底辺男が十歳下の溺愛執着系イケメンホストに買われる話(本編完結済み)

猫と模範囚

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(リバ要素なし!)青山君がリバに挑戦しようとして返り討ちにされる話

※(7)圭吾君、俺のこと抱きたいんじゃなかったの?





 抵抗する意思はとうに溶け落ちていた。実際は数分なのだろうけど、青山君にとっては気が狂いそうなほど長かった。
 ベッドに座った姿勢で後ろから澪に抱きすくめられ、ずっと胸の先端だけを弄ばれている。

「んっ、あ、あぁ……ッ」

 左右の粒を執拗に指でこねまわされ、青山君はみっともなく喘がされ続けていた。

 最初は澪の手首をつかんで止めようとしたし、彼の拘束から抜け出そうと暴れたが、澪のせいで敏感になりすぎたそこを責められるとまともに力が入らない。
 それに澪のおさえ方がうますぎた。あくまでも恋人同士の、抱っこ、の範疇で柔らかく捕まえられているのに、青山君が動こうとする呼吸を読み的確に阻んでくるので、どうしても逃げられない。本気出しやがった、こいつ。
 Tシャツを着た澪の硬い身体が背中に触れる。澪は上下とも服を着ているのに、青山君だけが素っ裸だった。

「圭吾君、最近ここあんまり触らせてくれないよね。感じすぎて恥ずかしいからでしょ。今さらそんなの無駄なのに」

 澪に耳元で淡々とささやかれる。青山君はその吐息に反応してビクッと身体を跳ねさせた。
 何の面白みもない痩せた男の胸に、はしたなく快感を享受している二つの粒がそそり立っている。その光景が自分の身体ながらもどうしても受け入れられない。いやだったのに無理やり性感帯に仕込まれたのがくやしい。
 そこは今も澪から目を覆いたくなるほど卑猥な手つきでひたすら可愛がられていた。

「圭吾君、ここ気持ちよくされるのくやしいし意味わかんないし気持ち悪かったのにね、なんで今は自分の雑魚乳首いじり倒されてるの見て勃っちゃってるの?」

 まったく触れられていない青山君の雄は先走りで濡れていた。澪に揶揄され、青山君は慌ててそこから目をそらして叫ぶ。

「っ見てない!お前しつこいんだよ……ッ、離せっ……」
「そうだねー気持ちいいねーよかったねー」

 人を小馬鹿にしたようなクソ生意気な甘い声。青山君は背をのけぞらせ鳴くことしかできない。

「あぅっ、あ゛ッ、ああぁっ」

 いい加減にしろ、と怒鳴りつけてやりたいのに。澪を喜ばせるような嬌声だけが喉からこぼれ落ちる。ふふっ、と澪が笑う気配がした。

「こんなちっちゃい粒いじられてるだけで派手に喘いでくれるの、ほんと可愛い」
「み、澪っ……もう許して……」
「俺、桜色じゃないよね?」
「ひぁっ、あ、あ……桜色じゃないです!」
「よかったー」

 綺麗だと褒めただけだったのに。まさかそれが澪の地雷だったとは。そこばかり責めるのは仕返しのつもりなのか。
 馬鹿みたいな会話の応酬の最中も、澪の手だけは欲情にまみれた執拗な愛撫を続けていた。恥ずかしいし腹が立つけど、やめろとは言えない。なぜなら青山君の身体は、この先の行為を待ちわびていたからだ。

「圭吾君、入れてほしいんでしょ?」

 澪は青山君の願望をあっさり言い当てる。

「ここいじられたら中も欲しくなるように仕込んでるから」
「あ゛、おっ、お前ほんっところすぞ……」
「あっはは。ひさしぶりに圭吾君からの殺す発言、いただけましたー」

 何が澪の琴線に触れたのかまったくわからないが、彼ときたら大喜びである。ムカつくやら可愛いやら、今後乳首に触られるたびにこのぐちゃぐちゃな感情を思い出しそうで、青山君は甘い絶望に鳥肌が立った。

「後ろからハメてイかされてるときに乳首きゅーってされるの大好きだよね、圭吾君。あれで絶対泣いちゃうの好き。可愛い」

 きゅーってこれね、と澪は左右の尖りをつまむ。青山君は澪の手首をつかんで大暴れしたつもりが、実際は力が入らず、弱々しく悶えて澪をさらに煽っただけだった。
 ちがう、好きじゃない。はしたなく喘ぐ合間に途切れ途切れに否定するも、青山君の声の甘ったるさから澪は答え合わせを完了していた。青山君はこれが大好きだと。

