女剣士「私は剣の名家、貴方のような貧民上がりには負けない」俺「どうだろうな」シュッ

道楽時計

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第五話 堕落

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―半年後― 

騎士D「そろそろ復帰したらどうだ? 元天才騎士よ」 
俺「…………」 
騎士D「いい加減にしろ! 何もしないお前を庇っているのも、もううんざりなんだよ!」ドンッ 

俺「もう……以前のように動かないんだ、俺の腕」 
俺「天道貫に、ほとんどやられてる。左手の握力は未だに元の半分以下だよ」プランプラン 


騎士B「それを言い訳にしているだけだろうが!」ガッ 
俺「…………」 

騎士B「……お前、酒臭いぞ」 
俺「いいだろ? どうせ何もしないんだから」 
騎士B「なっ…!」 

俺「もうクビにしてくれ」 
俺「あの殺人鬼も、しばらくは暴れてたけど、もうすっかりなんだろ?」 
俺(多分…俺が出てこなかったからだろうな) 

騎士B「この、クズが!」ガンッ 
俺「うぐっ!」 


―二年後・廃棄街の闘技場― 

司会「さあ、賭けた賭けた!」 
司会「今日の試合は無敗の剣士俺ェ! そして、正体不明の仮面男!」 
司会「夢のドリームマッチだあああ!」 

観衆「うおおおおお!」 
観衆「当然、俺に賭けるぞお! あいつが負けるところは想像できねぇからなあ!」 

俺「…………」フラフラッ 

仮面男「テメェが、百連勝剣士か。近くで見るのは初めてだな」 
仮面男「おい、何か言ってみたら…」 

俺「……騎士長、ですか?」 
仮面男「はあ?」 

俺「ごめんなさい、ごめんなさい…」 
俺「俺のせいで、こんな…」 

仮面男「おい、何言ってやがる。別人だ」 
俺「違う、のか…?」 
仮面男(なんだ、妙だぞ) 

俺「女剣士…? そうか、お前か」 
仮面男「は?」 
俺「会いたかった…ずっとだ。ごめんな、ごめん…」 

仮面男「お前…ヤクやってやがんな」チッ 
仮面男「命懸けの試合前にトリップかよ」 
仮面男「こんなのが裏闘技場の無敗剣士? 悪い冗談…」 

俺「今度こそ殺してやるからな、安心しろ」ギロッ 

仮面男「!」ゾオッ 


仮面男(こいつはまずい! 俺の本能が訴えてやがる!) 
仮面男(癪だが、守りに入る! 近づかれたら、下がりながら牽制して、まずは様子を見る!) 

 ザンッ 

仮面男「いつ、近付いて……あ……」 

俺「…………」 

司会「しょ、勝者! 俺!」 

観衆「うおおおっ! マジで強すぎるだろアイツ!」 
観衆「ヤベッ! 倍率低すぎwwwwま、確実に勝てるもんなwwww」 
観衆「ここ数戦、明らかになんか鬼神がついてるよな。来たばっかりのときとは段違いだ」 

?「……ふむ、噂に聞いていた以上だね」


――


司会「さすが俺様です。貴方こそ、最強の剣士に相応しい」 

俺「……それより、アレをくれ、報酬をくれ、なあ。残りが少ない」ガタガタ 

司会「わかっていますよ。はい…ゴブリンパウダーです」ニヤッ 

俺「…………」スースー 

女勇者「薬漬けにして強引に戦わせるなんて…あまりに酷い」 

司会「なっ! だ、誰だ」 

女勇者「キミ達の行いは、ボクが許さないよ」ジャキン 

司会「馬鹿な! 護衛の奴らがあれだけいたのに、たった一人に突破されたのか!?」 
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