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2-5. 腕の中で(番外編) *
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「結菜さん…」
「ふぁ…、ん…っ」
ゆっくりと腰を動かしながら、腕の中の樫木先輩に優しく唇を重ねる。柔らかい感触を味わいながら、少しずつキスを深くする。
「千寿く…、んん…っ」
控え目に、だけど受け身ではなく確かに応えてくれる彼女に、求めるように舌を絡めていく。奥まで繋がったソコがキュウっと締め付けてくるのが、愛しい。
「んん…っ」
俺の髪に樫木先輩の指が触れて、少しだけ唇を離す。
「ち、千寿くん…、な、なんかいつもより…、キスが、長い…」
紅潮した顔で先輩が俺を見上げる。恥ずかしそうではあるが、同時に、嬉しそうでもある。この表情は下半身にクるなと思いながら、俺は彼女の頬を両手で包んだ。
「結菜さん、多分こういうキス好きだろうなって思って」
「え…?」
「結菜さんのココも、さっきから、僕の事、すごい締め付けてますし」
「な…っ!」
「あ、ほら。今も」
「─…っ!?」
彼女が何を好きかなんて、考えてみれば簡単なことだった。だって、腕の中にいるときの彼女は、こんなにも素直に俺に感じてくれる。
それが過去に他の誰かに向けられていたとしても、もう大丈夫な気がした。だって、今、彼女が想いを向けてくれているのは、俺なのだと信じられる。
「あー…、なんか僕、こんな幸せでいいんですかね…」
「え、どうしたの、急に…」
樫木先輩が不思議そうな顔をする。その顔が可愛くて、もう一度キスをする。
「あの…、千寿くん…?」
赤い顔をして、彼女が俺を見る。
「そろそろ…、その…」
そこまで言って言葉をつぐんだ彼女のソコは、痛いぐらいに俺を締め付けていた。
「そんな煽ると、知りませんけど…」
「だ、だって…!」
「まぁ、可愛すぎて、僕も限界ですけどね」
そう微笑すると、俺は再度、樫木先輩にキスをして、腰の動きを速めた。
◇
「あぁ…ッ、千寿く…っ、待って、また、イっちゃ…っ、あぁ─…ッ!!」
抱き締めた腕の中で、樫木先輩が絶頂を迎える。ビクビクと震える腰を引き寄せて、抜けないように深く自身を押し付ける。
「さっきまでが嘘みたいに、簡単にイキますね…」
「あぁ…っ、動くの、待…っ、まだ、イって…っ、ふぁ…ッ!」
「…煽ったのは、結菜さんですよ…」
収縮するナカを味わいながらピストンを続ける。泣き出しそうな声で必死に感じる樫木先輩が可愛くて、ただ夢中に腰を振る。
「ひぁ…ッ! だめ…っ、ああぁ…ッ!」
「ハァ…、結菜さん、舌出して…」
「ふぁ…ッ、あぁん…っ、んん…ッ!」
喘ぎながら従順に口を開ける彼女に、深く唇を重ねる。痙攣するようにビクビクと震える身体を抱きしめて、俺は数回腰を打ち付けると、そのまま欲を吐き出した。
◇
「…10階、ですよね」
「あぁ、すまない」
次の日、俺はなぜかまた水原部長と二人きりでエレベーターで鉢合わせていた。
樫木先輩がバックが好きだなんていう嘘の挑発をされたことにまだ怒りはあったが、真に受けた俺もバカだったし、それは腹に飲み込んだ。
「僕のアドバイスは、役に立ったかい?」
しれっとそう聞いてくる水原部長に、まぁ、無言では逃がしてくれないよなと、微笑する。
「そうですね。おかげさまで」
振り返ってそう答えると、彼は意外そうな顔をして俺を見た。
「なんすか、その顔…」
「いや…、結菜が選ぶだけはあるなと…」
「…意味わかんないんすけど…」
そう言った俺を見て、水原部長は可笑しそうに笑った。
「なに笑ってるんすか」
「あっさり結菜に捨てられてくれれば良かったのに」
さらっと嫌味を言う水原部長に、今日は大人な態度を保つつもりが、つい「この野郎…」と思う。やっぱりこの人は嫌いだ。
「…結菜は、君で良かったと思うよ」
「え…」
水原部長はまっすぐ俺の目を見て穏やかな顔でそう言うと、扉が開いたエレベーターを出ていった。
認められたということだろうか…? まぁ、あの人に認められる必要は微塵もないのだが。
それにしても…
あの人はなぜあんなにも格好いいのか。俺に対しても飄々としたあの態度。俺なんかより全然大人で、勝てないなと思う。
この人が相手で樫木先輩はなんで俺を選んでくれたのだろうと改めて思いながら、目を瞑って彼女の言葉を思い出す。
" 幸野くんが、いいのよ "
…うん。そうだった。初めて身体を重ねたあの夜、彼女はそう言ってくれた。
" 実は小心者よね、幸野くんって "
そんな言葉も言っていたなと笑う。余裕なフリをしても、樫木先輩のことになると、俺は結局、余裕なんてないのだ。
樫木先輩の笑顔が浮かぶ。このままの俺を、彼女は好きになってくれた。なにも焦る必要はない。
