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第四章 あれ? おかしくないかな?
第五話 意外と乙女…だったりします!
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「2人共! 自分も加勢しに来た!」
グラムが叫ぶと、私とアルマは手で頭を押さえた。
これで楽に勝てる確率が減ったからだ。
「グラムさん、着いてこないでと言いましたよね?」
「グラム殿…何故来たんだ⁉」
「自分が声を掛けなければ、危なかっただろう?」
「ぜーんぜん! 普通に地面にいたのには気付いていたし…」
「私も子供を見ていれば、そいつらの生態は普通に解るよ。」
ジュエルイーターは、爪を振り回して向かって来た。
私はソニックブレストを…アルマは側面からパワースラッシュを放った。
だが、どちらも毛皮で攻撃を弾かれると、突進して来た。
私とアルマは攻撃を躱したが、グラムは反応できずに攻撃を喰らうと吹っ飛んで行った。
だがグラムはすぐに立ち上がると、ジュエルイーターに向かって行った。
そしてジュエルイーターの腕を掴むと、その隙に攻撃しろと言って来たのだった。
「あぁ…もう、仕方ないわね! アルマ…行くよ‼」
「わかった! 合わせる!」
私とアルマは、ジュエルイーターの関節を狙って突きを入れた。
すると、やはり関節部分は皮膚がもろくて突き刺さった。
だが、ジュエルイーターは体を回転させると…私達は防御の姿勢を取ったが遠くに吹き飛ばされた。
「アルマ、平気?」
「あぁ、グラム殿が庇ってくれたお陰でな!」
何でアルマを…?
私も近くにいたのに…?
…と、こんな事を言っている場合ではないわね!
ジュエルイーターは、地面に穴を掘って潜って行った。
あの程度で深手のダメージを与えたとは思えない。
だとすれば、地面から攻撃を仕掛けて来る…そう思ったのだった。
「私の方ではない…アルマ! そっちに行ったわ!」
「あぁ、すぐに離脱する!」
アルマはその場から離れようとした。
だが、地面が振動していて動く事が出来なかった。
「アルマーーー⁉」
「アルマさん!!!」
グラムが横からアルマに飛び込むと、その勢いでアルマを抱き込みながらその場を飛びのいて離れる事が出来た。
そしてアルマにいた位置から土が盛り上がってからジュエルイーターが飛び出すと、また地面に穴を掘って移動して行った。
「アルマ、平気?」
「あぁ…グラム殿のお陰で助かった…」
「グラムさんも平気ですか?」
「あぁ、体を打ったが問題ない!」
それにしてもグラムさんは本当に邪魔よね…気絶でもしていてくれると助かるんだけど…?
こうも地面に潜られると普通に対処するのは難しいわね。
やりたくなかったけど、仕方がないなぁ。
「我が召喚に応じよ! 大いなる水の中位精霊・オンディーヌよ! 姿を現して!」
すると、空中に水の渦が発生してその中から水の精霊オンディーヌが姿を現した。
オンディーヌは、下位精霊のウンディーネの中位精霊でこの精霊は姉妹でもあった。
『我が水の加護にて、汝を守らん! 主様…お久しぶりで御座います!』
「オンディーヌ! この地面の中にいる魔獣を溺死させて! メイルシュトローム‼」
私は魔法の言葉を唱えると、オンディーヌの持つ槍が光り、大きく大量の水流が地面の掘り進んで行った中に吸い込まれて行った。
「地面の中で溺死すれば良いけど、恐らく出て来るわよね? 我が召喚に応じよ! 氷の上位精霊・セルシウス!」
『我が眷属の力で汝の敵を凍てつかせよう! 主様、御命令を…』
「いま、オンディーヌの水を地面に流し込んだので、そろそろ苦しくなって地面から魔獣が出て来るから、氷らしちゃって!」
『御意!』
セルシウスは構えると、先程潜った穴の中から勢いよく飛び出して来た。
そして空中でゲホゲホと咳き込んでいるジュエルイーターは、セルシウスの吐息で氷漬けにされて行った。
「御苦労様、2人共…またお願いね!」
セルシウスとオンディーヌの2人は、ノワールに頭を下げるとそのまま姿を消して行った。
ジュエルイーターは氷漬けになっていても、中で微妙に動いていた。
私は雷魔法のライトニングでジュエルイーターの心臓を貫くと、氷が砕けてジュエルイーターの死体が転がっていた。
私は持っている剣で素早く腹をさばいてから、コアの魔石と胃袋を取り出した。
「これで…終わりね。 もっと早く倒せる筈だったんだけどなぁ…」
「ノワール! こっちに来てくれ!」
私はアルマの声が尋常ではない感じだったので急いで駆け寄ると、アルマの膝枕の上でグラムが動かなくなっていた。
脇を見ると出血をしていた。
「グラム殿は…私を庇った時に尖った石が背中に刺さっていたのを無理して平気だと言っていたんだ!」
「はぁ…男の人ってどうして痩せ我慢したがるんだろう?」
私はグラムに回復魔法を使った。
すると、グラムの体の傷が徐々に塞がれて行き…意識がハッキリし出すと私の手を握って…
「ありがとう、女神様!」
…と言われた。
途中邪魔が入って面倒だと少し思ったけど、結果的に勝てたので良かったと思う。
それに私の好感度も上がった筈だしねw?
