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紫色のスーツ
しおりを挟む食堂のドアがガラガラと音を立てて開いた。そして、中に入って来たのは……。
紫色のスーツに身を包んだ鼻筋が通り肌が綺麗な眉目秀麗な男性だったのだ。この座間味島に紫色のスーツだなんてめちゃくちゃ浮くのですがと思う。
いや、座間味島じゃなくても紫色のスーツなんて目立ちすぎるのだから。なんて考えている場合ではない。
だって、この眉目秀麗でド派手な男性は、そうなのだ。わたしの目がどうにかなってしまったのかなと思ったのだけど、目を何度擦ってみてもあの男性なのだ。
「み、美川さん、どうして森浜食堂に来たんですか?」
わたしは、思わず大きな声を上げてしまった。
「あれ? 愛可さんじゃないですか?」
美川さんは大きく目を見開きわたしの顔を見た。
わたしと美川さんがお互いにびっくりして口をパクパクさせていたその時。
「あ、美川さんだ~その紫色のスーツ変だよ」
きらりちゃんがゴーヤをぶんぶん振り回しながら本当のことを言うのだった。
「おい、きらりちゃんってば何てことを言うんだよ。この紫色のスーツは俺の超お気に入りのスーツなんだぜ。って、きらりちゃんも森浜食堂にいたのか!」
「うん、愛可にくっついて座間味島に来たら森浜食堂にいた感じかな。それはそうとその紫色のスーツお気に入りなんだ~」
きらりちゃんはゴーヤを振り回しながら答え、そして、あははっと笑った。
「俺のお気に入りのスーツをけなすとはきらりちゃんは本当に酷いよな」
美川さんは口を尖らせきらりちゃんを見た。
「あははっ、ごめんなさい。まあ、美川さんに紫色は似合っているけどね」
きらりちゃんはにんまり笑いフォローした。
なんて、紫色のスーツの話をしている場合ではなかった。どうして、美川さんは座間味島にそして、森浜食堂に来たのだろうか。
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