「あっ、や、やだ、澪っ……」

 青山君が涙目で訴える、やだ、の意味がいつのまにか変わっている……もうやだ、耐えられない、入れてほしい。疼いてたまらない箇所を快感に嬲られ続け、気持ちよくされること以外なにも考えられなくなっていた。

「俺が圭吾君の性癖を把握しまくってるのと同時に、圭吾君も俺のことよくわかってるはずなんだけどぉ。アンアン言ってるだけで気持ちよくしてもらえるわけねえだろ、ちょっとは媚びろよバリネコちゃんがよ」

 青山君のことが可愛くてしょうがない、という態度は隠さずに、口調だけは高圧的で乱雑だった。おっしゃる通り澪は青山君の嗜好をよくわかっていた。いじわるそうな低い声でささやかれ腹の奥が疼く。
 普段はアンアン言ってるだけで気持ちよくしてもらっているのだが。今夜の澪はそういう路線で責めるつもりらしい。青山君は瞬時に調子を合わせ、素直に言った。

「入れてください、お願いします……」

 澪が何に興奮するか、わかってる。こいつは言わせたいタイプだ。

「圭吾君、俺のこと抱きたいんじゃなかったの?」
「もういい、抱かなくていいからっ……早く……」

 澪は胸を弄んでいた手を片方だけ移動させ、青山君の前を握り込んだ。

「ちょっ……やっ、馬鹿!出るっ……」
「こんなつまんない手コキでイきたくないでしょ?ちゃんと全力で媚びておねだりして?」
「ざっけんなクソガキ!あぁ゛っ、やだ、もう無理……っ入れて……」
「ちゃんと俺より圭吾君のほうが可愛いって言って」
「……ッ、俺のほうが可愛いので、ブチ犯されんのがお似合いです。ハメてください」
「すっげーアレンジ効くじゃん、天才かよ……」

 こうして青山君は、絶対泣いちゃう、と予告された責め方をされて泣きじゃくった。ひさしぶりに泣き叫ぶほど激しく抱かれ、意識が朦朧とする。
 悪態をつくことすらできずただ喘ぐだけになった青山君を後ろから貫きながら、澪はとんでもない話を打ち明けてきた。

「年末の旅行で大浴場の露天風呂行ったとき、圭吾君寒くて乳首立っちゃってて……俺、頭どうにかなりそうだったんだけど」
「あ゛ぅっ、あっ、あっ」
「俺たち親戚にも友達にも見えないから、仲良く肩並べて温泉入ってんの少し目立ってたんだけど、気づいてた?」

 目立っていたのは絶世の美男子の澪だけだったはずだが。

「俺バイっぽいねってたまに言われるし。そんな俺の横で開発済みの乳首ピン勃ちさせてる圭吾君は迂闊すぎるから。見る人が見れば俺にしゃぶり倒されてんのバレるから。これは俺のもんだって見せつけんのも楽しいけど、やっぱ圭吾君のエロい身体を他人に見られるのムカつくから。もう旅館の大浴場行っちゃだめだよ。これからはずーっと貸し切り風呂付きの部屋に泊まろうね」

 途中から何を言われているのかよくわからなかったけど、気持ちよくしてくれる澪の言うことは聞いておいたほうがいい。青山君はうつろな目で頷く。
 その後もなにやら澪にいやらしいことを言われたり、言わされたりしたが、律動に翻弄されわけがわからなかった。口の端から唾液を垂らして泣きながら気持ちいいと鳴く青山君の頭を、澪は愛おしげになでてくれる。

「圭吾君、な……」
「中に出して」

 青山君は命令される前に言った。耐えきれずに笑う澪の吐息も、震えるほど昂ぶっていた。
 後ろから抱かれるのは嫌いではない。むしろ結構好きだ。だけどひとつだけ恐ろしい懸念がある。だって行為の後、高確率で澪からこう言われるのだ。

