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12. お兄さんとフルーツロールケーキ
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(お兄さんとフルーツロールケーキ)
彼は、私の持ってきたアイスコーヒーをゆっくり口に運んだ。
「サリーちゃん、フルーツロールケーキも、二つ……」
「なんで、私の名前、知っているの?」
「何でも知っているよ……」
私は不に落ちないまま、キッチンに戻った。
「そんなー、ケーキなんか食べている暇、ないでしょう!」
「俺は、ケーキを食べたら帰るよ……」
「帰るって、うちに帰らないんですか?」
「ちょっとなー、三年も家を空けたからなー」
「そんなことは、どうでもいいですよ……」
「とりあえず、まだ内緒にしておいてくれ……」
「……、奈緒のことですか?」
「それもある、……」
「でも、兄妹ですから、……」
「もし、このまま歩けなかったら、俺が面倒を看る……」
「アキラは、出ていけ……、さもないと、奈緒に食われるぞ!」
「そんな酷い言い方は、やめてくれよ!」
私も、その激しい言葉を訊いて、二人を見た。
「それなら、二人で看ればいいじゃないですか?」
「俺が看るなら、人間を超える。それが奈緒の幸せだ……、お前にそこまでの覚悟があるか?」
何、人間を超えるって、二人で心中して、神様になるってこと、それとも兄妹でアダムとイブになって楽園を出て行くの……? 私は背中に寒いものを感じた。
「……、あるよ! でも、お兄さんとは違う道で奈緒を幸せにするよ。僕なら必ず奈緒を歩けるようにする。今度、理学療法士科に入った。奈緒の神経は繋がっている。後はリハビリしだいだ……」
「それなら、アキラに任せる。俺が帰れば、奈緒を甘やかしてしまう……」
「やっぱり、それだったんですね……、僕もそれを感じていた……」
「なら話は早い……、でも、最後にこの絵を、ジャンダルムの絵を奈緒に渡したい。約束だからな……、ここに連れて来てくれないか?」
「……、でも、奈緒は家から出ないよ。退院してから一度も家から出ていない」
「それなら、お前の役目だ。アキラの力で、奈緒を連れてこい。連れてこられないようなら、俺が香奈を貰う……、俺は、ここでいつまででも待っている。この絵を奈緒に渡すまで……」
「分かった、大丈夫だよ。だましてでも連れてくるよ」
「そうか……、でも親には言うな。行方不明にしておいてくれ。奈緒に感づかれたら終わりだ……、奈緒はいつまででも俺を当てにする」
話が途切れたようなので、私はロールケーキを二人の前においた。
「これが食べたかったんだ……」
お兄さんは、笑顔で美味しそうにフォークで黄桃とケーキをすくった。
私は、複雑そうな話がひとまず決着したのを見て訊いた。
「私のお姉さん、覚えていますか?」
「勿論、覚えているよ。山を下りたら結婚しようって、言っていたくらいだから……」
「そこまで、話が進んでいたんですか?」
「そうだよ……、忘れていたのは、彼女の方だ……」
「あちゃー、彼女、何でも忘れっぽいので……」
「知っているよ……」
「話を訊いて、知っていると思いますが、今、お姉さんは奥穂高に貴方を探しに行っています。今、電話で知らせようと思いましたが、繋がらないので、メールで知らせておきました」
「そう、でも彼女が来るまでここにいられるといいが……」
「いてください……、三年も探していたんですから……」
「そうだねー、すべて、アキラしだいだ!」
二人は、ケーキを食べ終わると店を出て行った。
彼は、私の持ってきたアイスコーヒーをゆっくり口に運んだ。
「サリーちゃん、フルーツロールケーキも、二つ……」
「なんで、私の名前、知っているの?」
「何でも知っているよ……」
私は不に落ちないまま、キッチンに戻った。
「そんなー、ケーキなんか食べている暇、ないでしょう!」
「俺は、ケーキを食べたら帰るよ……」
「帰るって、うちに帰らないんですか?」
「ちょっとなー、三年も家を空けたからなー」
「そんなことは、どうでもいいですよ……」
「とりあえず、まだ内緒にしておいてくれ……」
「……、奈緒のことですか?」
「それもある、……」
「でも、兄妹ですから、……」
「もし、このまま歩けなかったら、俺が面倒を看る……」
「アキラは、出ていけ……、さもないと、奈緒に食われるぞ!」
「そんな酷い言い方は、やめてくれよ!」
私も、その激しい言葉を訊いて、二人を見た。
「それなら、二人で看ればいいじゃないですか?」
「俺が看るなら、人間を超える。それが奈緒の幸せだ……、お前にそこまでの覚悟があるか?」
何、人間を超えるって、二人で心中して、神様になるってこと、それとも兄妹でアダムとイブになって楽園を出て行くの……? 私は背中に寒いものを感じた。
「……、あるよ! でも、お兄さんとは違う道で奈緒を幸せにするよ。僕なら必ず奈緒を歩けるようにする。今度、理学療法士科に入った。奈緒の神経は繋がっている。後はリハビリしだいだ……」
「それなら、アキラに任せる。俺が帰れば、奈緒を甘やかしてしまう……」
「やっぱり、それだったんですね……、僕もそれを感じていた……」
「なら話は早い……、でも、最後にこの絵を、ジャンダルムの絵を奈緒に渡したい。約束だからな……、ここに連れて来てくれないか?」
「……、でも、奈緒は家から出ないよ。退院してから一度も家から出ていない」
「それなら、お前の役目だ。アキラの力で、奈緒を連れてこい。連れてこられないようなら、俺が香奈を貰う……、俺は、ここでいつまででも待っている。この絵を奈緒に渡すまで……」
「分かった、大丈夫だよ。だましてでも連れてくるよ」
「そうか……、でも親には言うな。行方不明にしておいてくれ。奈緒に感づかれたら終わりだ……、奈緒はいつまででも俺を当てにする」
話が途切れたようなので、私はロールケーキを二人の前においた。
「これが食べたかったんだ……」
お兄さんは、笑顔で美味しそうにフォークで黄桃とケーキをすくった。
私は、複雑そうな話がひとまず決着したのを見て訊いた。
「私のお姉さん、覚えていますか?」
「勿論、覚えているよ。山を下りたら結婚しようって、言っていたくらいだから……」
「そこまで、話が進んでいたんですか?」
「そうだよ……、忘れていたのは、彼女の方だ……」
「あちゃー、彼女、何でも忘れっぽいので……」
「知っているよ……」
「話を訊いて、知っていると思いますが、今、お姉さんは奥穂高に貴方を探しに行っています。今、電話で知らせようと思いましたが、繋がらないので、メールで知らせておきました」
「そう、でも彼女が来るまでここにいられるといいが……」
「いてください……、三年も探していたんですから……」
「そうだねー、すべて、アキラしだいだ!」
二人は、ケーキを食べ終わると店を出て行った。
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