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ちんすこうを食べよう

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  わたしの目の前にちんすこうとさんぴん茶が置かれている。自分で作ったちんすこうにちょっと感動した。

「食べるのがなんだか勿体ないですね」

「うん、そうですね」

「あの……とか言って美川さん食べているじゃないですか」

「あふあふ、サクサクしていて美味しいですよ。熱々のうちに食べたほうがいいですよ」

  美川さんは目を細め幸せそうにちんすこうを食べているではないか。

「そうですね。いただきま~す」

「わたしも食べよっと」

「わたしも~」

  きらりちゃんと利香ちゃんもそう言ってちんすこうを食べた。

  そして、わたしも猫型のちんすこうに手を伸ばし口に運んだ。一口食べるとサクサクでホロホロしていて優しい甘さが口の中に広がった。

  みんなと一緒に作ったちんすこうをこうして食べることができるなんて幸せだなと思った。口の中にじわじわと幸せな味が広がった。

  ちんすこう作りに参加したみんなが笑顔になっている。わたしもそんなみんなの笑顔を眺めていると嬉しくなり頬が緩む。

「ねえ、利香ちゃん、わたしのちんすこうと交換してあげようか」

「うん。きらりちゃんわたしの作ったちんすこうをじっと見ているんだもんね。どうぞ~」

「ふん、そっちこそわたしの作ったちんすこうをじっと見ているよね」

「見てないよ」

「見てたじゃない」

  またまた、きらりちゃんと利香ちゃんは目を合わせ火花をバチバチと散らす。相変わらずな二人だけどお互いのことが気になっているのだろうなと思う。

  それに言い合いをしながらもお互いのちんすこうに手を伸ばしているのだから。可愛らしい二人ではないか。

「愛可さん、俺達もちんすこう交換しましょうか」

「あ、いいですね」

  わたしと美川さんもちんすこうを交換した。美川さんのヤンバルクイナ型のちんすこうは面白可愛らしくて眺めてほっこりそして、食べると甘い香りが口の中に広がった。

 他の参加者のみんなもちんすこうを交換したりしていて楽しそうだった。

「今日はみなさんに楽しんでもらえたようで嬉しかったです」

  おばぁは顔をくしゃくしゃにして笑った。

「楽しかったです」と小学生時代におばぁの駄菓子屋に通っていた中野香さんが言った。

「ありがとう~」

「楽しかったで~す!」と参加者のみんなが次々に言った。

「嬉しいね~また、ちんすこう作りやイベントなどを開催できるといいなと思っています」

  おばぁはやる気が湧いてきたようだ。このおばぁの駄菓子屋はどうやら閉めたりしないみたいなのでホッとした。

「美川さん良かったですね。おばぁ、駄菓子屋続けるみたいですね」

  わたしは、幸せそうに目を細めながらちんすこうを食べている美川さんに小声で言った。

「そのようですね。俺も嬉しいですよ」

  美川さんはちんすこうを頬張り微笑みを浮かべた。食べている時は笑顔の美川さんだったのだ。
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