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最終章・ノワール、貴女は幸せになれましたか?
第四話 アボテズガ・ゾレガ子爵登場! 誰かを彷彿させて不愉快です!
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私達4人は、ヴァンビルスの温泉街に着いたのだった。
「本当だ…街になってる! 村だった素朴な頃の面影が無いわね…」
ヴァンビルスの温泉街は、昔は湯治に訪れた旅の者が数人いたくらいだったけど…
現在では観光地っぽく変わっていた。
温泉の宿が多数あり…それ以外にも、出店や温泉水を使った料理で繁盛をしていた。
「まぁ…聖女時代に訪れたから、200年前かな? さすがにそれだけ年数が過ぎていれば変わる…かな?」
「この温泉に惚れ込んだ、とある貴族がこの村のパトロンになって発展させたのが最初だと言われている。 結果、事業は大成功で貴族は一気に出世したらしい。」
「そんな物好きな貴族もいたのね…」
「市民に寄り添った騎士爵の者だったとか…今は伯爵迄になったとか?」
「市民あっての貴族だからね…立派な人だわ!」
「この温泉の効能が結構効果があってね、肩こり、腰痛、関節痛、冷え性、リウマチ、ギックリ腰にも効果あるとか…両親に連れられてガンドム陛下の元に会いに行く時に立ち寄った事があるの。」
「でも…ノワールには肩こりは無いもんな! だって、私達3人と違って重い物が無いしw」
アルマの発言に殺意が沸いた…
確かに3人に比べたら、慎ましやかな胸ですよ!
「こんな街にも冒険者ギルドもあるのね?」
「活火山や源泉も管理しないといけないから、それ目当てで来る者もいるらしいぞ」
「そうなのね…って、チヨはどこ?」
「ノワァ! ごっぢに来るさ! ごの温泉宿はわーの贔屓の店だがんな!」
50m位離れた宿の前でチヨが手を振っていた。
私達3人は、その宿に向かって行き…宿の中に入った。
すると、人種よりも獣人や亜人が多く中にいた。
私達は受付に行くと、チヨが対応をしてくれた。
「ごれは、チヨ様でねえがぁ! まんず、ようごぞいらっしゃいまずた!」
「んだ! 今日ざぜわになるっちゅるの~しゃわせまにあるがなんよ~!」
アルマとファティマが私を見るので通訳をした。
「今日はお世話になるから、宜しくお願いしますって…」
「そう言っていたのか! まだチヨの言葉はわからんな!」
「訛りが独特ですからね。 私の国でも訛りが強い方がいますのである程度は理解出来ますが…さすがにチヨ様ほどになるとわかりません。」
私達は係りの人達に案内されて部屋に入った。
すると、部屋の中にも温泉を引いていて…私は湯あみ着に着替えて湯船に浸かったのだった。
なんだけど…?
「ノワァは、恥ずかしいおどじごろなんが?」
「お姉様、私達しかいないのに湯あみ着…必要あります?」
「私達と違って、ノワールには隠さないと恥ずかしい位の体系なんだ。 その辺には触れないでやれ!」
私以外は3人共裸だった。
確かに私達しかいないから、湯あみ着は必要ないか…
それにしても、さっきからアルマはちょいちょい私に喧嘩を売っているよね?
私は魔力でお湯の温度を上昇させた。
すると、アルマは途端に反応して湯船から出て行った。
私は熱い方が好きなので、これ位が適温だし…チヨも毛皮を着ているのでお湯は少し熱い方が好きらしい。
ファティマは騒がずに足だけ湯に付けていた。
「あらあら、アルマ…それが貴族としての振る舞いなのかしら? テスタレディシア王国の貴族ははしたないのねw」
「お前か…湯の温度を上昇させたのは…!」
「さて、何の事かしら? 私は何もしてません事よ! ホホホ~」
アルマは意地になって湯に入って来た。
さて、今度はどれくらい持つかしら?
私は湯を混ぜると、熱い湯がアルマの方に行き、表情を崩さない様に耐えていた…けど?
