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1-1. 幸福を呼ぶ男
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金曜の夜。
レストランから出て、彼女の肩を抱く。
付き合ってまだ1ヶ月。一番いい時期だ。金曜だし、今夜はこのままゆっくりと甘い夜を…と思ったところで、なんだか彼女の様子がおかしいことに気付く。
「どうかした…?」
「千寿くん、ごめんなさい…」
彼女が申し訳無さそうに口を開く。
なんだか悪い予感…
「わ、わたし…、昨日、告白されて…」
その言葉に、冷たい風が背中を通り過ぎる。
あぁ、またこのパターンか…
「それって、前に相談に乗ってた経理の先輩…?」
俺のその問いに、彼女はコクンと頷いた。
◇
俺の名前は、幸野千寿。
通称、『幸福を呼ぶ男』
縁起の良い名前のせいなのか、不思議なことに、昔から俺と付き合った女の子は、何故か本命との恋を叶えて俺のもとから去っていく。
この子もそう。無理めな男への片思いをしていて、相談に乗ったのをきっかけに仲良くなって。元々難しそうな恋愛だったし、なんだかんだ気も合うしっていう感じで付き合い始めて一ヶ月。
既に俺の彼女だというのに、昨日、その片思いの男の方から告白してきたようだった。
「…良かったじゃん。おめでとう」
そう言って、彼女の肩から手を離した。
ずっと好きだった男が振り向いてくれたのだ。そいつを選ぶのは当たり前だ。相談に乗っていた俺は、彼女がそいつをどれだけ好きだったか知っている。
「ほ、本当に、ごめんなさい…、あの…」
「あー…、いいって。俺のことは気にしなくて。彼と幸せになりな」
俺はいつも通り、そう言って彼女と笑顔でお別れをした。
レストランから出て、彼女の肩を抱く。
付き合ってまだ1ヶ月。一番いい時期だ。金曜だし、今夜はこのままゆっくりと甘い夜を…と思ったところで、なんだか彼女の様子がおかしいことに気付く。
「どうかした…?」
「千寿くん、ごめんなさい…」
彼女が申し訳無さそうに口を開く。
なんだか悪い予感…
「わ、わたし…、昨日、告白されて…」
その言葉に、冷たい風が背中を通り過ぎる。
あぁ、またこのパターンか…
「それって、前に相談に乗ってた経理の先輩…?」
俺のその問いに、彼女はコクンと頷いた。
◇
俺の名前は、幸野千寿。
通称、『幸福を呼ぶ男』
縁起の良い名前のせいなのか、不思議なことに、昔から俺と付き合った女の子は、何故か本命との恋を叶えて俺のもとから去っていく。
この子もそう。無理めな男への片思いをしていて、相談に乗ったのをきっかけに仲良くなって。元々難しそうな恋愛だったし、なんだかんだ気も合うしっていう感じで付き合い始めて一ヶ月。
既に俺の彼女だというのに、昨日、その片思いの男の方から告白してきたようだった。
「…良かったじゃん。おめでとう」
そう言って、彼女の肩から手を離した。
ずっと好きだった男が振り向いてくれたのだ。そいつを選ぶのは当たり前だ。相談に乗っていた俺は、彼女がそいつをどれだけ好きだったか知っている。
「ほ、本当に、ごめんなさい…、あの…」
「あー…、いいって。俺のことは気にしなくて。彼と幸せになりな」
俺はいつも通り、そう言って彼女と笑顔でお別れをした。
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