その後、私とアルマとグラムは…ジュエルイーターの魔石と胃袋を持ってロブソニアンの村に帰った。
そしてグラムの父である鍛冶職人に、私とアルマの借りた武器とジュエルイーターの魔石と胃袋を渡した。
「魔石は解るが…胃袋なんて持って来られてもな? 何に使うんだ?」
「ジュエルイーターの胃袋の中には、消化が出来なかった鉱石が結晶化している事があるんです。 純度が高い場合があるので、一応持って来たのですが…」
鍛冶職人はジュエルイーターの胃袋をナイフで裂くと、中から結晶化したミスリルが出て来たのだった。
ミスリルの結晶化…別名魔晄銀と呼ばれる物である。
「こりゃ…凄いな! これなら、従来のミスリルの剣より性能が良い物が作れるぞ! お嬢さん達はどんな剣が欲しい?」
「やっぱり…ヒヒイロカネはなかったかぁ? 私はヒヒイロカネでローゼンメイデンを作って欲しかったんだけどなぁ!」
「ローゼンメイデンって…先祖が話していた、赤く光る鉱石で作られ聖騎士に送られたと言われる名剣の事か?」
「あ、親方さん知っていたのですね?」
「そりゃ…ローゼンメイデンを作ったのは、俺やグラムの先祖様だからな。 そうか、ヒヒイロカネか…」
「アルマはどうする? アールーマー?」
アルマに呼び掛けても、どこか上の空だった。
こんな事はあまりないので、珍しかったけど…アルマは我に返ると、自分の欲しい形の剣を親方さんに話していた。
「なるほど…了解した! ただ、ヒヒイロカネはここ200年程見てないという話なので無理だが、ミスリルでならローゼンメイデンと同じ形の剣を作ってやるが、どうだ?」
「それで良いわ! ヒヒイロカネは旅先で見付けたら持って来るから、その時にお願いね!」
「ヒヒイロカネがそう簡単に見付かるか! あれはオリハルコンと同等の金属なんだから…と、グラム! 準備しろぃ!」
「はい、親方!」
親方さんとグラムは、鍛冶部屋に入ろうとする前に私達2人に言った。
「今まで貴女方が使っていた剣の中で最高の物を作って参ります‼」
グラムはふと見せる笑顔に胸がキュンとなった。
私はアルマを見ると…何か様子がおかしく見えた。
それから剣が完成するまでの3日間…ロブソニアンの村は劇的に変化した。
各家の主人達は、鉱山に赴いて鉱石を掘って来ては…家に戻って鍛冶をする。
今迄はグラムの家の煙突からしか黒煙が昇らなかったのに、2日目になると5件の家から黒煙が煙突から昇っていた。
そして3日目になると、全ての家の煙突から黒煙が昇っていた。
私が騎士時代に訪れた時に見た光景は、まさにこれだったのだった。
そして私とアルマは親方さんお使いの方から呼ばれて店に行った。
「これがお嬢さんの注文通りのローゼンメイデンと同じ形の剣だ!」
「ありがとうございます!」
私は柄に手を掛けてから剣を鞘から抜いて構えてみた。
はるか昔に持っていた感触と同じ物が蘇ってくる感じがした。
私が騎士時代に持っていた愛刀のローゼンメイデンは、レイピアだった。
ただし…あの時と違うのは、ヒヒイロカネの独特な赤い刀身では無く、ミスリルの緑色に光を放つ刀身になっていた。
「うん、いい感触! 大事に使いますね!」
「おう! そう言ってくれると、作った甲斐があるってもんだ! まぁ、純度が高い物だから滅多な事でどうにかなるとは思えんが、何かあったらいつでも持って来ると良い!」
「何から何までありがとうございます! 見てアルマ…私…の? あれ、アルマは?」
「もう1人のお嬢さんなら、グラムと出て行ったぞ!」
私は2人を探す為に店を出た。
すると店の前でグラムは跪きながら剣をアルマに捧げる様な格好をして言った。
「アルマ・バレンシアーナ! 自分の妻になって欲しい!」
「「えぇっ⁉」」
高身長でイケメンのグラムは、アルマにプロポーズをしていた。
私はグラムにかなり好感を持たれていたと思っていたのに、グラムはアルマを選んだのだった。
今迄の私の苦労は…?