「湯を混ぜるなーーー!!!」
「なんだ、やっぱり痩せ我慢していたのねw?」
「な…なんの…こ」
アルマは真っ赤に茹でてしまった。
私とチヨはアルマを引っ張り上げると、ファティマが水魔法でアルマにぶっ掛けていた。
少し可哀想な気もしたけど、先程からのアルマの発言でチャラにした。
そして温泉から出ると、部屋には料理が用意されていた。
そこで料理を楽しみながらお酒が入ると…食べ終わった料理は片付けられて、お酒とおつまみで念願の恋バナに突入した。
「皆には私の話はした事あるよね?」
「ジコククーニ王国の第三王子だったんだろ? どういう奴なんだ?」
「馬鹿の癖に高圧的な態度を取って来て、仕事は全部丸投げで遊び放題。 その癖、女癖は最悪で…私の婚約破棄の理由が妹と結婚するからと。」
「ぐわぁ! 最悪だなその王子…私の婚約者候補もそんな感じだったな…やたら馴れ馴れしくて、首に手を掛けると服に手を入れて胸を触ろうとしてきたので、顔面を思いっ切り殴って鼻の骨を折ってやった。」
「アルマも私と似た様な奴だったのね。 ファティマは…まだ婚約者はいないかな?」
「いるわよ…いえ、いたかなが正解かな? エルフの森の長老の息子で、私の顔より嫌らしい目つきで体を舐め回す様に見てから、11番目の妻にならないかって…」
「その男ってもしかして?」
私はテスタレディシア王国の冒険者ギルドで13人目の妻に…と言って来たエルフの男の特徴を話した。
「そう、そいつです! そして父様が激怒してからボッコボコにして、バルデェシアン王国から出禁になって…」
「やっぱり、碌でもない奴だったか…チヨは、その前に翻訳魔法!」
「私の時も似た様な男だった。 田舎臭い娘を貰ってやるんだから、俺様に従順になって尽くせよ!…とか言って来たので、国の皆から袋叩きになって追い出されたっけ? たしか…妖狸の一族だったかな?」
「私達は、性別が一緒という以外に婚約者が最低な奴等ばっかりだったんだな!」
「だから私はこの旅を終えたら、自分の選んだ良い男と結婚をして幸せになるのよ!」
「まぁ、自分で選んだ相手なら文句はないかもね。 私も同じ妖狐族の婿を探すかな?」
「私の結婚相手はまだ良いですね…もう500年経ったら探してみる事にします。」
「その時は、私達は誰も生きてはいないな…私は結婚はしないで、王国に戻って騎士に復帰するさ!」
「つまらない人生ねぇ? アルマ、野生のゴリラに興味ないw?」
「ノワール!!!」
「冗談よ冗談! 怒らないで~w」
こうして夜も更けて行き…私達は疲れ果てて眠りに就いた。
翌日…言うまでもなく、皆二日酔いになっていた。
宿の中にある公衆浴場のサウナで汗を流してから、二日酔いを解消させると、食事をしてから宿を出た。
「今日はね、石鉱国ヴァルキサスに行く前に少し路銀を稼ごうと思ってね、冒険者ギルドに顔出すけど良いかな?」
「そんなに心許ないのか?」
「そういう訳ではないんだけど、あるに越した事は無いし…街道の魔物よりも強い魔物と戦ってみたいかな?って、私達のパーティーの強さのレベルも知りたいし…」
「確かにな、個々の強さとしての能力は高いけど、パーティーでの実戦で強敵と呼べる奴等と戦った事は無かったしな!」
「2人もそれで良いかな?」
「はい!」 「んだ!」
私達は冒険者ギルドの中に入ってから、依頼ボードを確認した。
「大物…大物…と?」
「ん? あったか?」
「山道に出没するフレイムゴーレムの討伐…」
「チヨの一撃で終わりそうだな?」
「だよね? ならこれは? ブレイジングバッファローの群れの討伐…」
「今の私達にバッファローって強敵かな?」
「お姉様、これはどうですか? 炎の精霊の暴走沈下…」
「私の召喚にイフリートがいるけど?」
「この依頼は下級精霊ですね…イフリートが居れば一瞬で終わりますね。」
強敵という括りで探すと中々見付からない物だった。
Sランク用の依頼を見ると、ドラゴンや魔獣関連が数多くあるのだけれど…?
