隣のクラスの異世界召喚に巻き込まれたジョブ「傍観者」

こでまり

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8話

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「ノノハ様、本日の朝食は今後についての伝達があるため皆様ご一緒に召し上がっていただきます。会場へご案内しますので準備が出来ましたらお声がけください」

扉越しにかけられた侍女の声に了承の返事をし、服の皴を伸ばしたり乱れた髪を手で梳いたりして軽く身だしなみを整える。
顔が洗いたいと告げれば水桶とふかふかな白いタオルを運んできてくれた。
有難く使わせてもらって朝食のための会場へ案内してもらう。

高い天井に大きな窓、付け柱には意匠を凝らした彫刻が施され至る所に高そうな壺やら絵画が飾られた廊下。
白を基調とした所謂ロココ調という感じ。早朝の暖かな日が差し昨晩とはまたちがう優美さがある。

(これが異世界じゃなくテーマパークか何かならもっと手放しにはしゃげるんだけどなあ)

はあと小さく息を吐く。
すれ違う侍女や執事が恭しく頭を下げて「おはようございます。勇者様」と挨拶してくるのにも落ち着かない。
希乃葉が控えめにお辞儀を返して通り過ぎてからそっと背後を伺うとまだ頭を下げていた。
行き届いた教育は素晴らしいと思うがお仕事の邪魔をしてすみませんという気持ちになるのでもう少し気軽な接し方をしてほしい。
若干の心労を感じながら長い廊下を歩き、漸く案内役の侍女が足を止めた。
兵士二人が両脇で佇む扉。侍女と兵士が一言二言言葉を交わして扉が開かれる。

「わ…」

テーブルと椅子が人数分置かれても尚広々とした会場。
ビュッフェ形式に様々な料理が並び既に集まっていた同級生が目を輝かせながら皿に盛っている。
頭上ではシャンデリアが眩しく広い会場を照らし、音楽隊が優雅なクラシックを奏でていた。

(ただの朝食だよね!?)

今から舞踏会を始めますと言われても疑わない設備である。
よくみれば同級生のほとんどは制服ではなく可愛らしいドレスや貴族のような華美な服を着ておりそれも相まって舞踏会感が増している。
すっかり忘れていたがおそらく自由に着ていいと言われていたクローゼットに入っていたのだろう。

「ノノハ様の席はこちらでございます」

「え?あっ、席決まってるんですね」

「本日の伝達に都合がいいための配置です。ご要望とあればご友人の傍に別席を用意致します。
説明の際には戻っていただくことになりますが何卒ご了承ください」

「いえ、ここで大丈夫です!ご丁寧にありがとうございます」

なんという至れり尽くせり…!
態々席を用意してもらいたい仲の友達は残念ながらいないけど…。
案内された席は六人掛けのテーブルで椅子は五つ用意されていた。
既に料理の乗った皿が置かれている席もあるが誰も座ってはいない。
何か別のものを取りに行っているか友達のところに行っているのだろう。

「お食事はご自分で選ばれますか?私に任せていただくこともできますよ」

「えと、自分でやります」

「畏まりました。取り皿はあちらにございます。
それではごゆるりとお楽しみくださいませ。何か御用があればお呼びください」

侍女は綺麗にお辞儀をして壁際に並んだ侍女の列に加わった。
一人一人に専属侍女がいるみたいだ。ずらりと十数人が佇み見守られるのはなんともシュールで居心地が悪い。
小市民にメイドさんを顎で使う度胸なんてないのであまり手を煩わせないようにしようとこっそり誓う。

侍女たちの方はあまり見ないようにしながら料理を取りに向かう。
メニューは多く、オムレツや焼いたソーセージ、ポタージュスープのようなザ・朝食みたいなものからステーキにハンバーグ、ビーフシチューなどガッツリしたものまでなんでもある。
主食はパンもしくはパスタ。残念ながらお米はない。

適当にオムレツとアスパラのベーコン巻、サラダとトマトソースのパスタを少し盛って小ぶりのパンも一つ乗せる。
飲み物もセルフで選べるようなので一度料理を置いてから注ごうと席に戻ろうとした瞬間。

ガシャン

何かが割れる音がし、次いで不愉快な男の声が耳に届いた。

「あーあせっかくの飯が台無しじゃん。うわ、ソース飛んでっし…サイアク~」

「申し訳ありません!直ちに片付けま「いやいやいや料理が勿体ねえって言ってんの。丹精込めて作ったもんをゴミにされるなんて作ったやつが可哀想じゃん。俺勇者だからさぁ、そういう気遣い?っつーの?しちゃうんだわ」

「え…えと、ではどうすれば…」

「ははっ、わっかんない?



これ、食えよお前が」
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