必死にアピールしていたのに、これじゃあ私は空振りばっかしてもめげずにアタックしていた痛い女じゃない⁉
アルマは困った顔をしながら私を見て来た。
少し二ヤけていたのが微妙に腹が立った。
私の顔を見る前に、早く答えてあげなさい!…とアルマに合図を送った。
「気持ちは嬉しいが…私はまだ結婚する気はないぞ‼」
「なら、結婚を前提としたお付き合いから…いや、恋人から始めて貰えないだろうか?」
「え…えーっと?」
アルマはまた私を見た。
照れて笑みを浮かべているのだろうけど、何か微妙に腹が立った。
まぁ…無理も無いか。
アルマは貴族時代の学院は女子校だったという話だし、騎士団養成学校から騎士団に至るまで全て女子の中で生活して来た。
家から婚約者候補と会わせられたけど、全く興味が無いという話だったと言っていたし…
そんな彼女がストレートに告白されたら、戸惑うのは仕方が無いとは思うんだけど。
仕方ない…助け舟を出してあげるか。
「良かったじゃない、アルマ! 貴女にも貴女の良さを解ってくれる素敵な人が現れて!」
あれ…背中を押すつもりが、皮肉を言ってしまったわ。
あの私に向ける笑顔を見て、心の中の正直な気持ちをぶつけちゃったみたいw
「いや、私は今の所…そんな気は全く無いんだ!」
「だが自分は、アルマなしではもう生きてはいけない‼」
そのセリフを…好きな人に言って欲しかったなぁ。
当然、これから出来る愛する人にだけどね…あの馬鹿王子じゃないわよ!
「アルマ…自分の事は嫌いか?」
「いや、別に嫌いではないが…」
アルマはそう言って私を見る。
あ~~~これは本当に困った表情をしている時の顔ね。
あーーーもう、仕方ないわね!
私はアルマの元に寄ってから、グラムに言った。
「これからアルマと話をするから、アルマの返事は明日にしてあげて!」
「話なら…自分も一緒に!」
「グラムさんが居たら、アルマは話が出来ないのよ。 アルマは思ってもいなかった事が突然起こったので戸惑っているの。 ね?」
「それなら猶更自分が…」
「あ~~~もう! 明日返事をするって言っているんだから、男なら1日くらい待ちなさい! 別に逃げたりしないから…解った?」
「あ、はい…アルマ、明日返事を待っている。」
「あ、うん…」
私はアルマを連れて宿屋に戻った。
そしてアルマと長い話をするのであった。
グラムが叫ぶと、私とアルマは手で頭を押さえた。
これで楽に勝てる確率が減ったからだ。
「グラムさん、着いてこないでと言いましたよね?」
「グラム殿…何故来たんだ⁉」
「自分が声を掛けなければ、危なかっただろう?」
「ぜーんぜん! 普通に地面にいたのには気付いていたし…」
「私も子供を見ていれば、そいつらの生態は普通に解るよ。」
ジュエルイーターは、爪を振り回して向かって来た。
私はソニックブレストを…アルマは側面からパワースラッシュを放った。
だが、どちらも毛皮で攻撃を弾かれると、突進して来た。
私とアルマは攻撃を躱したが、グラムは反応できずに攻撃を喰らうと吹っ飛んで行った。
だがグラムはすぐに立ち上がると、ジュエルイーターに向かって行った。
そしてジュエルイーターの腕を掴むと、その隙に攻撃しろと言って来たのだった。
「あぁ…もう、仕方ないわね! アルマ…行くよ‼」
「わかった! 合わせる!」
私とアルマは、ジュエルイーターの関節を狙って突きを入れた。
すると、やはり関節部分は皮膚がもろくて突き刺さった。
だが、ジュエルイーターは体を回転させると…私達は防御の姿勢を取ったが遠くに吹き飛ばされた。
「アルマ、平気?」
「あぁ、グラム殿が庇ってくれたお陰でな!」
何でアルマを…?