ただ、願わくは、彼女の隣が釣り合うように、俺は俺なりに少しでも格好良くいようと心に決めたのだった。
-End-
「ふぁ…、ん…っ」
ゆっくりと腰を動かしながら、腕の中の樫木先輩に優しく唇を重ねる。柔らかい感触を味わいながら、少しずつキスを深くする。
「千寿く…、んん…っ」
控え目に、だけど受け身ではなく確かに応えてくれる彼女に、求めるように舌を絡めていく。奥まで繋がったソコがキュウっと締め付けてくるのが、愛しい。
「んん…っ」
俺の髪に樫木先輩の指が触れて、少しだけ唇を離す。
「ち、千寿くん…、な、なんかいつもより…、キスが、長い…」
紅潮した顔で先輩が俺を見上げる。恥ずかしそうではあるが、同時に、嬉しそうでもある。この表情は下半身にクるなと思いながら、俺は彼女の頬を両手で包んだ。
「結菜さん、多分こういうキス好きだろうなって思って」
「え…?」
「結菜さんのココも、さっきから、僕の事、すごい締め付けてますし」
「な…っ!」
「あ、ほら。今も」
「─…っ!?」
彼女が何を好きかなんて、考えてみれば簡単なことだった。だって、腕の中にいるときの彼女は、こんなにも素直に俺に感じてくれる。
それが過去に他の誰かに向けられていたとしても、もう大丈夫な気がした。だって、今、彼女が想いを向けてくれているのは、俺なのだと信じられる。
「あー…、なんか僕、こんな幸せでいいんですかね…」
「え、どうしたの、急に…」
樫木先輩が不思議そうな顔をする。その顔が可愛くて、もう一度キスをする。
「あの…、千寿くん…?」
赤い顔をして、彼女が俺を見る。
「そろそろ…、その…」
そこまで言って言葉をつぐんだ彼女のソコは、痛いぐらいに俺を締め付けていた。
「そんな煽ると、知りませんけど…」
「だ、だって…!」
「まぁ、可愛すぎて、僕も限界ですけどね」
そう微笑すると、俺は再度、樫木先輩にキスをして、腰の動きを速めた。
◇
「あぁ…ッ、千寿く…っ、待って、また、イっちゃ…っ、あぁ─…ッ!!」
抱き締めた腕の中で、樫木先輩が絶頂を迎える。ビクビクと震える腰を引き寄せて、抜けないように深く自身を押し付ける。
「さっきまでが嘘みたいに、簡単にイキますね…」
「あぁ…っ、動くの、待…っ、まだ、イって…っ、ふぁ…ッ!」
「…煽ったのは、結菜さんですよ…」
収縮するナカを味わいながらピストンを続ける。泣き出しそうな声で必死に感じる樫木先輩が可愛くて、ただ夢中に腰を振る。
「ひぁ…ッ! だめ…っ、ああぁ…ッ!」
「ハァ…、結菜さん、舌出して…」
「ふぁ…ッ、あぁん…っ、んん…ッ!」
喘ぎながら従順に口を開ける彼女に、深く唇を重ねる。痙攣するようにビクビクと震える身体を抱きしめて、俺は数回腰を打ち付けると、そのまま欲を吐き出した。
◇
「…10階、ですよね」
「あぁ、すまない」
次の日、俺はなぜかまた水原部長と二人きりでエレベーターで鉢合わせていた。
樫木先輩がバックが好きだなんていう嘘の挑発をされたことにまだ怒りはあったが、真に受けた俺もバカだったし、それは腹に飲み込んだ。
「僕のアドバイスは、役に立ったかい?」
しれっとそう聞いてくる水原部長に、まぁ、無言では逃がしてくれないよなと、微笑する。
「そうですね。おかげさまで」
振り返ってそう答えると、彼は意外そうな顔をして俺を見た。
「なんすか、その顔…」
「いや…、結菜が選ぶだけはあるなと…」
「…意味わかんないんすけど…」
そう言った俺を見て、水原部長は可笑しそうに笑った。
「なに笑ってるんすか」
「あっさり結菜に捨てられてくれれば良かったのに」
さらっと嫌味を言う水原部長に、今日は大人な態度を保つつもりが、つい「この野郎…」と思う。やっぱりこの人は嫌いだ。
「…結菜は、君で良かったと思うよ」
「え…」
水原部長はまっすぐ俺の目を見て穏やかな顔でそう言うと、扉が開いたエレベーターを出ていった。
認められたということだろうか…? まぁ、あの人に認められる必要は微塵もないのだが。
それにしても…
あの人はなぜあんなにも格好いいのか。俺に対しても飄々としたあの態度。俺なんかより全然大人で、勝てないなと思う。
この人が相手で樫木先輩はなんで俺を選んでくれたのだろうと改めて思いながら、目を瞑って彼女の言葉を思い出す。
" 幸野くんが、いいのよ "
…うん。そうだった。初めて身体を重ねたあの夜、彼女はそう言ってくれた。
" 実は小心者よね、幸野くんって "
そんな言葉も言っていたなと笑う。余裕なフリをしても、樫木先輩のことになると、俺は結局、余裕なんてないのだ。
樫木先輩の笑顔が浮かぶ。このままの俺を、彼女は好きになってくれた。なにも焦る必要はない。
ただ、願わくは、彼女の隣が釣り合うように、俺は俺なりに少しでも格好良くいようと心に決めたのだった。
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