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2. 鈴子の家族と雪ん子
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(鈴子の家族と雪ん子)
我が家に着いて、最初に出くわしたのは祖母だった。
「遅かったねー、どこの子だい……?」
「ちょっとそれが分からなくて、連れてきたのよ。それで、駐在所や、あちらこちら回って……」
「迷子かい……?」
「それならいいんですけど……」
祖母も、幼女に聞こえては可哀そうだと思い深くは訊かなかった。
幼女は家に入るなり、鈴子と同じことをしだした。
「お手伝いしてくれるの?」
幼女は、大きく頷いた。
「ありがとうー」
鈴子も、またどこかに消えてしまっては困ると思っていたので、そばにいてくれることはありがたい。
「どこの子……?」
学校から帰って来たばかりの鈴子の一人息子武は、台所の冷蔵庫を覗きながら訊いた。
「今日一日預かることにしたのよ……」
武は、幼女には関心がなさそうで、冷蔵庫から牛乳パックを取り出した。
「武も遊んであげるのよ!」
それには答えず、牛乳をコップに一杯注ぐとアンパンを一つ持って出て行った。
鈴子が食事の支度をする間も幼女はそばから離れようとしなかった。
食事の支度が終わるころ、祖父が大声を上げて帰って来た。
「おー、雪ん子こが来とるってかー?」
「早耳ですねー、……」
玄関で長靴を脱ぐ祖父に言った。
「帰る途中、駐在に声かけられた。よろしく頼むと、ゆきんこは……?」
鈴子の後ろに雪ん子がいた。
「へー、えろうべっぴんさんだなこりゃー」
雪ん子は思わず、鈴子の陰に隠れた。
「おびえさせないでくださいねー」
「なんも、食ってしまおうとはいっとらんぞー」
祖父は、渋い顔を見せた。
鈴子は、ため息を一つ落として居間に入った。
いつもの夕食風景の中、今日は雪ん子こが鈴子の横にちょこんと座っていた。
「やっぱり女の子はいいなー、家が明るくなる……」
祖父は嬉しそうに言った。
「よくお手伝いが出来るんですよ。小さく見えますけど幾つなんでしょうねー」
鈴子は、雪ん子をもう一度眺めた。
箸もちゃんと使えていた。
そういえば、幼女に向かって、ちゃんと名前を尋ねたことがないことを思い出した。
「あなたのお名前は、何ていうの?」
「ゆきんこ!」
幼女は大きな声で答えた。
「ほらー、やっぱり雪ん子じゃー」
祖父は喜んで答えた。
「もう、お爺さん、この子が覚えちゃうじゃないですかー」
もう一度、鈴子は、訊いてみた。
「雪ん子は、お爺さんが言った名前でしょう。お母ちゃんが、いつも呼んでる名前は、なーあーに……?」
「雪ん子!」
幼女はもう一度大きな声で言った。
「ほらみろ、雪ん子じゃー」
祖父が嬉しそうに言った。
「もー、それなら、雪ん子でいいわ……」
鈴子は呆れながら、茶碗を取ってご飯を口に入れた。
そう言えば、峠で遭った傘の女の人も雪ん子と呼んでいた。
それに、小さい子なら、夜になれば家に帰りたいとか、母親が恋しくなり、泣いたりぐずったりするものなのに、この子は泣くどころか、いつも笑ってお手伝いもする。
どういう子なのだろうと、考えれば考えるほど分からなくなる。
武は、雪ん子にはそれほどの興味を示さず、テレビばかりを見てご飯を食べていた。
「武、お前の妹だぞ、面倒をみてやれよ!」
話が武に向けられたことで、武は目線を一度、雪ん子に向けて……
「分かってるよ!」と言ってから、また再びテレビを見た。
「面倒みられるのは、武のほうかもしれんなー」
祖父は、笑いながら、からかった。
我が家に着いて、最初に出くわしたのは祖母だった。
「遅かったねー、どこの子だい……?」
「ちょっとそれが分からなくて、連れてきたのよ。それで、駐在所や、あちらこちら回って……」
「迷子かい……?」
「それならいいんですけど……」
祖母も、幼女に聞こえては可哀そうだと思い深くは訊かなかった。
幼女は家に入るなり、鈴子と同じことをしだした。
「お手伝いしてくれるの?」
幼女は、大きく頷いた。
「ありがとうー」
鈴子も、またどこかに消えてしまっては困ると思っていたので、そばにいてくれることはありがたい。
「どこの子……?」
学校から帰って来たばかりの鈴子の一人息子武は、台所の冷蔵庫を覗きながら訊いた。
「今日一日預かることにしたのよ……」
武は、幼女には関心がなさそうで、冷蔵庫から牛乳パックを取り出した。
「武も遊んであげるのよ!」
それには答えず、牛乳をコップに一杯注ぐとアンパンを一つ持って出て行った。
鈴子が食事の支度をする間も幼女はそばから離れようとしなかった。
食事の支度が終わるころ、祖父が大声を上げて帰って来た。
「おー、雪ん子こが来とるってかー?」
「早耳ですねー、……」
玄関で長靴を脱ぐ祖父に言った。
「帰る途中、駐在に声かけられた。よろしく頼むと、ゆきんこは……?」
鈴子の後ろに雪ん子がいた。
「へー、えろうべっぴんさんだなこりゃー」
雪ん子は思わず、鈴子の陰に隠れた。
「おびえさせないでくださいねー」
「なんも、食ってしまおうとはいっとらんぞー」
祖父は、渋い顔を見せた。
鈴子は、ため息を一つ落として居間に入った。
いつもの夕食風景の中、今日は雪ん子こが鈴子の横にちょこんと座っていた。
「やっぱり女の子はいいなー、家が明るくなる……」
祖父は嬉しそうに言った。
「よくお手伝いが出来るんですよ。小さく見えますけど幾つなんでしょうねー」
鈴子は、雪ん子をもう一度眺めた。
箸もちゃんと使えていた。
そういえば、幼女に向かって、ちゃんと名前を尋ねたことがないことを思い出した。
「あなたのお名前は、何ていうの?」
「ゆきんこ!」
幼女は大きな声で答えた。
「ほらー、やっぱり雪ん子じゃー」
祖父は喜んで答えた。
「もう、お爺さん、この子が覚えちゃうじゃないですかー」
もう一度、鈴子は、訊いてみた。
「雪ん子は、お爺さんが言った名前でしょう。お母ちゃんが、いつも呼んでる名前は、なーあーに……?」
「雪ん子!」
幼女はもう一度大きな声で言った。
「ほらみろ、雪ん子じゃー」
祖父が嬉しそうに言った。
「もー、それなら、雪ん子でいいわ……」
鈴子は呆れながら、茶碗を取ってご飯を口に入れた。
そう言えば、峠で遭った傘の女の人も雪ん子と呼んでいた。
それに、小さい子なら、夜になれば家に帰りたいとか、母親が恋しくなり、泣いたりぐずったりするものなのに、この子は泣くどころか、いつも笑ってお手伝いもする。
どういう子なのだろうと、考えれば考えるほど分からなくなる。
武は、雪ん子にはそれほどの興味を示さず、テレビばかりを見てご飯を食べていた。
「武、お前の妹だぞ、面倒をみてやれよ!」
話が武に向けられたことで、武は目線を一度、雪ん子に向けて……
「分かってるよ!」と言ってから、また再びテレビを見た。
「面倒みられるのは、武のほうかもしれんなー」
祖父は、笑いながら、からかった。
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