私も近くにいたのに…?
…と、こんな事を言っている場合ではないわね!
ジュエルイーターは、地面に穴を掘って潜って行った。
あの程度で深手のダメージを与えたとは思えない。
だとすれば、地面から攻撃を仕掛けて来る…そう思ったのだった。
「私の方ではない…アルマ! そっちに行ったわ!」
「あぁ、すぐに離脱する!」
アルマはその場から離れようとした。
だが、地面が振動していて動く事が出来なかった。
「アルマーーー⁉」
「アルマさん!!!」
グラムが横からアルマに飛び込むと、その勢いでアルマを抱き込みながらその場を飛びのいて離れる事が出来た。
そしてアルマにいた位置から土が盛り上がってからジュエルイーターが飛び出すと、また地面に穴を掘って移動して行った。
「アルマ、平気?」
「あぁ…グラム殿のお陰で助かった…」
「グラムさんも平気ですか?」
「あぁ、体を打ったが問題ない!」
それにしてもグラムさんは本当に邪魔よね…気絶でもしていてくれると助かるんだけど…?
こうも地面に潜られると普通に対処するのは難しいわね。
やりたくなかったけど、仕方がないなぁ。
「我が召喚に応じよ! 大いなる水の中位精霊・オンディーヌよ! 姿を現して!」
すると、空中に水の渦が発生してその中から水の精霊オンディーヌが姿を現した。
オンディーヌは、下位精霊のウンディーネの中位精霊でこの精霊は姉妹でもあった。
『我が水の加護にて、汝を守らん! 主様…お久しぶりで御座います!』
「オンディーヌ! この地面の中にいる魔獣を溺死させて! メイルシュトローム‼」
私は魔法の言葉を唱えると、オンディーヌの持つ槍が光り、大きく大量の水流が地面の掘り進んで行った中に吸い込まれて行った。
「地面の中で溺死すれば良いけど、恐らく出て来るわよね? 我が召喚に応じよ! 氷の上位精霊・セルシウス!」
『我が眷属の力で汝の敵を凍てつかせよう! 主様、御命令を…』
「いま、オンディーヌの水を地面に流し込んだので、そろそろ苦しくなって地面から魔獣が出て来るから、氷らしちゃって!」
『御意!』
セルシウスは構えると、先程潜った穴の中から勢いよく飛び出して来た。
そして空中でゲホゲホと咳き込んでいるジュエルイーターは、セルシウスの吐息で氷漬けにされて行った。
「御苦労様、2人共…またお願いね!」
セルシウスとオンディーヌの2人は、ノワールに頭を下げるとそのまま姿を消して行った。
ジュエルイーターは氷漬けになっていても、中で微妙に動いていた。
私は雷魔法のライトニングでジュエルイーターの心臓を貫くと、氷が砕けてジュエルイーターの死体が転がっていた。
私は持っている剣で素早く腹をさばいてから、コアの魔石と胃袋を取り出した。
「これで…終わりね。 もっと早く倒せる筈だったんだけどなぁ…」
「ノワール! こっちに来てくれ!」
私はアルマの声が尋常ではない感じだったので急いで駆け寄ると、アルマの膝枕の上でグラムが動かなくなっていた。
脇を見ると出血をしていた。
「グラム殿は…私を庇った時に尖った石が背中に刺さっていたのを無理して平気だと言っていたんだ!」
「はぁ…男の人ってどうして痩せ我慢したがるんだろう?」
私はグラムに回復魔法を使った。
すると、グラムの体の傷が徐々に塞がれて行き…意識がハッキリし出すと私の手を握って…
「ありがとう、女神様!」
…と言われた。
途中邪魔が入って面倒だと少し思ったけど、結果的に勝てたので良かったと思う。
それに私の好感度も上がった筈だしねw?
