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一章 転生しました
プロローグ
しおりを挟む「──……っりゃぁ!!!」
思い切り棍棒を振り下ろし、モンスターの頭をかちわる。
この世界に来てから、早二週間。自堕落に過ごすつもりが、あまりの世界についつい少年心を擽られ、今日も今日とて森に入る日々。
倒したモンスターを魔法で解体していく。モンスターからは、"魔石"と呼ばれる色々と使い勝手の良いものが採れる。
それは、強ければ強いほど品質が良い。だから今日は、大分森の奥まで入ってみた。
俺がこの世界に来たのは二週間前のこと。
あの日、俺は事故にあって死んだのだ───
──────────
俺は宮崎 澪明。そこら辺によくいるような、一般的なサラリーマンだった。
……少々、不幸体質ではあったが。
野良犬に追いかけられた回数は数知れず、おかげで謎に犬の扱い方が上手くなった。ついでにモフった。
買い物にいけば毎回欲しいものはいくつか売り切れているし、屋台とかで何か買おうとするといつも俺の番で売り切れるか一度閉まる。
他にも色々とあったが……疲れるだけなので思い出すのはやめておく。
そんな俺の26年間の人生は、呆気なく一瞬で終わった。
多分、飲酒運転。青信号だというのに、でかいトラックが突っ込んできた。
そこで俺の意識は、一度途切れた。
そう、一度。
気がつくと、俺は真っ白な世界に佇んでいた。見渡しても全てが白く、まるで色のある自分が異物のように感じる空間だった。
ポカンとしていれば、突然目の前に現れた全体的に色素の薄い人物。声からして恐らく男だろう。
「やぁ!気分は如何かな?えーと、れーめーくん?」
「は?えぇ、まぁ、気分は普通です…?」
「うんうん。ここで受け答え出来るのは、強い魂の証拠だね!!」
いやー、良かった良かった!と朗らかに言う人物の顔は、真っ白な雑面のおかげで口元しか見えない。周りが白すぎるからか、水色掛かった髪も薄い金色の服も輪郭がぼやけて見えにくい。
それでもその存在はハッキリと認識できるし、目がチカチカすることもない。何なんだろうなぁと首を傾げていれば、やけにハイテンションな目の前の人物がどうやら説明してくれるらしい。
一周回って冷静なようで混乱している頭は、特にソイツを疑うことなく言葉を受け入れる。しかし、現実を受け入れるかどうかは別だった。
「まず、僕は神様なんだけど」
「ここに精神科医はいらっしゃいませんかー!!」
「別に精神異常者ではないんだけど!?」
「流石にその歳でそれは痛すぎると思うんだ」
「厨二病患者でもないよ!!何君、魂が強すぎる所じゃないんだけど!!!鋼どころかダイヤモンドメンタル!?!?」
「えへっへっへ」
「いや褒めてないよ!!!」
思わず血が騒いでボケれば、ギャン!と叫びツッコミを入れてくれる自称神。中々やるなコイツと思っていれば、何だか疲れた様子でため息を付かれた。
さっさと話を進めるよと言われ、渋々ボケるのを止める。そう言う性分というか、反射だったんだから仕方ないじゃないか。
そしてまぁ、今の状況を聞いた時の第一声がこちら。
「ごっめーん☆キミのこと、間違えて殺しちゃった!!だから、お詫びに物凄い好条件で転生させたげる☆」
とりあえずぶん殴った。
「いったい何で!?!?」
「うるせー!!それが謝罪の仕方かぁぁぁ!!!!!!」
「え、いや、ごもっともですねごめんなさい!!!!」
いきなり殴った俺も俺だが、そうでもしないと怒りでどうにかなりそうだった。間違いってなんだよ。てかその前に話し方がウゼェ、ってのがわりと本音だが。
自称神曰く、世界の穴?を修復したときの余波で俺は事故死したらしい。いつもは余波が出ないようにしていたが、どうやらミスったようだ。
まさかの事実に開いた口が塞がらない。俺の人生、最大の不幸だったのではないだろうか。いや、実際死んでるのだから最大に間違いないのだろう。
まぁ、好条件で転生なんてさせてくれるのならお言葉に甘えようと思い、とりあえず思い付くだけ言ってみた。
一生特に不自由なく暮らせること、暇潰し用に大量の本を用意すること、人里離れた場所に住み心地の良い一軒家も。
あと、お金を稼ぐときに一切困らないようにすることとか、他にも色々。
こんだけ何かしら条件つけられれば、こいつも多少は反省するのでは?と思った俺が甘かった。
自称神は特に気にした様子もなく、じゃあ見た目は?と聞いてきた。
「見た目…見た目かぁ………うーん…その、転生って同じ地球に転生すんのか?」
「あぁ、転生先の説明を忘れてた。君の元居た世界って、実は僕じゃ干渉できない上位の神が作った世界なんだよねぇ。一時的に僕に管理権が譲られてるけど、干渉しすぎれないんだ。だから、君には僕の作った世界に転生してもらうしかない」
自称神の作った世界というのは、所謂王道ファンタジーな世界だ。魔物がいて、冒険者がいて、貴族がいて等々…
元々ゲームは好きだし、漫画も好きだった俺のテンションは勿論上がる。つまり、俺にも魔法が使えるようになるってことだ。
そして魔物がいると言うことは、でかいモフモフな魔物とかもいるわけだ。全力でガッツポーズした。
見た目とかほっぽってモフモフが欲しいって要求した。モフモフが欲しい。モフモフなパートナーとか相棒とかめちゃくちゃ欲しい。死ぬほど欲しい。
鼻息荒くそう言う俺に、引き気味の自称神に急かされて見た目の話に戻る。その世界で、例えば色素で差別的な何かがあるかを聞いてみれば特にないと返ってきた。
「そんじゃ、今と対して変わんねぇ見た目がいいな。特に目立ったこともないし、見た目だけで恨まれるような容姿でもないし」
「いいけど…髪も目も真っ黒なのは流石に珍しいよ?」
「それなら、目の色を変えてくんね?髪は黒じゃねぇと落ち着かないだろうし」
「ふむふむ…取り敢えずOK!以上で決定しちゃうね!!」
そう言われた瞬間、俺の体が白い光に包まれる。どうやらもう転生するらしく、自称神の「新しい人生ガンバってね~」という呑気な声を最後に、意識が途切れた。
そのすぐ後の、
「あ、性別聞くの忘れてた」
なんて呟きは、勿論聞こえる訳がなく……
──────────
ふと意識が浮上した。あの白い世界での記憶はバッチリあり、自由に体が動くことからよくある赤ん坊スタートでは無いことを察する。
どうやら、森の近くで独り暮らしをしている青年に転生したらしい、とはじめはそう思っていた。
目が覚めた時に違和感を感じた。なーんか胸の辺りが重い気がする、と。
家の中を見渡せば、質素ではあるが暮らす分には申し分ない設備、そして要望通りの大量の本。
あと、姿見だと思われる大きな鏡。
おそるおそる鏡を覗き込む。そして、そこに移った姿を見て、俺は失神しそうになった。
「あの自称神、女に転生させやがったぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」
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