断罪中にお腹が鳴る!食欲に正直に生きたら騎士団長に胃袋を掴まれました

ちゃっぴー

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「皆様、本日はお集まりいただき、感謝いたしますわ。我がラングレー公爵家と、王宮騎士団長サイラス・ヴォルガード卿の婚約を、ここにご報告させていただきます」


ラングレー公爵邸の大広間。
眩いばかりのシャンデリアの下、ミミルは人生で最も輝かしいドレスに身を包み、堂々と宣言した。
その隣には、勲章を胸に飾った正装のサイラスが、鉄壁の守護神のごとき威厳を持って佇んでいる。


会場からは、割れんばかりの拍手と、一部の令嬢たちからの悲鳴に近い歓声が上がった。
「氷の毒婦」と「鉄血の騎士」。
かつては関わり合うはずもないと思われていた二人が、今、世界で最も「強靭で美味しそうな」カップルとして結ばれたのだ。


「おめでとう、ミミル。お前が選んだ道だ。私は全力で応援するぞ」


父、ラングレー公爵が、目元を真っ赤にしながら二人の手を取った。
彼はすでに、サイラスのために「国中の特級肉の優先納品権」を婚約祝いとして手配済みである。


そんな祝賀ムードの中、会場の隅でボロボロの姿で立ち尽くす影があった。
ジュリアス王子と、彼に愛想を尽かされかけているカレンである。


「ありえん。ありえんぞ、こんなこと! 僕という至高の存在を捨てて、あんな、四六時中何かを食べているような女が、なぜこれほどまでに称賛されているんだ!」


「殿下、もうおやめなさい。ミミル様は、わたくしたちが失った『本当の食欲』……いえ、情熱を持っていらっしゃるんですわ」


カレンが、力なく呟いた。
彼女は今、ミミルの影響で「深夜のドカ食い」を卒業し、適度に肉を食べる健康的な生活に変えたことで、皮肉にもかつてより肌のツヤが良くなっていた。


ミミルは、そんな元婚約者たちに一瞥もくれず、隣のサイラスに顔を寄せた。


「サイラス様。儀式はこれで終わりかしら? 私、もう限界ですわ」


「ああ、分かっている。披露宴のメインディッシュ、全頭から数キロしか取れない『幻のミスジ』のロースト、今、最高の発火状態で運ばれてくるぞ」


「! 流流石は我が夫となるお方! さあ、参りましょう! 社交界の噂話より、肉の脂の甘みに耳を傾けるのですわ!」


二人は、王族への挨拶もそこそこに、真っ直ぐに自分たちの主役席……の隣にある、特設のビュッフェカウンターへと突き進んだ。


「ミミル。これからも、俺が貴様の皿を埋め尽くそう。一生、空腹になどさせない」


「嬉しいですわ! 私も、サイラス様のその素晴らしい筋肉が、永遠に私の目を楽しませてくれるよう、最高の高タンパクメニューを考案し続けますわね!」


「ああ。だが、たまには、二人きりの、静かな食事も」


「あら、今夜は二人きりの『深夜のラーメン』パーティーを予約済みですわよ?」


「やはり貴様には、一生勝てそうにないな」


サイラスが、降参するように笑った。
ミミルは、彼の手をぎゅっと握りしめ、運ばれてきた肉の山に輝く瞳を向けた。


婚約破棄から始まった、彼女の自由な人生。
それは、美味しいものを食べ、愛する人の筋肉を愛で、そして自分らしく生きるという、最高のフルコース。


「さあ、頂きましょう、サイラス様! 私たちの、美味しい未来に……乾杯ですわ!」


二人の幸せな咀嚼音は、音楽隊の演奏をかき消すほどに、明るく、そして力強く会場に響き渡った。
ミミルとサイラスの物語は、これからもおかわり自由の幸福と共に、どこまでも続いていくのである。
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