私は受付で聞いてみる事にした。
「私達はAランクのパーティーなのですが、Aランクに強敵らしい敵が居なくてSランクの依頼を受けたいのですが…」
「では、ギルドカードを提示して戴けませんか? それによって判断致します。」
私はギルドカードを渡すと、受付嬢はそれを見て…
「先程、勇者認定されたノワール様ですか⁉ 大変申し訳ありませんでした! ギルドマスターに相談してきますので、少々お待ちください!」
受付嬢が大声で叫ぶので、ギルド内にいた冒険者達が一斉にこちらの方を向いてきた。
私達は受付前の席に座って待つ事にした。
そして適当な飲み物を頼んでいると、少し太った男がこちらに来て言った。
「お前が勇者ねぇ…? 女だけだと色々不便があるだろ? 俺様を仲間に入れろ!…いや、入ってやるからありがたく思え‼」
私は声を掛けて来た、少し太った男を見ると…その男は私の方は一切見ておらず、他の3人の体をイヤらしいニヤケ顔で舐める様な視線で物色している感じだった。
この感じ…誰かを彷彿とさせて不快な感じがした。
「結構です! 間に合っていますので…」
「ふん! 女に出来る事なんてたかが知れているだろ! 俺様が入れば、役に立つ事を約束しよう!」
「何が出来るんだ?」
「剣を使えるぜ! お前等は俺様の後ろに隠れて戦えばいい!」
男はそう言って腰の剣を抜いてみせた。
剣が綺麗すぎて、戦っていたという感じがしなかった。
それに使い込まれているという感じも無く、役には立たないと判断した。
「悪いけど、貴方では役に立たないから無理ね。」
「なら、俺様と勝負しろ! 俺様の強さを見せてやる!」
「アルマ…手加減してあげてね。」
「態度による…」
アルマは剣も抜かずに盾を構えた。
すると、太った男はニヤケながら剣を振り被って来た。
アルマは盾で剣を受け止めると、そのまま盾で男を殴って吹っ飛ばした。
「なんだ、この程度か…」
「よっわ! これで馬鹿じゃなければ来ないでしょ?」
すると男は立ち上がってから、こちらに来たのだった。
どうやら…馬鹿だったみたいだった。
「俺様は本来、格闘攻撃の方が得意なんだ! 実力を見せてやるから掛かって来い!」
「チヨ…お願い!」
「んだ!」
チヨは手甲を外して素手で構えた。
「お前が相手か…もしかすると体に触れるかもしれないけど、それはお前の責任だからな!」
そういって男は明らかにチヨの胸を触る目的で手を伸ばしてきた。
だが、それを許すチヨでは無かった。
チヨは連打を男に浴びせてから、蹴りを入れて壁まで吹っ飛ばした。
利口な奴ならこれで気付く…筈なんだけど、馬鹿だったわ。
すると、思っていた通りに立ち上がってこちらに向かって来た。
「はぁ…これだけ実力差があってまだ何かあるの?」
「俺様はな、魔法も使えるんだ! 見せてやるぜ!」
「ファティマ…無属性でやってね。」
ファティマは頷くと、男は水魔法を放って来た…といっても、手の平サイズの水玉だけど。
ファティマは躱すと、無属性の魔力の塊を男に放って壁まで吹っ飛ばした。
これで、いい加減実力がわかる筈…と思っていたけど、やっぱり立ち上がって来た。
男はかなり怒っている感じだった。
「こっちが下手に出ていたら付けやがりやがって! この平民の冒険者風情が! 俺様は貴族だぞ‼」
「ふーん、そうなんだ? それで、爵位は?」
