俺「重課金疲れた……」ギルメン「俺さんすごい! 次のイベントもお願いします!」

道楽時計

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第十四話 ギルド戦前日

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俺「きょ、今日はもういいか! 天地返しも、本番は多分失敗しないだろうし」 
俺(あいつがいると集中できん。俺でさえこうなんだから、女騎士からしたら針の筵だろ……) 

女騎士「う、うむ……」 

少女「フフ……折角の婚姻システムも、コンビネーションがバラバラだと台無しでございますわね」 

男魔術師「おいおい、影から見てるだけじゃなかったのか? 話が違うぞ少女ちゃんよ」 

少女「気が変わりましたの。どうやらこの殿方は、別に恐れるに足りないようですから」 

俺「な、なんだお前ら?」 

女騎士「俺、引くんだ! こいつ、ギルド戦の第一試合目の対戦相手の頭だ!」 

少女「別に警戒しなくとも結構でございますよ。ここでPKしようなんて、そんなケチなことは考えていませんから」 
少女「……そちらの俺さんには恨みがありますので、それでもいいのですが」 

俺「誰だ! 俺と、どこかで会ったことがあるのか?」 

少女「さあ、どうでございましょう?」 
少女「御自分の胸に、よく聞いてみることでございますわね」クスクス 

男魔術師「へえ、俺の嫁さんと知り合いかい? 妬いちまうねぇ、ただ偵察って言って、そんなの教えてくれなかったじゃないか」 

少女「わざわざ言うほどの仲でもなくってよ、ア・ナ・タ」 


◆◆


女騎士「新興マイナーギルドと侮っていたが、大将が結婚組か……」 
女騎士「調べたところ、あの少女……かなり胡散臭いぞ。最近始めたようだが、初日から昔のイベント武器を持っていたという噂もあるらしい」 
女騎士「それに……レベルアップがあからさまにおかしい。課金だけではない。前もって情報を持っていた……としか思えない」 

俺「じゃあ、誰かのサブ……」 

女騎士「何か、心当たりはないのか? 俺は他のオンゲーもやっていたんだろう? そこ関係で恨みを買ったことは……」 

俺「……腐るほどあるな」 
俺「しかし、どうしてサブをリーダーに立てているんだ?」 

女騎士「考えられるのは、表に出ると叩かれて身動きができなくなるほど悪名高いプレイヤーか……ちょっとした前科のある、酷くプライドの高い小心者か、この二つに一つだろう」 
女騎士「もしかすると、元の本体はもう退会しているのかもしれん」 

俺(あんまり他人事とも思えねぇな……) 

女騎士「このことは皆にも伝えておかないとな。急にぶつかると、混乱するかもしれん」 

俺「ああ、全員で真っ先に男魔術師を袋叩きにするよう言っておこう」 

女騎士「ん? そっちなのか?」 

俺「共同スキルは片方が潰れた時点で意味をなさない。魔術師はHPが低いし、ギルマスの方はレベルが高過ぎる。潰すなら魔術師からだ」 
俺「麻痺、睡眠を連続的にぶつけて動きを封じるんだ。恐らく魔術師の近くに回復役がいるはずだから、手が空いたものは徹底的にそいつの邪魔をしてもらおう」 

俺「そして余力があれば、なるべく男魔術師を弾いて両者を引き離すようにする」 

女騎士「本当に、俺は容赦がないな……」 

俺「褒め言葉として受け取っておこう」 
俺「わざわざ前日に姿を見せに来てくれて、本当に助かった」 

俺「……ということだ。フェイクの可能性もあるが、男魔術師が恐らく夫婦の片割れだ」 
俺「この作戦でいけば、相手の戦力を上手く削ることができるはずだ」 

女モンク「なるほど、ならばそれを踏まえた陣形にするか」 
女モンク「しかし……ダークホースだったな。まさかこんな無名ギルドに、重課金者がいたとは」 

俺「こそこそ引き抜きで仲間を集めていたらしい。姑息な奴だ」 

俺(掲示板で度々叩かれていたようだったか……前のがトラウマで、見るの控えてたからなぁ……) 
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