その後、私とアルマとグラムは…ジュエルイーターの魔石と胃袋を持ってロブソニアンの村に帰った。
そしてグラムの父である鍛冶職人に、私とアルマの借りた武器とジュエルイーターの魔石と胃袋を渡した。
「魔石は解るが…胃袋なんて持って来られてもな? 何に使うんだ?」
「ジュエルイーターの胃袋の中には、消化が出来なかった鉱石が結晶化している事があるんです。 純度が高い場合があるので、一応持って来たのですが…」
鍛冶職人はジュエルイーターの胃袋をナイフで裂くと、中から結晶化したミスリルが出て来たのだった。
ミスリルの結晶化…別名魔晄銀と呼ばれる物である。
「こりゃ…凄いな! これなら、従来のミスリルの剣より性能が良い物が作れるぞ! お嬢さん達はどんな剣が欲しい?」
「やっぱり…ヒヒイロカネはなかったかぁ? 私はヒヒイロカネでローゼンメイデンを作って欲しかったんだけどなぁ!」
「ローゼンメイデンって…先祖が話していた、赤く光る鉱石で作られ聖騎士に送られたと言われる名剣の事か?」
「あ、親方さん知っていたのですね?」
「そりゃ…ローゼンメイデンを作ったのは、俺やグラムの先祖様だからな。 そうか、ヒヒイロカネか…」
「アルマはどうする? アールーマー?」
アルマに呼び掛けても、どこか上の空だった。
こんな事はあまりないので、珍しかったけど…アルマは我に返ると、自分の欲しい形の剣を親方さんに話していた。
「なるほど…了解した! ただ、ヒヒイロカネはここ200年程見てないという話なので無理だが、ミスリルでならローゼンメイデンと同じ形の剣を作ってやるが、どうだ?」
「それで良いわ! ヒヒイロカネは旅先で見付けたら持って来るから、その時にお願いね!」
「ヒヒイロカネがそう簡単に見付かるか! あれはオリハルコンと同等の金属なんだから…と、グラム! 準備しろぃ!」
「はい、親方!」
親方さんとグラムは、鍛冶部屋に入ろうとする前に私達2人に言った。
「今まで貴女方が使っていた剣の中で最高の物を作って参ります‼」
グラムはふと見せる笑顔に胸がキュンとなった。
私はアルマを見ると…何か様子がおかしく見えた。
それから剣が完成するまでの3日間…ロブソニアンの村は劇的に変化した。
各家の主人達は、鉱山に赴いて鉱石を掘って来ては…家に戻って鍛冶をする。
今迄はグラムの家の煙突からしか黒煙が昇らなかったのに、2日目になると5件の家から黒煙が煙突から昇っていた。
そして3日目になると、全ての家の煙突から黒煙が昇っていた。
私が騎士時代に訪れた時に見た光景は、まさにこれだったのだった。
そして私とアルマは親方さんお使いの方から呼ばれて店に行った。
「これがお嬢さんの注文通りのローゼンメイデンと同じ形の剣だ!」
「ありがとうございます!」
私は柄に手を掛けてから剣を鞘から抜いて構えてみた。
はるか昔に持っていた感触と同じ物が蘇ってくる感じがした。
私が騎士時代に持っていた愛刀のローゼンメイデンは、レイピアだった。
ただし…あの時と違うのは、ヒヒイロカネの独特な赤い刀身では無く、ミスリルの緑色に光を放つ刀身になっていた。
「うん、いい感触! 大事に使いますね!」
「おう! そう言ってくれると、作った甲斐があるってもんだ! まぁ、純度が高い物だから滅多な事でどうにかなるとは思えんが、何かあったらいつでも持って来ると良い!」
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私は2人を探す為に店を出た。
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「「えぇっ⁉」」
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私はグラムにかなり好感を持たれていたと思っていたのに、グラムはアルマを選んだのだった。
今迄の私の苦労は…?
必死にアピールしていたのに、これじゃあ私は空振りばっかしてもめげずにアタックしていた痛い女じゃない⁉
アルマは困った顔をしながら私を見て来た。
少し二ヤけていたのが微妙に腹が立った。
私の顔を見る前に、早く答えてあげなさい!…とアルマに合図を送った。
「気持ちは嬉しいが…私はまだ結婚する気はないぞ‼」
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「え…えーっと?」
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照れて笑みを浮かべているのだろうけど、何か微妙に腹が立った。
まぁ…無理も無いか。
アルマは貴族時代の学院は女子校だったという話だし、騎士団養成学校から騎士団に至るまで全て女子の中で生活して来た。
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そんな彼女がストレートに告白されたら、戸惑うのは仕方が無いとは思うんだけど。
仕方ない…助け舟を出してあげるか。
「良かったじゃない、アルマ! 貴女にも貴女の良さを解ってくれる素敵な人が現れて!」
あれ…背中を押すつもりが、皮肉を言ってしまったわ。
あの私に向ける笑顔を見て、心の中の正直な気持ちをぶつけちゃったみたいw
「いや、私は今の所…そんな気は全く無いんだ!」
「だが自分は、アルマなしではもう生きてはいけない‼」
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あーーーもう、仕方ないわね!
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「話なら…自分も一緒に!」
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公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
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