「なんだ、偉そうに‼ 聞いて驚け‼ 俺様は、アボテズガ・ゾレガ子爵だ!」
私達は頭を手で押さえた。
勝負に勝てないと思ったら、貴族階級を持ちだしてきたこの男に…
「わかったか、この平民共! 貴族に楯突いた事を後悔させてやる…と言いたいが、俺様もそこまで鬼ではない! お前達全員俺様の配下になれ! 可愛がってやるから!」
「「「「お断りするわ‼」」」」
アボテズガ・ゾレガは、断れるとは思っていなくて唖然とした顔をしていた。
そしてすぐにまた怒りだしてきた。
「平民の癖に調子に乗るなよ‼」
「まず、そこから間違えているわ! 私達は平民では無いから…」
「は? なら爵位を言ってみろ!」
「私とアルマは伯爵家、他の2人は王族よ? それで、子爵程度が…いえ、子爵すら怪しいわね? 子爵の令息じゃないの?」
アボテズガ・ゾレガは言葉に詰まっていた。
そして冷や汗が滝の様に流れていた。
「ねぇ、ここにいる人達! この男の子爵家って何処にあるの?」
「そいつは、この近くの子爵家の馬鹿息子だよ。」
「そう、どうもありがとう! 私は、ジコククーニ王国のエルティナス伯爵家長女ノワールよ。」
「私はテスタレディシア王国のバレンシアーナ伯爵家長女アルマだ!」
「バルデェシアン王国の第三王女ファティマです。」
「ベジツ・ターブル農国の王姫チヨだ!」
「私達4人は、後日…ゾレガ子爵家に厳重な態度で抗議をさせて戴きます! どうなるかを覚悟しておく事ね…」
アボテズガ・ゾレガは、すぐに地面に土下座すると額を打ち付けて血が出るまで頭を何度も下げてから、ギルドを出て行った。
冒険者の大半は、平民が多いので貴族の横暴には逆らえずに困り果てたという。
これで膿は排出できたので問題はないでしょう。
「それにしても、気持ち悪い男だったわね…」
「あの舐める様な視線…婚約者だった男を思い出したな。」
「私も不快でした。 あんなのが他にもいたなんて…」
「依頼さおわっだら、まだ温泉入るべよ!」
私達は、戻って来た受付嬢からSランクの依頼を受けられる事になり、ガーディアンが守護する遺跡探査の依頼を受けたのだった。
そしてその遺跡は…確かに強敵と呼べる魔物が数多く生息していたのだった。
「本当だ…街になってる! 村だった素朴な頃の面影が無いわね…」
ヴァンビルスの温泉街は、昔は湯治に訪れた旅の者が数人いたくらいだったけど…
現在では観光地っぽく変わっていた。
温泉の宿が多数あり…それ以外にも、出店や温泉水を使った料理で繁盛をしていた。
「まぁ…聖女時代に訪れたから、200年前かな? さすがにそれだけ年数が過ぎていれば変わる…かな?」
「この温泉に惚れ込んだ、とある貴族がこの村のパトロンになって発展させたのが最初だと言われている。 結果、事業は大成功で貴族は一気に出世したらしい。」
「そんな物好きな貴族もいたのね…」
「市民に寄り添った騎士爵の者だったとか…今は伯爵迄になったとか?」
「市民あっての貴族だからね…立派な人だわ!」
「この温泉の効能が結構効果があってね、肩こり、腰痛、関節痛、冷え性、リウマチ、ギックリ腰にも効果あるとか…両親に連れられてガンドム陛下の元に会いに行く時に立ち寄った事があるの。」
「でも…ノワールには肩こりは無いもんな! だって、私達3人と違って重い物が無いしw」
アルマの発言に殺意が沸いた…
確かに3人に比べたら、慎ましやかな胸ですよ!
