんだね。シロッコちゃんはもう地球に着いたのかな? それとも辿り着くのに時間がかかるのかな?」
わたしはシロッコのいなくなった空間を見て言った。その空間でミケにゃんがむしゃむしゃとトマトを食べている姿はなんとも言えないコミカルな光景だ。
「シロッコちゃんが帰って来るのが楽しみだよ」
それまで黙っていたうさぴーが目を輝かせそして、トマトを食べているミケにゃんを呆れたような表情で見た。
「シロッコはトマト好きのとんでもない奴だけど、ちょっとだけ頼もしいな」
ケンがまさかのまさでシロッコを褒めた。これって褒めたんだよね。わたしは、そんなケンの横顔をチラッ見た。口元がにんまりしていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
142
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる