二度目の勇者は我が道を行く

眠たいカラス

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辺境伯領を目指して…

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辺境伯領を目指すユウキはラウラにもしものときを考えて貨幣を少し渡しておく。
もし、はぐれてしまったとしてもそれだけの貨幣があれば何年かは静かに暮らすことが出来るだろう。本当は契約を外そうとしたのだが…断固として拒否されてしまったので仕方がない。
辺境伯領に向かう道は整備されていて歩きやすい。
辺境伯領から来る豊かな資源を手に入れるために侯爵が道を整備したのだろうか?
よくよく思えば鉱石の他に毛皮などの収集品が商業ギルドに運ばれていた。
たまに湿っている木箱を開けて確認していたのでよく覚えている。
穀物だけではなく毛皮などでも濡れすぎると皮部分が痛むことがあり、商品として使えないから…だったか?
水に濡れた毛皮を見て商人が商品管理をしていたと思われる部下の頭をボコスカ殴ってたなぁ…まぁ、その後二束三文で買い叩かれ、ことの重大性を理解したようだが。
そいつらが確か…「辺境伯領からここまで運ぶのにどれだけ時間がかかっていると思ってるんだ。このバカ」と言っていたから毛皮の出処は辺境伯領だろう。
毛皮を売って日々を過ごす生活も悪くないかもしれない…いや、辺境伯領で毛皮を売ったところで値段はそこまで高くないか…毛皮はインベントリで保管して高いところで売るのが良いかもしれない。

「ご主人様。もう少し早く走られても問題ありませんが…?」

「風景を楽しみながらゆっくりと行こうじゃないか」

「はっ!」

ユウキはキョロキョロと周りを見ているが、変わらない木々が並んでいただけだった。
ラウラは何が面白いのかと首を傾げていたが、ユウキがたまに変える表情を楽しみながら歩いていた。
ユウキは変わらない風景を歩くと時たまにリスが木の上を歩き回ったり、鳥が飛び立ったりする様子を見ながら自然の豊かさを楽しんでいた。ラウラには当たり前の光景でもユウキにとっては当たり前ではない。日本では動物園以外でリスなどを見る機会は都会育ちにはないし、1回目の召喚のときは魔王に勝つために修行をしたり、ダンジョンに潜ったりしていたらこんな風に時間を楽しむということはなかったからだ。
それなりに平和になったから…もしくは、1回目のときもこのような状況だったのかもしれない。ただただユウキだけが働き、他の民はいつも通りの生活を送る。まぁ、普通の民が魔族に対して何かをできるかというとそんなことは無い。
それ程までに魔族と人族には力の差というものが多くある。
ただし、別に魔族は最初から強いということではない。
魔族領は過酷で、自ら力をつけなければ殺されるという危険を日々受けているからだ。人族と違うところは魔力量が多いだけ…だが、魔力量が多いことで魔法の習得などが効率的に行えるため、魔族は人族よりも早く強くなれる。また、魔力量によって寿命は決まるため魔族やエルフの寿命というのは比較的高い。そのため、魔族は時間が経つごとに力をつける。それが、人族と魔族の強さの違いだろう。魔力量の多いものは子供が出来にくいというのが唯一の救いだ。魔族が人族レベルで生まれていたら敵対種族である人族はもうこの世にいなかったであろう。
魔族は様々な種族と戦っており、人族を初めとし、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、小人族、魚人(人魚)族、竜(龍)人族、精霊族と敵対している。
少ない人数でこれだけの種族を相手にしていることからかなり腕がいいことが分かると思う。
ちなみに、魚人(人魚)族というのは二足歩行の男性が魚人で、イルカのしっぽのようなものがついている女性が人魚だ。また、竜(龍)人族とは竜人族がわかりやすく言うなら翼の生えたリザードマン。ただし、リザードマンは意思疎通はできるものの魔族側であるため注意が必要。龍人族は翼の出し入れが可能で人間と同じような姿をしている。姿が似ているからなのか人族を始めとする対魔族の種族には親しみを持って接することが多い。
龍人族って友好的だけど力が強いんだよなぁ…あいつマジでそこらじゅうの地面陥没させるし…戦闘中に地形変更されることで地形把握までしなくちゃいけなくなるんだから本当にめんど…

「…様!…人様!ご主人様!」

「お、おう?どうした?」

「暗くなり既に大分経っております。少し休まれた方が良いのでは?」

「…そうか?あぁ、いや、そうしよう」

なんでも自分が疲れていないからといって同じような仕事を与えてはいけない…か…確か、誰かが言ってたな。
1回目の召喚のときに体力がまだ追いついていない俺を気にせずに動き回る騎士たちに騎士団長が言った一言だったか?
あのときは本当に弱かったから騎士たちにも本当に魔王を倒せるのかと疑いの目を向けられてたっけか…懐かしい話だ。
ユウキはラウラが疲れたからこう言ったのだと思っていたが、そんなことはなく…単純にユウキの疲れを心配しての事だった。
休むことを決めたユウキはネットショップでテントを購入する。
ちなみに、このテントは宙に浮く…というより、木にぶら下げるタイプのテントだ。どちらかと言うとハンモックに近いかもしれない。
ユウキとラウラは食事を軽く取り、テントに入ると…ゆらゆらとテントを揺らすのだった。
次の日、確認をするとそこまで細い木にぶら下げていたわけではなかったのだが…木がミシミシと音を立てていた。中々に激しかったのだろう。ナニがとは言わないが…。
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