「こんな街にも冒険者ギルドもあるのね?」
「活火山や源泉も管理しないといけないから、それ目当てで来る者もいるらしいぞ」
「そうなのね…って、チヨはどこ?」
「ノワァ! ごっぢに来るさ! ごの温泉宿はわーの贔屓の店だがんな!」
50m位離れた宿の前でチヨが手を振っていた。
私達3人は、その宿に向かって行き…宿の中に入った。
すると、人種よりも獣人や亜人が多く中にいた。
私達は受付に行くと、チヨが対応をしてくれた。
「ごれは、チヨ様でねえがぁ! まんず、ようごぞいらっしゃいまずた!」
「んだ! 今日ざぜわになるっちゅるの~しゃわせまにあるがなんよ~!」
アルマとファティマが私を見るので通訳をした。
「今日はお世話になるから、宜しくお願いしますって…」
「そう言っていたのか! まだチヨの言葉はわからんな!」
「訛りが独特ですからね。 私の国でも訛りが強い方がいますのである程度は理解出来ますが…さすがにチヨ様ほどになるとわかりません。」
私達は係りの人達に案内されて部屋に入った。
すると、部屋の中にも温泉を引いていて…私は湯あみ着に着替えて湯船に浸かったのだった。
なんだけど…?
「ノワァは、恥ずかしいおどじごろなんが?」
「お姉様、私達しかいないのに湯あみ着…必要あります?」
「私達と違って、ノワールには隠さないと恥ずかしい位の体系なんだ。 その辺には触れないでやれ!」
私以外は3人共裸だった。
確かに私達しかいないから、湯あみ着は必要ないか…
それにしても、さっきからアルマはちょいちょい私に喧嘩を売っているよね?
私は魔力でお湯の温度を上昇させた。
すると、アルマは途端に反応して湯船から出て行った。
私は熱い方が好きなので、これ位が適温だし…チヨも毛皮を着ているのでお湯は少し熱い方が好きらしい。
ファティマは騒がずに足だけ湯に付けていた。
「あらあら、アルマ…それが貴族としての振る舞いなのかしら? テスタレディシア王国の貴族ははしたないのねw」
「お前か…湯の温度を上昇させたのは…!」
「さて、何の事かしら? 私は何もしてません事よ! ホホホ~」
アルマは意地になって湯に入って来た。
さて、今度はどれくらい持つかしら?
私は湯を混ぜると、熱い湯がアルマの方に行き、表情を崩さない様に耐えていた…けど?
「湯を混ぜるなーーー!!!」
「なんだ、やっぱり痩せ我慢していたのねw?」
「な…なんの…こ」
アルマは真っ赤に茹でてしまった。
私とチヨはアルマを引っ張り上げると、ファティマが水魔法でアルマにぶっ掛けていた。
少し可哀想な気もしたけど、先程からのアルマの発言でチャラにした。
そして温泉から出ると、部屋には料理が用意されていた。
そこで料理を楽しみながらお酒が入ると…食べ終わった料理は片付けられて、お酒とおつまみで念願の恋バナに突入した。
「皆には私の話はした事あるよね?」
「ジコククーニ王国の第三王子だったんだろ? どういう奴なんだ?」
「馬鹿の癖に高圧的な態度を取って来て、仕事は全部丸投げで遊び放題。 その癖、女癖は最悪で…私の婚約破棄の理由が妹と結婚するからと。」
「ぐわぁ! 最悪だなその王子…私の婚約者候補もそんな感じだったな…やたら馴れ馴れしくて、首に手を掛けると服に手を入れて胸を触ろうとしてきたので、顔面を思いっ切り殴って鼻の骨を折ってやった。」
「アルマも私と似た様な奴だったのね。 ファティマは…まだ婚約者はいないかな?」
「いるわよ…いえ、いたかなが正解かな? エルフの森の長老の息子で、私の顔より嫌らしい目つきで体を舐め回す様に見てから、11番目の妻にならないかって…」
「その男ってもしかして?」
私はテスタレディシア王国の冒険者ギルドで13人目の妻に…と言って来たエルフの男の特徴を話した。
「そう、そいつです! そして父様が激怒してからボッコボコにして、バルデェシアン王国から出禁になって…」
「やっぱり、碌でもない奴だったか…チヨは、その前に翻訳魔法!」
「私の時も似た様な男だった。 田舎臭い娘を貰ってやるんだから、俺様に従順になって尽くせよ!…とか言って来たので、国の皆から袋叩きになって追い出されたっけ? たしか…妖狸の一族だったかな?」
「私達は、性別が一緒という以外に婚約者が最低な奴等ばっかりだったんだな!」
