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これが俺の異世界生活
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朝の日差しが窓から差し込む。差し込んだ光に店内が柔らかく照らされて、カウンターと椅子を命を吹き込んでいく。
「ふわぁあぁぁ。今日は休日だから、客が多そうだな。多めに焙煎しておくか」
カウンターの裏側に回りこみ、奥からコーヒー豆を詰め込んだ袋を引っ張り出してくる。特注で作って貰ったコーヒースコップで、今日使う分をしっかり量って取り分ける。
「さあ、いくぞぉぉぉぉ。バリスタのスキルその1――ば、い、せ、ん!!!!!!!!!!」
気合いと主に尻から飛び出た可燃性ガスを使い、一気にコーヒー豆を炎で包み込む。
ここで汚いと思ったあなた! それは甘い認識だ。異世界に火を安定させて発生させる技術も魔法もないのだ。魔法は炭になるまで燃やし尽くしてしまうし、薪で焙煎すると余計な香りがうつってしまう。
だからこその尻からの可燃性ガスなのだ。燃えれば臭いは問題なくなるのだ。なんの問題も無いだろう?
「よし、良い香りだぜ」
「うにゃぁ、もう仕事してるにゃ?」
二階へと続く階段から降りてきたのは、私のマイワイフ。猫人になったからか、異性の好みも人間から猫人に変わっていたのだ。
「お早うハニー、朝ご飯はコーヒーとパンでいいかい」
「にゃ! ハチミツたっぷりのコーヒーと、同じくハチミツたっぷりのパンでお願いにゃ」
朝飯を食べたあとは開店だ。カウンターにあるレバーを思いっきり引き、店を開店させる。
『ウ~ウ~ウ~! コーヒーショップ・バリスタが開店します! 敵国の皆様はご注意下さい。本日の予想は、バリスタから大量のコーヒーと矢が降り注ぐでしょう! 運悪く矢が直撃した人にはご冥福を、運良くコーヒーを飲めたかたは、是非ともリピートを! ウ~ウ~ウ~!』
人間国のインフィー国の首都ナナヤ。その外周に突然現れては消えて、また現れる不思議なカフェ。そのカフェの屋根上には巨大なバリスタが備え付けられ、ナナヤの中心地に向かってキラリと輝く巨大矢をつがえている。
「まずは、まろやかな味が老若男女に受け入れられるカフェオレだ! そら飛んでいけー!!!」
矢は茶色い汁……もといカフェオレをまき散らしながら首都ナナヤに飛んでいく。
遠く離れていても聞こえる阿鼻叫喚。その声を聞きながら、次の巨大矢を装填していく。
「次は、当たっても痛い、飲んでも苦いエスプレッソだ」
黒い汁をまき散らしながら飛んでいく矢。
猫人と人間の戦争は、俺という存在が現れたことで大きく傾いた。神様が与えたバリスタというスキル。そのバリスタは『何の』バリスタか指定されてなかったらしく、俺は冒険者のバリスタ使いとなり、カフェのバリスタにもなった。
まったく、人間共が早く降伏してくれないとマイワイフと落ち着いていちゃいちゃ出来ないじゃないか。
「あなた、人間の国から人が出てきたわよ!」
「また烏合の衆か? それとも俺みたいな転生者でもやっと出してきたか? でも関係ねぇ、俺のスキルバリスタが作り出すコーヒーと巨大弓は最強だ」
カフェがまるで分解されるように開いていく。屋根が、壁が、床が、カウンターが……それぞれ意志をもっているように動き出し、無数のバリスタを作り出す。
「さあ、お客様。本日のメニューのお勧めはエスプレッソですよ」
三日後、首都ナナヤは陥落しコーヒー臭さを残して猫人の手に落ちた。平和を手に入れた俺は、異世界での世界をこれから満喫できると、嫁の私室へと紳士らしく足早に向かった。
「ふわぁあぁぁ。今日は休日だから、客が多そうだな。多めに焙煎しておくか」
カウンターの裏側に回りこみ、奥からコーヒー豆を詰め込んだ袋を引っ張り出してくる。特注で作って貰ったコーヒースコップで、今日使う分をしっかり量って取り分ける。
「さあ、いくぞぉぉぉぉ。バリスタのスキルその1――ば、い、せ、ん!!!!!!!!!!」
気合いと主に尻から飛び出た可燃性ガスを使い、一気にコーヒー豆を炎で包み込む。
ここで汚いと思ったあなた! それは甘い認識だ。異世界に火を安定させて発生させる技術も魔法もないのだ。魔法は炭になるまで燃やし尽くしてしまうし、薪で焙煎すると余計な香りがうつってしまう。
だからこその尻からの可燃性ガスなのだ。燃えれば臭いは問題なくなるのだ。なんの問題も無いだろう?
「よし、良い香りだぜ」
「うにゃぁ、もう仕事してるにゃ?」
二階へと続く階段から降りてきたのは、私のマイワイフ。猫人になったからか、異性の好みも人間から猫人に変わっていたのだ。
「お早うハニー、朝ご飯はコーヒーとパンでいいかい」
「にゃ! ハチミツたっぷりのコーヒーと、同じくハチミツたっぷりのパンでお願いにゃ」
朝飯を食べたあとは開店だ。カウンターにあるレバーを思いっきり引き、店を開店させる。
『ウ~ウ~ウ~! コーヒーショップ・バリスタが開店します! 敵国の皆様はご注意下さい。本日の予想は、バリスタから大量のコーヒーと矢が降り注ぐでしょう! 運悪く矢が直撃した人にはご冥福を、運良くコーヒーを飲めたかたは、是非ともリピートを! ウ~ウ~ウ~!』
人間国のインフィー国の首都ナナヤ。その外周に突然現れては消えて、また現れる不思議なカフェ。そのカフェの屋根上には巨大なバリスタが備え付けられ、ナナヤの中心地に向かってキラリと輝く巨大矢をつがえている。
「まずは、まろやかな味が老若男女に受け入れられるカフェオレだ! そら飛んでいけー!!!」
矢は茶色い汁……もといカフェオレをまき散らしながら首都ナナヤに飛んでいく。
遠く離れていても聞こえる阿鼻叫喚。その声を聞きながら、次の巨大矢を装填していく。
「次は、当たっても痛い、飲んでも苦いエスプレッソだ」
黒い汁をまき散らしながら飛んでいく矢。
猫人と人間の戦争は、俺という存在が現れたことで大きく傾いた。神様が与えたバリスタというスキル。そのバリスタは『何の』バリスタか指定されてなかったらしく、俺は冒険者のバリスタ使いとなり、カフェのバリスタにもなった。
まったく、人間共が早く降伏してくれないとマイワイフと落ち着いていちゃいちゃ出来ないじゃないか。
「あなた、人間の国から人が出てきたわよ!」
「また烏合の衆か? それとも俺みたいな転生者でもやっと出してきたか? でも関係ねぇ、俺のスキルバリスタが作り出すコーヒーと巨大弓は最強だ」
カフェがまるで分解されるように開いていく。屋根が、壁が、床が、カウンターが……それぞれ意志をもっているように動き出し、無数のバリスタを作り出す。
「さあ、お客様。本日のメニューのお勧めはエスプレッソですよ」
三日後、首都ナナヤは陥落しコーヒー臭さを残して猫人の手に落ちた。平和を手に入れた俺は、異世界での世界をこれから満喫できると、嫁の私室へと紳士らしく足早に向かった。
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