「圭吾君の顔見えなかったから、もう一回正面から抱かせて」

 うつ伏せになっていた身体を引っくり返される。澪は青山君の返事も待たずにキスをしてきた。ぬるぬると舌を絡め合う恍惚感にまた意識が遠のきそうになる。
 一度出しても興奮が収まらない澪のものを再び後ろにあてがわれ、青山君は口内を犯されながら小さく呻く。ついさっきまで澪に好き放題されていたそこは、軽く押し当てただけで誘うように澪を受け入れようとしている。
 じわじわと浅く侵入され、青山君は澪の肩を押し返そうとしたのに結局すがりつく形になった。抗えない快感に喉をそらして喘ぐ姿を澪が食い入るように見つめている。
 力の入らない脚でシーツを蹴って身をよじろうとしても、澪は許してくれない。

「ふふっ、頑張って逃げようとしてるのにね、ちょっとずつ入っていっちゃうね」

 喋る余裕なんてなかった。青山君は引きつった呼吸だけを繰り返し、首を横に振る。この身体が誰のものなのかを青山君にわからせるために、ゆっくりと、澪のそれが身体の中に沈んでいくのを受け入れるしかなかった。
 今、奥まで揺さぶられたら、きっと死ぬほど気持ちいい。もう二度と抱く側はできないと理解させられてしまう。青山君はガクガクと足を震わせ、涙目で懇願した。

「待って、澪っ、今はだめ……」

 だめ、と嗚咽混じりの声で言う青山君を見下ろし、澪はピクリと肩を揺らす。腰を引いて離れようとした澪の髪をつかんで引き寄せ、青山君は低い声で告げた。

「今の“だめ”はだめじゃないやつだろ。わかるだろ」
「わかってます、すみません」

 澪はまるで運動部の後輩のように早口で謝罪した。ひと呼吸の後、澪は一気に声色を変え、性悪そうな笑顔を浮かべる。

「バリネコちゃんに拒否権なんてあるわけねえだろ」

 そしてこの切り替えの鮮やかさである。これは褒め言葉だが、頭がどうかしているとしか思えない。

「圭吾君、二回目のほうが中の感度エグいよね。俺に中出しされて仕上がっちゃう身体エロすぎるんだけど」

 腰をつかまれ、一気に奥まで押し入られる。視界が熱い涙で歪んだ。青山君は両手でぐしゃぐしゃと髪を掻きむしり、絶頂に咽び泣く。

「もうやだぁ、あ゛ぁっ、動かすなッ、もうイってるからぁ……」

 たまにはめちゃくちゃに抱かれたい夜もある、とひそかに思っていたのだけど。お利口な澪にきっちりと遂行され、ベッドの上でこいつに勝つのは不可能なのだとわからされた。
 もしかしたら青山君は、最初から彼に負けることを望んでいたのかもしれない。完敗してようやく己の本心に触れた気がする。

 快感に泣きじゃくる青山君を見つめ、澪は口の端を上げる。彼の琥珀色の瞳の輝きの複雑さは、二人の歴史を感じさせた。今まで青山君は澪に何度泣かされたかわからない。そして青山君は、澪を泣かせた唯一の男でもあった。
 澪は荒い呼吸を引きずりながらも、凪のように穏やかな声で言う。

「本当にやめてほしいときの声はわかるから。圭吾君、遠慮なく泣きわめいていいよ」

 今度は青山君からくちづけた。何の技巧もない、ただ澪を求めるだけのキスだった。
 俺がこいつを抱けるわけがない。青山君は自分の立ち位置を教え込まれる快感に溺れている。なんというか、自らつかみ取った敗北という開き直りの清々しさすらあった。
 澪の凶暴な愛情が好きだった。それで青山君という男は不可逆に捻じ曲げられたけど。一人ぼっちだった澪が傷を重ね、誰からも教わらずに覚えた歪で過剰な愛し方に、身を委ねる浮遊感を忘れられない。だってそれが澪だから。彼のぜんぶが欲しかった。
 キスの合間に、熱に浮かされた目をした澪がささやく。

「圭吾君、ほんと可愛い」

 お前のほうがずっと可愛いよ。青山君は心の中で言い返す。
 澪に貪られている唇が笑みの形を作った。澪はわかっているのだろうか、お前がどんなに牙を剥こうが、お前がいる場所は俺の手の内だ。澪にぐしゃぐしゃに泣かされ、優しく髪をなでられながら何度も抱かれた。








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