「だから私はこの旅を終えたら、自分の選んだ良い男と結婚をして幸せになるのよ!」
「まぁ、自分で選んだ相手なら文句はないかもね。 私も同じ妖狐族の婿を探すかな?」
「私の結婚相手はまだ良いですね…もう500年経ったら探してみる事にします。」
「その時は、私達は誰も生きてはいないな…私は結婚はしないで、王国に戻って騎士に復帰するさ!」
「つまらない人生ねぇ? アルマ、野生のゴリラに興味ないw?」
「ノワール!!!」
「冗談よ冗談! 怒らないで~w」
こうして夜も更けて行き…私達は疲れ果てて眠りに就いた。
翌日…言うまでもなく、皆二日酔いになっていた。
宿の中にある公衆浴場のサウナで汗を流してから、二日酔いを解消させると、食事をしてから宿を出た。
「今日はね、石鉱国ヴァルキサスに行く前に少し路銀を稼ごうと思ってね、冒険者ギルドに顔出すけど良いかな?」
「そんなに心許ないのか?」
「そういう訳ではないんだけど、あるに越した事は無いし…街道の魔物よりも強い魔物と戦ってみたいかな?って、私達のパーティーの強さのレベルも知りたいし…」
「確かにな、個々の強さとしての能力は高いけど、パーティーでの実戦で強敵と呼べる奴等と戦った事は無かったしな!」
「2人もそれで良いかな?」
「はい!」 「んだ!」
私達は冒険者ギルドの中に入ってから、依頼ボードを確認した。
「大物…大物…と?」
「ん? あったか?」
「山道に出没するフレイムゴーレムの討伐…」
「チヨの一撃で終わりそうだな?」
「だよね? ならこれは? ブレイジングバッファローの群れの討伐…」
「今の私達にバッファローって強敵かな?」
「お姉様、これはどうですか? 炎の精霊の暴走沈下…」
「私の召喚にイフリートがいるけど?」
「この依頼は下級精霊ですね…イフリートが居れば一瞬で終わりますね。」
強敵という括りで探すと中々見付からない物だった。
Sランク用の依頼を見ると、ドラゴンや魔獣関連が数多くあるのだけれど…?
私は受付で聞いてみる事にした。
「私達はAランクのパーティーなのですが、Aランクに強敵らしい敵が居なくてSランクの依頼を受けたいのですが…」
「では、ギルドカードを提示して戴けませんか? それによって判断致します。」
私はギルドカードを渡すと、受付嬢はそれを見て…
「先程、勇者認定されたノワール様ですか⁉ 大変申し訳ありませんでした! ギルドマスターに相談してきますので、少々お待ちください!」
受付嬢が大声で叫ぶので、ギルド内にいた冒険者達が一斉にこちらの方を向いてきた。
私達は受付前の席に座って待つ事にした。
そして適当な飲み物を頼んでいると、少し太った男がこちらに来て言った。
「お前が勇者ねぇ…? 女だけだと色々不便があるだろ? 俺様を仲間に入れろ!…いや、入ってやるからありがたく思え‼」
私は声を掛けて来た、少し太った男を見ると…その男は私の方は一切見ておらず、他の3人の体をイヤらしいニヤケ顔で舐める様な視線で物色している感じだった。
この感じ…誰かを彷彿とさせて不快な感じがした。
「結構です! 間に合っていますので…」
「ふん! 女に出来る事なんてたかが知れているだろ! 俺様が入れば、役に立つ事を約束しよう!」
「何が出来るんだ?」
「剣を使えるぜ! お前等は俺様の後ろに隠れて戦えばいい!」
男はそう言って腰の剣を抜いてみせた。
剣が綺麗すぎて、戦っていたという感じがしなかった。
それに使い込まれているという感じも無く、役には立たないと判断した。
「悪いけど、貴方では役に立たないから無理ね。」
「なら、俺様と勝負しろ! 俺様の強さを見せてやる!」
「アルマ…手加減してあげてね。」
「態度による…」
アルマは剣も抜かずに盾を構えた。
すると、太った男はニヤケながら剣を振り被って来た。
アルマは盾で剣を受け止めると、そのまま盾で男を殴って吹っ飛ばした。
「なんだ、この程度か…」
「よっわ! これで馬鹿じゃなければ来ないでしょ?」
すると男は立ち上がってから、こちらに来たのだった。
どうやら…馬鹿だったみたいだった。
「俺様は本来、格闘攻撃の方が得意なんだ! 実力を見せてやるから掛かって来い!」
「チヨ…お願い!」
「んだ!」
チヨは手甲を外して素手で構えた。
「お前が相手か…もしかすると体に触れるかもしれないけど、それはお前の責任だからな!」
