笑顔になれる沖縄料理が食べたくて

なかじまあゆこ

文字の大きさ
50 / 111

提案

しおりを挟む
「みんなでちんすこうを作りましょう。そして、この駄菓子屋さんで販売するのはどうですか?  それとか近所の子供達を呼んでちんすこう作りを体験してもらうと楽しいかもしれませんよ」

  わたしは、みんなの笑顔を思い浮かべながら言った。

「……そ、そうだね!  楽しそうだね。お嬢ちゃん愉快なことを思いつくな。それもいいかもしれないね。だけど子供達は来てくれるかな?」

「チラシでも作ると良いかもですよ」

「ほぅ。チラシかね」

「そうですよ。おばぁ、俺がチラシ作ってあげますよ」

  美川さんはそう言って睨んだのではなく笑ったのかな。

「わたしもちんすこう作りに参加したいな」

  きらりちゃんもにっこりと笑った。

「うふふ、おばぁ良かったね。皆さんありがとうございます」

  栗さんはにっこりと微笑みぺこりと頭を下げた。

  こうしてわたし達はおばぁと栗さんの思い出の味でもあるちんすこう作りをすることになったのだ。

ーーー

「ちんすこう作りが楽しみですよね」

  おばぁのお店『おばあちゃんのお菓子屋』からの帰り道を歩きながらわたしは言った。

「そうですね。俺も楽しみだな。作るのも楽しみだけどやっぱり食べるのが楽しみですよ」

「あはは、そうですね。わたしは料理が苦手ですけど美川さんは得意なのに」

「まあ、そうだけど、手作りちんすこうを想像するとほっぺたが落っこちそうなんですよ」

  そう言った美川さんの顔は食べる前からふにゃーふにゃーとなっている。あのですね美川さん食べるのも作るのも今からじゃないんですよ。

「美川さんの顔ってば変な顔~」

  きらりちゃんが美川さんの顔を指差して笑った。

「きらりちゃん、指差して笑うなんて酷いじゃないか」

「だって、ふにゃーふにゃー顔で面白くて笑えるんだもん。あ、わたしもちんすこう楽しみだな」

  きらりちゃんはニヒヒと笑った。

「まあ良くないがいいや。そうだ、おばぁに紫色の割烹着をプレゼントしてあげなきゃな」

「あの……美川さん、おばぁに紫色の割烹着をプレゼントするんですか?」

  わたしの質問に美川さんは真顔で「もちろんですが何か?」と言った。

「あはは、そうなんですか?」


  わたしはおばぁが紫色の割烹着を着ている姿を想像し可笑しくなり笑ってしまった。

「愛可さん、紫色の割烹着は我が『幸せの運び屋』のユニフォームなんですからね」

「……はい?  ユニフォームですか?」

「はい、ユニフォームですよ」

「……意味が分かりませんけれど、それにおばぁは『幸せの運び屋』と関係ないじゃないですか」

「まあおばぁはそうかもしれませんが……俺達がちんすこう作りのお手伝いをするのですから仲間ですよ」

  美川さんはそう言って口の端を上げてニヤリと笑った。

  これはなんだか嫌な予感がするけれど考えたくない。

「愛可さん頭を抱えてどうしましたか?」

「……いえ、何でもありませんよ」

  わたしは頭を抱えながら答えた。

「そうですか。では俺達も紫色の割烹着を着ましょうね」

「えっ!?  俺達とは美川さんがですよね?」

「いいえ、俺もですけど俺達ですよ」

  この続きは耳を塞ぎたい。絶対に聞きたくない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...