【完結】五度の人生を不幸な出来事で幕を閉じた転生少女は、六度目の転生で幸せを掴みたい！

第一章 婚約破棄の章

第五話 愚か者は時として戯言を吐く

　「実はですね、ノワールは婚約破棄を突き付けたらショックで屋敷に帰ってしまったんですが…今から追い掛けてから婚約破棄は嘘だったと伝えて来ようかと思っていたのです！」
　《確かに…婚約破棄はショックだったわね。　そのお陰で前世の記憶が甦ったので、今は感謝しかしていませんけど…》

　「アクードお前…婚約破棄を突き付けた令嬢の気持ちを考えた事があるのか⁉　今更嘘だったと言って済む筈がないだろう！」
　「大丈夫です！　ノワールはショックこそ受けましたが、私にまだ気がある筈です！」
　《ある訳ないでしょう…どこまで自意識過剰なのよ？》

　するとメルティが、叫んで言った。

　「それはありませんわ！　姉はこの部屋から退出する時に、アクード様の事を散々馬鹿王子と罵った挙句、婚約破棄されて嬉しそうにこの部屋から去って行きましたから！」
　「おまえ…余計な事を言ってんじゃねぇよ‼」
　《偉いわよメルティ！　貴女の事は屋敷にいる時から全く好きではなかったけど、今ので少しは好感度が上がったわ！》

　王妃陛下は頭を押さえていた。
　息子の事だから…ここにメルティがいる時点で悪い予感はしていたけど、まさかその予感が当たるなんて思わなかったからだ。
　メルティの言葉に、国王陛下は激怒した。
　嘘を付かれていたのもそうだが、虚偽の報告をして謀ろうとしていた息子の胸倉を掴んでいた。

　「罰は後でも良いだろう…アクードよ！　お前は今すぐにエルティナス伯爵家に赴いてノワール嬢を連れて来るのだ‼」
　「無駄ですわ！　姉が婚約破棄されて、私が新たな婚約者となった時点で姉は家から追い出される手筈になっておりますので、今更エルティナス伯爵家に行っても姉はもう居ないですわよ‼」
　《そうそう、もう居ないのよ～残念でしたわね～ｗ　でもこのままだと、捜索隊とか出されそうですわね、どうしようかしら？》

　ノワールは考えた。

　「あ、あの方法があったわね！」

　ノワールの考えた、あの方法とは⁉