そういって男は明らかにチヨの胸を触る目的で手を伸ばしてきた。
だが、それを許すチヨでは無かった。
チヨは連打を男に浴びせてから、蹴りを入れて壁まで吹っ飛ばした。
利口な奴ならこれで気付く…筈なんだけど、馬鹿だったわ。
すると、思っていた通りに立ち上がってこちらに向かって来た。
「はぁ…これだけ実力差があってまだ何かあるの?」
「俺様はな、魔法も使えるんだ! 見せてやるぜ!」
「ファティマ…無属性でやってね。」
ファティマは頷くと、男は水魔法を放って来た…といっても、手の平サイズの水玉だけど。
ファティマは躱すと、無属性の魔力の塊を男に放って壁まで吹っ飛ばした。
これで、いい加減実力がわかる筈…と思っていたけど、やっぱり立ち上がって来た。
男はかなり怒っている感じだった。
「こっちが下手に出ていたら付けやがりやがって! この平民の冒険者風情が! 俺様は貴族だぞ‼」
「ふーん、そうなんだ? それで、爵位は?」
「なんだ、偉そうに‼ 聞いて驚け‼ 俺様は、アボテズガ・ゾレガ子爵だ!」
私達は頭を手で押さえた。
勝負に勝てないと思ったら、貴族階級を持ちだしてきたこの男に…
「わかったか、この平民共! 貴族に楯突いた事を後悔させてやる…と言いたいが、俺様もそこまで鬼ではない! お前達全員俺様の配下になれ! 可愛がってやるから!」
「「「「お断りするわ‼」」」」
アボテズガ・ゾレガは、断れるとは思っていなくて唖然とした顔をしていた。
そしてすぐにまた怒りだしてきた。
「平民の癖に調子に乗るなよ‼」
「まず、そこから間違えているわ! 私達は平民では無いから…」
「は? なら爵位を言ってみろ!」
「私とアルマは伯爵家、他の2人は王族よ? それで、子爵程度が…いえ、子爵すら怪しいわね? 子爵の令息じゃないの?」
アボテズガ・ゾレガは言葉に詰まっていた。
そして冷や汗が滝の様に流れていた。
「ねぇ、ここにいる人達! この男の子爵家って何処にあるの?」
「そいつは、この近くの子爵家の馬鹿息子だよ。」
「そう、どうもありがとう! 私は、ジコククーニ王国のエルティナス伯爵家長女ノワールよ。」
「私はテスタレディシア王国のバレンシアーナ伯爵家長女アルマだ!」
「バルデェシアン王国の第三王女ファティマです。」
「ベジツ・ターブル農国の王姫チヨだ!」
「私達4人は、後日…ゾレガ子爵家に厳重な態度で抗議をさせて戴きます! どうなるかを覚悟しておく事ね…」
アボテズガ・ゾレガは、すぐに地面に土下座すると額を打ち付けて血が出るまで頭を何度も下げてから、ギルドを出て行った。
冒険者の大半は、平民が多いので貴族の横暴には逆らえずに困り果てたという。
これで膿は排出できたので問題はないでしょう。
「それにしても、気持ち悪い男だったわね…」
「あの舐める様な視線…婚約者だった男を思い出したな。」
「私も不快でした。 あんなのが他にもいたなんて…」
「依頼さおわっだら、まだ温泉入るべよ!」
私達は、戻って来た受付嬢からSランクの依頼を受けられる事になり、ガーディアンが守護する遺跡探査の依頼を受けたのだった。
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今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
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婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
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未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
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これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
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